11月に閉幕した第30回東京国際映画祭に出席し、元気な姿を見せた御年79歳の大林宣彦監督。劇場用第1作『HOUSE/ハウス』(1977年)よりも前に書き上げていたという幻のシナリオを映画化した『花筐/HANAGATAMI』が12月16日から劇場公開されます。

大林監督といえば、これまで薬師丸ひろ子や原田知世ら、数多くの女優をスターダムへ押し上げてきた映画監督としても知られていますが、個性派ぞろいの俳優たちが集結した本作で、ひと際フレッシュな魅力を放っているのがヒロインの矢作穂香です。

TVドラマ「イタキス」で大ブレイク!

小学校6年生の頃にスカウトされた矢作穂香は、2009年にファッション雑誌「LOVE berry(ラブベリー)」の専属モデルとしてデビューしました。その後も、雑誌「ピチレモン」、「non-no」の専属モデルとして活動する一方で、女優として数多くのドラマにも出演。

女子生徒役で出演したドラマ「幽かな彼女」や、古川雄輝と共演し、アジア諸国で大ブレイクした「イタズラなKiss~Love in TOKYO」のヒロイン役でも高い注目を集め、その愛くるしいルックスに見覚えがある人も多いことでしょう。

2015年、女優としてのステップアップを目指して単身ニューヨークへ。2016年3月に帰国した彼女は、同年8月にBSスカパー!のドラマ「あの日の君に、」で主演を務めたほか、映画や舞台にも出演。現在20歳という若さながら、女優としての道を模索し、自ら新たな境地を切り開いているという印象を受けます。

名匠・大林宣彦監督からのオファーを機に、矢作穂香とし再スタート

(C)唐津映画製作委員会/PSC 2017

そんな彼女ですが、実は帰国直後に、映画界の巨匠から出演のオファーを受けていました。それが大林宣彦監督です。以前から映画やドラマでの矢作の演技を見ていた大林監督は、佐賀県唐津市を舞台にした新作映画『花筐/HANAGATAMI』への出演を、監督自らオファーしたのです。

窪塚俊介、常盤貴子、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、門脇麦ら、ひと癖もふた癖もある個性派俳優がそろう中、彼らと肩を並べる主要キャストに抜擢したのです。この経緯を見ても、大林監督の期待の大きさが分かるというもの!

また、大林監督からの勧めもあって、本作の出演を機に、“未来穂香”から本名の“矢作穂香”へと改名。国内のみならず、海外からも高い評価を集めている大林監督の新作で、矢作穂香として再スタートを切ることになりました。

8キロの減量で病魔に冒された“薄幸の美少女”を熱演

(C)唐津映画製作委員会/PSC 2017

矢作穂香が演じるのは、窪塚俊介演ずる主人公・俊介が密かに想いを寄せる従妹の美那。肺病を患っているという設定のため、大林監督からは5キロのダイエットを命じられたものの、矢作はクランクインまでに8キロの減量に成功したそう。

透き通るような白い肌に、やや影を落とした長い黒髪の少女……。第二次世界大戦真っ只中という舞台設定ですが、同年代の女生徒を演じた門脇麦、山崎紘菜と並んだ時の立ち居振る舞いは、まさに薄幸の美少女! 喀血のシーンは、大林監督も“美しかった”と太鼓判を押したほどだったといいます。

奇しくも肺病を患った病人という意味では、本作クランクイン直前に肺がんが発覚し、余命宣告を受け今なお闘病中という大林宣彦監督も、ことのほか思い入れのあるキャラクターかもしれません。その大林監督が、「映画化するのは終生の夢」とまで切望した40年越しの企画が、この『花筐/HANAGATAMI』です。この作品を経てどんな女優に成長するのか、その期待も込めて進化した彼女の演技をスクリーンで体感しましょう。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)