大泉洋×松田龍平の『探偵はBARにいる』もいよいよシリーズ3作目。北海道随一の歓楽街ススキノを舞台に、街の裏表を知り尽くした自称「ススキノのプライベートアイ」こと“探偵”のドタバタ劇を描く、コミカルかつスタイリッシュなハードボイルド・アクションです。

ハードボイルドな探偵モノと言えば、主人公を惑わす美女がつきものですが、独創的な世界が展開する本シリーズでは、ヒロインもひと癖もふた癖もある強者ぞろい! 美人女優たちの謎めいた魅力に惑わされた探偵が、事件に巻き込まれていくという展開がお決まりとなっています。そこで今回は、これまで同シリーズに登場したヒロインたちを、振り返りたいと思います。

高級クラブのミステリアスな美人ママ・沙織…『探偵はBARにいる』(2011年)

行きつけのBARで、相棒の高田(松田)と飲んでいる探偵(大泉)が、コンドウキョウコと名乗る謎の女性から奇妙な依頼により、厄介ごとに巻き込まれていく記念すべき第1作目。ヒロインの小雪が演じるのは、依頼に関係する事件で夫を亡くした高級クラブの美人ママ・沙織です。

その存在感と抜群のプロポーションを活かし、やり手で妖艶な沙織を熱演した彼女。高級シャンデリアが輝くクラブのフロアを、胸元の開いた白いドレスを着て歩いてくる登場シーンは、日本人とは思えないゴージャスさに目を奪われてしまいます。そんな堂々とした沙織ですが、夫の死後すぐに裏社会の黒幕の息子と婚約したことを探偵に激しく罵倒されると、涙を流すか弱い面もみせます。

どこか捉えどころのないミステリアスな女性を熱演した小雪。彼女のヒロインぶりが、大ヒットの成功に一役買っていることは、間違いありません。

毒舌美人バイオリニスト・弓子…『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』(2013年)

久しぶりに猥雑で活気あふれるススキノに舞い戻った探偵は、友人だったオカマのマサコちゃんが何者かに殺害されたことを知らされます。死んだマサコちゃんが昔から応援していた美人バイオリニスト・弓子(尾野真千子)が、探偵に殺害事件の捜査を依頼し、物語は走り出します。

その美しい容姿とは裏腹に、弓子は、護身用スタンガンで探偵に電気ショックをくらわせて、「指一本でも触れたら×××噛み切ったるからな、ド・チンピラ!」とタンカを切るような毒舌女。他にも探偵がひいきにする「喫茶モンデ」の超まずいナポリタンをすごい勢いでおかわりするといった強烈なキャラですが、明るくどこか憎めない弓子を、尾野は親近感の湧く演技で体現しています。

そんな負けん気の強い弓子ですが、恩人でもあるマサコの死の真相を必死にさぐる健気な一面もみせます。そのあまりのギャップに、探偵が思わず惹かれてしまうのも納得です。

危険な香り漂わす風俗店のオーナー・マリ…『探偵はBARにいる3』(12月1日公開)

そして最新作では、シリーズ史上最も過激なヒロインが登場します。失踪した女子大生・麗子(前田敦子)の調査に端を発し、探偵が大きな陰謀に巻き込まれる本作。麗子が所属していた芸能事務所を装った風俗店「ピュアハート」のオーナー・マリを演じるのが北川景子です。

札幌経済界を裏で牛耳る北城(リリー・フランキー)の愛人であるマリは、探偵にハニー・トラップを仕掛けたり、北城を出し抜いたりする危険な女性。探偵を事件の渦中へ引きずり込んでいきます。北川はその美しい容姿と卓越した演技力で、過激&したたかなマリを熱演。北城に裏切りがバレてしまい、髪をつかまれテーブルに叩きつけられるなど、北川のこれまでの優等生的なイメージを一新しています。

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

クライマックスとなるイベント会場でマリがみせる、拳銃乱射シーンでの鬼気迫る姿も見どころです。予測不能の行動を取る危なっかしさと、どこか悲しみを感じさせるヒロインという難役でしたが、北川は見事に演じ切っています。

ミステリアスだが人間味のある歴代ヒロインたちの、強気な態度の裏に隠されたいじらしさ。探偵がついほだされてしまうのにも、思わず共感してしまいます。彼女たちの存在が、ユーモラスかつ、ハードボイルドな本シリーズの魅力を、最大限に引き出していると言っても過言ではないでしょう。

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)