(C)風楽制作事務所

21歳の大学生が、男性から女性になるまでを密着した『女になる』

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

“LGBT”や“性同一性障害”という言葉が一般化するほど、最近は性的マイノリティに関するメディア報道が増えています。これらの言葉を目や耳にして、関心を寄せている方も多いのではないでしょうか? 10月28日より公開中のドキュメンタリー映画『女になる』は、女性の心をもって男性の体で生まれたひとりの方に密着し、晴れて女性になるまでの日々を記録しています。

主人公は21歳の大学生

(C)風楽制作事務所

登場するのは、21歳の未悠(みゆ)さん。男性の体で生まれてきましたが、女性の心を持つ性同一性障害の彼女は、高校時代にそのことを家族にカミングアウトし、周囲にも積極的に打ち明けることで理解を得てきました。現在、大学には女性の装いで通っています。大学3年生の彼女がいま望むことは、女性として社会へ出ることです。その想いを実現すべく、彼女は長年の夢であった性別適合手術を受ける日を迎えます。

メッセージ一色というより、ひとりの人間ドキュメント

(C)風楽制作事務所

カメラは、彼女が性別適合手術を受けるまでの日々を記録。未悠さんに寄り添いながら、手術前の不安な胸中、晴れて心も体も女性になった喜びなど、彼女の日常の悲喜こもごもを映し出します。

その中で、印象に残るのは未悠さんのパーソナリティです。とにかく彼女はポジティブで明るく、本人は「実は私、かなりネガティブで神経質です。これまで辛いことや悲しいことは、たくさん経験してきました。きっとこれからも経験すると思います。でも、私は毎日笑顔でいることを意識しています。友達といる時、テレビを見ている時など、自分の中で楽しいこと、リフレッシュ出来ることを見つけたら自然と毎日が明るく過ごせるようになったんです」と打ち明けますが、彼女の屈託のない笑顔と周囲を明るくする人柄のおかげで、作品はいい意味で悲壮感とは無縁です。

こういったタイプのドキュメンタリーは、LGBTsの権利や差別問題を社会に声高に訴えることにとどまってしまうケースがよくありますが、本作は、より幅広い人に門戸が開かれた、ひとりの人間の生き方を見つめたヒューマン・ドキュメンタリーになっています。きっと、手術を経て戸籍上と女性に認められ、ようやく心と体がフィットして自分らしく生きられるようになった未悠さんの放つ輝きに、多くの方が目を奪われることでしょう。

未悠さん自身もこうコメントを寄せています。「私事の私生活で何が伝わるか分かりません。でも、きっとたくさんの方に笑って頂ける映画だと思っています。学校生活やアルバイトにガールズトーク。私たちは普通の生活をしています。ですが、人間は男や女という文字で判断したり形ある物に囚われてしまいます。たまたま男性器が付いて生まれてきただけなのに……。男性が女性になりたいのではなく、“本来の姿、女性の身体に戻る”という意味が、皆さんに伝わってくれればうれしいです」。

現在の心境を「戸籍も女性に変わったのですが、手術する前から女性として生活をしていたので特別見た目が変わったとか大きな変化は実感していません。ですが、気持ちは凄く楽になりました。ようやく本来の姿に戻れた。戸籍上の男という文字が消え、女に変わりホッとしている自分がいます」と語る未悠さん。本作は、性的マイノリティについて理解を深める内容ではありますが、“まずは彼女に出会ってほしい”と思える作品です。

(文/水上賢治@アドバンスワークス)

記事制作 : アドバンスワークス

関連映画