(C)2017 映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会 (C)2014 田中経一/幻冬舎

実は素朴なものがお好み!? 天皇陛下の“お食事事情”とその料理番ってどんなもの?

コラム

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連続TVドラマ「天皇の料理番」(2015年)において、佐藤健が大正天皇・昭和天皇の料理番だった秋山徳蔵(ドラマでの名前は秋山篤蔵)を演じ、「天皇の料理番」という職業が注目を集めるようになりました。これを受け、元・天皇陛下の料理番である谷部金次郎がテレビ番組で陛下がお好みだったという鯛茶漬けを実践調理したり、谷部の後輩の工藤極が週刊誌に宮内庁の台所事情を語ったりと、「オク(陛下の日常)」に関する貴重な情報が明るみに出る機会が増えました。

そしてこの秋、『おくりびと』(2008年)の滝田洋二郎監督が送る最新作『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』(2017年)において、西島秀俊が“麒麟の舌”と呼ばれる絶対味覚をもつ元・天皇陛下の料理番という役を演じることから、再び「皇室の食」に対する世間の関心度が高まりそうな気配があります。
「天皇陛下の料理番」とは、具体的にどのようなお仕事で、陛下は普段、どのようなお食事を召し上がっているのか。宮内庁勤めを長年経験した料理人たちのエピソードから天皇陛下の料理番の具体像に迫り、そこからさらに、西島演じる天才料理人・山形直太朗のキャラクターをつかみたいと思います。

要人のおもてなしから陛下の健康管理まで

天皇陛下の料理番は、宮内庁管理部の「大膳課」というところに所属しています。陛下および内廷の皇族方が召し上がる日常のお食事の調理・供進(天皇陛下に献上すること)のほか、宮中で催される饗宴やお茶会のおもてなし料理を担当するのが主な職務です。和食が基本ですが、洋食や中華などにも幅広く対応します。たとえば、満州国皇帝の愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)が訪日した際の食事会では、満州料理の調理を手がけたことなどが伝わっています。
食と体調の密接な結びつきを考えると、陛下の健康管理もまた料理番の大切な仕事のひとつといえるでしょう。陛下が健やかに日々を過ごされるよう、献立の組み立てや食材の吟味は特別慎重に行われます。

昭和天皇の料理番を務めた谷部金次郎は、お夕食を陛下に供進し、そのまま待機していたときに深夜のニュースで昭和天皇の吐血を知り、余りのショックでその夜の献立の記憶を失ってしまったといいます。陛下の食卓と健康を預かる大膳課職員にとって、陛下の体調不良はあってはならない事態なのです。昭和天皇はこの後、固形物を召し上がることなく崩御なさり、谷部は「昭和天皇一代に仕える」という意志を貫いて辞職しました。

料理の腕とならんで求められる誠実な人柄

大正から昭和にかけて宮内省(のち宮内庁)で主厨長を務め、杉森久英の小説『天皇の料理番』および同題のテレビドラマにおける主人公のモデルとなった秋山徳蔵は、皇室に対する忠誠心に篤く、常に精進を怠らない実直な人物だったといいます。料理技術の向上の為には貪欲かつ謙虚に学ぶことを厭わず、ときには自分より若い料理人でも優れた技術を持つ者には頭を下げて教えを請う姿勢が見受けられたそうです。

その精神は、後輩の谷部金次郎や工藤極にもしっかりと受け継がれました。“誠実な人柄”や“皇室への忠義”は、料理の腕とならんで陛下の料理番に求められる要素なのです。

記事制作 : YOSCA

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