文=ロサンゼルス在住ライター 鈴木淨/Avanti Press

男子は“集合もの”が大好きだ。「ウルトラマン」や「仮面ライダー」シリーズの歴代ヒーロー大集合企画然り、水島新司の野球漫画キャラが多数登場する「大甲子園」「ドカベン プロ野球編」など然り……。最近ではアイアンマン、キャプテン・アメリカら、米マーベル・コミックスのスーパーヒーローがドリームチームを組む映画『アベンジャーズ』シリーズが、世界中で大ヒットしている。

そして間もなく、マーベルと並ぶアメコミ界の雄、DCコミックスのスーパーヒーローたちが顔を揃えるファン待望のアクション大作が公開される。バットマン、ワンダーウーマンらが登場する映画『ジャスティス・リーグ』だ。

今後は、米2大コミック出版社それぞれのスーパーヒーロー大集合企画が映画として比較されることになるわけだが、そもそも「アベンジャーズ」と「ジャスティス・リーグ」、あるいはマーベルとDCは、どちらが強いのだろうか?

実戦での軍配はどちらに?

『アベンジャーズ』は、マーベル・シネマティック・ユニバースと呼ばれる同社のヒーローたちをひとくくりにまとめた空想世界に基づいている。その主要メンバーはキャプテン・アメリカ、アイアンマン、ハルク、ソー、スパイダーマンらだ。マーベルにはX-MENもいるが、X-MENシリーズの映画化権は20世紀FOXにあるため、同ユニバースには含まれていない。

『ジャスティス・リーグ』11月23日より全国公開
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,
RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

一方の『ジャスティス・リーグ』は、DCコミックスのスーパーヒーローが共有する空想世界、DCエクステンデッド・ユニバースに基づく。その主要な面々は、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、グリーンランタンら。

このように、いずれも超人気キャラを多数抱えているので、コミック出版社としてどちらに人気があるかは判断しがたい。コミックの発行部数や映画の興行成績にしろ、どちらの“ユニバース”もまだ道半ばなので、これまでの数字でジャッジしても意味がないと思われる。

それでも、お互いのメンバーを比べ、実戦においてどちらが強いか想像することは、ファンにとって楽しい作業だ。

DCにはクリプトン星から来た宇宙人で超絶パワーを誇るスーパーマンがいるが、なんといってもマーベルのソーは神だ。ソーに比べたらアイアンマンなど、頭脳は優秀だがアイアンマンスーツを脱げば人間のおっさんである(胸に生命維持装置のアーク・リアクターは入っているが)。同様にDCのバットマンは億万長者で様々な格闘技などに精通しているものの、やはりスーツやバットモービルがなければただの女好きのおっさんである。

特殊な血清によって超人兵士となったマーベルのキャプテン・アメリカと、もとは神々が命を吹き込んだ粘土だったというDCのワンダーウーマンもいい勝負だろう。

このように、マーベルとDCの勝負の行方を占うのは難しいのだが、こと『アベンジャーズ』と『ジャスティス・リーグ』の戦いに限って言えば、アベンジャーズに軍配が上がるのではないか。なぜなら、『ジャスティス・リーグ』の前日譚である映画『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)においてスーパーマンは死んでしまい、今後『ジャスティス・リーグ』はスーパーマンなしで戦わなくてはならないからだ。

実際にあった!マーベルとDCの対決

そんな空想の話は置いておくとして、実は過去に、実際にマーベルとDCが戦って勝負をつけたことがあるのだ。

1996年、この2社が共同で立ち上げたアメコミ出版社アマルガム・コミックスが、その名も「DCvsマーベル」というシリーズコミックをリリースした。

DCとマーベル、それぞれのヒーローたち(ブラザーズと呼ばれた)が、自分たちこそ唯一絶対の存在であると主張し、存亡を賭けて戦う、というあらすじ。スーパーマン対ハルク(スーパーマンの勝ち)、バットマン対キャプテン・アメリカ(バットマンの勝ち!)というふうに1対1のタイマンを張っていき、最終的に勝利者の多いブラザーズが生き残る、というルールだ。

