(C)2017『火花』製作委員会

日本を代表する大御所も認める天才!? 映画界で板尾創路が“求められる”理由

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

ピースの又吉直樹が執筆し、第153回芥川龍之介賞を受賞した『火花』が映画化され、11月23日(木・祝)より公開されます。本作は、漫才の世界に身を投じるも結果を出せずにくすぶる青年と、強い信念を持つ先輩芸人の葛藤を描いた青春物語です。映画化にあたっては、又吉だからこそ描くことのできた芸人の世界を理解し、映像に封じ込めることのできる監督が求められました。そこで白羽の矢が立ったのが、芸人であり、俳優・監督である板尾創路です。

板尾が俳優や監督としても活動していることは周知の事実ですが、なぜ彼はお笑いだけでなく、映画の世界からも求められるのでしょうか? ここでは、映画人としての板尾創路にフォーカスし、その魅力をご紹介します。

是枝裕和に園子温、行定勲も絶賛のベテラン俳優

1986年にお笑いコンビ「130R」を結成し、芸歴は30年を数える板尾。俳優としては、1996年の「Dearウーマン」を皮切りに、これまで50本以上のドラマに出演してきました。近年は、「カーネーション」(2011年)や「まれ」(2015年)など朝ドラでも重宝される役者の一人となっています。映画においては、園子温監督の『愛のむきだし』(2009年)や『地獄でなぜ悪い』(2013年)、是枝裕和監督の『空気人形』(2009年)、行定勲監督の『ジムノペティに乱れる』(2016年)など、日本を代表する監督たちの作品に相次いで出演してきました。

板尾がこれほどまでに求められる理由は、一体どこにあるのでしょう。板尾を起用した監督・製作陣は、「本番になると台本にない何かをスッとしてくれる(是枝裕和監督)」、「一生懸命演じているのに、どこかユーモラスに感じてしまう(板尾主演『電人ザボーガー』関係者)」、「芸人なのにあまり喋らない点に魅力を感じる(行定勲監督)」と語り、芸人ならではな対応力の高さと、役者には出せない唯一無二の持ち味を高く評価しています。本人は、『電人ザボーガー』(2011年)公開時のインタビューで「自分が求められる“違和感”みたいな雰囲気に応えるためにも、あまりつくり込まずに臨む」とコメントし、作品を担う歯車としてどう機能するかを考えているといいます。

きっかけは「映画が好きなので…」控えめな姿勢で監督にも挑戦

俳優としてのキャリアを重ねてきた板尾ですが、監督としてもこれまで2本の映画を手がけています。もともと監督業に興味があったわけではないものの、「映画は好きなのでつくりたい」という理由で引き受けたそう。そんな淡々とした理由もまた、板尾らしさを感じさせます。

1作目の『板尾創路の脱獄王』(2010年)は、初めての長編映画にもかかわらず、釜山国際映画祭をはじめとする国際映画祭に出品され、第29回藤本賞・新人賞と、第19回日本映画批評家大賞・新人監督賞を受賞しました。本作について、是枝裕和監督も「将来すごいものを作る方だと思う」と高く評価しています。また2作目の『月光ノ仮面』(2011年)では、浅野忠信や石原さとみなど豪華なキャストを起用し製作に臨みました。

監督業をやることで作品の全体が見えるようになり、監督が俳優に求めるものがわかるようになったと語る板尾。監督業が俳優業に、ひいては芸人としての取り組み方にも影響を与えているのかもしれません。

漫才×映画!後輩・又吉から預かる気持ちで挑んだ『火花』(2017年)

『火花』は、原作が芥川賞に輝き世間を沸かせ、Netflixでドラマ化され好評を得た話題作。その作品を映画化するとあり、板尾は高いハードルに挑むことになりました。
しかし彼は「芸人の話ということは自分の話でもあるが、又吉君の世代とは若干違うかもしれない。でも、そのふたつを合わせたら面白くなるんじゃないかと思った」と語り、2世代の芸人の感覚が交わることで、小説ともドラマとも違う映画ならではの普遍性が生まれる可能性を示唆しています。

(C)2017『火花』製作委員会

原作者の又吉は「板尾さんは、僕が小説に込めた意図を最初から汲んでくれていた」と語り、全幅の信頼を寄せます。板尾らが半年かけて書き上げた脚本を読んだ際には「小説もこうしたらよかった」などの刺激も受けたそう。映画の中で用いられるメール文を作成するなど、協力的な姿勢で映画化を後押ししました。

(C)2017『火花』製作委員会

主演には菅田将暉と桐谷健太を迎え、漫才師としての存在感や、夢を前に戸惑いながらも突き進む危うさを、みずみずしく表現しています。また「漫才コンビのツッコミ役は、ボケ役よりも高度なお笑いの技術が要求されるため、経験者を入れたい」という理由から、2丁拳銃の川谷修士と芸人経験のある三浦誠己もキャスティング。芸人・俳優・監督と、すべての経験を兼ね備える板尾ならではのこだわりが随所に光る一作となりました。

『火花』は11月23日(木・祝)より全国東宝系にてロードショーです。

(鈴木春菜@YOSCA)

記事制作 : YOSCA

関連映画

マイシアターとは?
お気に入りの映画館を「マイシアター」に設定しておくと、上映中の作品やスケジュールがかんたんに確認できるようになります。
マイシアターは2つまで設定できます。