このコミックには、映画『アベンジャーズ』シリーズに参加していないマーベルのX-MENも登場する。これぞ“集合もの”の極み、アメコミキャラたちのワールドシリーズである。勝負によっては互いのヒーローたちだけでなく、有名なヴィラン(悪役)が戦うケースもあった。

 

『ジャスティス・リーグ』11月23日より全国公開
(c)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC
Photo Credit: Courtesy of Warner Bros. Pictures/ TM & (C) DC Comics

全部で11戦が行われ、結果は6勝5敗でマーベルの勝利! ちなみに5勝5敗のタイで迎えた最終戦は、DCのワンダーウーマンとマーベルのストーム(X-MEN)による女性ヒーロー対決で、ワンダーウーマンが負けたのだった。

しかし、敗北を喫したDCブラザーズが消失することはなく、互いを認め合ったブラザーズ同士は一つの存在に融合して「アマルガム・ユニバース」が誕生。その後も97年までコミックシリーズ化された。『アベンジャーズ』と『ジャスティス・リーグ』の映画シリーズも、ゆくゆくは統合され、両ブラザーズが共演することになるのかもしれない。

 

現実世界では涙もののコラボレーションも

何かと競い合うマーベルとDCだが、現実の世界では、ついホロリとさせられる共同作業のエピソードもある。

映画シリーズとしては『アベンジャーズ』の方が企画発足(2005年)、公開ともに早かったが、『ジャスティス・リーグ』の企画も、実は2007年には既に立ち上がっていた。だが映画『ジャスティス・リーグ』は、全米脚本家組合のストライキや相次ぐ監督交代劇(『マイレージ、マイライフ』のジェイソン・ライトマンや『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラー)のたびに暗礁に乗り上げ、なかなか進行しなかった。

ようやく撮影がスタートしたのも束の間、2008年にクリストファー・ノーラン監督のバットマン映画『ダークナイト』がメガヒットを記録。ノーラン監督が『ダークナイト』3部作を独自の世界観で完結できるように、『ジャスティス・リーグ』の製作は再び中断され、脚本段階からのやり直しを余儀なくされた。

しかし、『300<スリーハンドレッド>』(2007年)、『ウォッチメン』(2009年)などでそのヴィジュアル・センスが注目されたザック・スナイダー監督が手がけた新たなスーパーマン映画『マン・オブ・スティール』(2013年)の成功が、その後の『ジャスティス・リーグ』シリーズの方向性を決定づけた。

スナイダーはその後、『マン・オブ・スティール』の世界観で『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)を監督、また『スーサイド・スクワッド』(2016年)、『ワンダーウーマン』(2017年)を製作し、DCエクステンデッド・ユニバース映画シリーズの中心人物として活躍。ついに監督として映画『ジャスティス・リーグ』に着手したのである。

『ジャスティス・リーグ』の危機を救ったのは『アベンジャーズ』監督!?

だが、撮影がほぼ終了しかけていた2017年5月、スナイダー監督が突然、降板を発表。妻のデボラ・スナイダーもプロデューサーを降板した。理由は夫妻の娘が急死したためとされている。

左からジョス・ウェドン監督、ザック・スナイダー監督、デボラ・スナイダー プロデューサー
左:(c)LFI/Photoshot/Joe Martinez 右: (c)Sonia Moskowitz, Globe Photos Inc 2016

この『ジャスティス・リーグ』の危機を救ったのは、ライバルである『アベンジャーズ』シリーズの監督、ジョス・ウェドンだった。ノウハウの豊富なウェドンが残りの撮影を監督し、またスナイダー夫妻の演出プランに従って編集まで引き継いだため『ジャスティス・リーグ』は完成に漕ぎ着けた。ザックとデボラの夫妻は監督、プロデューサーとして無事クレジットされ、ウェドンの名は脚本家の一人として加わることになった。

こんなDCとマーベルのコラボもあって、『ジャスティス・リーグ』は来週末から米国など世界中で公開、11月23日(祝)からは日本でも公開される。折しも『アベンジャーズ』シリーズ最新作『マイティ・ソー バトルロイヤル』も日本公開中。映画館で見比べ、あなたなりの対決を演出してみてはいかがでしょうか。