12月16日(土)に公開を控える『8年越しの花嫁 奇跡の実話』。YouTubeに投稿されたあるカップルの動画が「奇跡の結婚式」「号泣する実話」として話題となり書籍化され、この度映画化に至った感動作です。

YouTubeをはじめとして、今やインターネットの動画配信サイトの影響は絶大で、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』のように映画化されるケースが増えてきました。そこで今回は、ネット動画からスクリーンへと羽ばたいた作品に注目してみたいと思います。

ネット動画をきっかけに長編監督デビュー!-『ライト/オフ』(2016年)

電気を消すとやってくる“それ”の恐怖にさらされる一家を描いたホラー映画『ライト/オフ』(2016年)。動画サイトに投稿されるやいなや、衝撃度と質の高さが話題となり、全世界で1億5,000万回もの再生回数を記録した恐怖動画を長編化した作品です。

監督を務めたデヴィッド・F・サンドバーグは、YouTubeに投稿したアニメ動画がきっかけとなり映像製作の道を歩み始めた人物ですが、「ホラーやSFが撮りたい」という夢を諦めきれず、映画コンペに参加するために恐怖動画を撮影し投稿。すると『死霊館』『ソウ』シリーズで知られるホラー映画の第一人者、ジェームズ・ワン監督の目に止まり、長編映画としての製作が決定したのです。

本作で長編映画監督デビューを果たしたデヴィッドは、今年公開された『アナベル 死霊人形の誕生』(2017年)の監督も務めています。ネット動画でキャリアをスタートさせたばかりか、進路の軌道修正までネット動画で叶えてしまった夢のような例です。

ゲーム愛が高じて映画に!-『ストリートファイター 暗殺拳』(2014年)

好きなゲームへの思いが募りすぎて形になったのが、『ストリートファイター 暗殺拳』(2014年)です。
マット・デイモンらとともに『ボーン・アルティメイタム』(2008年)にも出演していたイギリス人俳優のジョーイ・アンサーは、ゲーム「ストリートファイター」の大ファン。ところが、これまでに製作された実写映画がゲームの世界観から乖離していることに納得できず、自ら映画を製作することを決意しました。そして、自身が監督・主演を務めた『ストリートファイター レガシー』という動画をYouTubeに投稿すると、瞬く間に多くのファンの心を掴み、ゲームの権利元であるカプコン公認のもと長編化が決定。クラウドファンディングで資金を募りながら完成までこぎつけました。

本作は、CGなしのアクションシーンやゲームに忠実なつくりが好評を博し、イギリスのみならず、日本でも1日限定で公開されました。まさにファンの愛情が映画化まで導いた一作だと言えるでしょう。

おふざけが巨匠に見つかり映画化!-『クラウン』(2014年)

自身の才能や思いを詰め込んだ動画が存在する一方で、おふざけが許されてしまうのもネット動画の特徴です。
『クラウン』(2014年)は、映画学校に通う学生たちが投稿した、フェイクのホラー映画の予告動画がもとになった作品。動画は、ピエロの衣装が脱げなくなった男が次第に悪魔へと変貌を遂げるというストーリーで、非常に質が高いものでしたが、彼らが作品のクレジットにジョークとして、『ホステル』(2005年)などで知られるホラー界の帝王イーライ・ロスの名前を入れたのです。

ところが、なんとイーライ・ロス本人がこの動画を発見! 直接彼らに連絡したイーライは、咎めるどころか映画化の話を持ちかけました。

公開時のインタビューでイーライは、動画を見た時の感想を「こりゃ最高だと思った」と語り、全く怒らなかったそう。製作時には、自身がこれまでに蓄えてきたホラー映画のノウハウや心得をまだ若い彼らに教えながら進めていくなど、巨匠としての懐の深さを見せています。

やりたいことを詰め込んだら傑作に!-『ハードコア』(2015年)

『ハードコア』(2015年)は、全編一人称の視点で撮影されたアクション映画です。本作もまた、インターネットに投稿された動画がきっかけとなり、映画化された作品です。
事の発端は、ロシアのパンクバンドでフロントマンをつとめるイリヤ・ナイシュラーが、アクションゲームなどで用いられる一人称視点を活かして自身のバンドのMVを作成し投稿したこと。その斬新な試みが話題となり、動画は世界中に拡散されました。

やがて、クラウドファンディングで資金を集め、90分の長編として製作することになりましたが、前例のないチャレンジに撮影は困難を極めたそう。監督を務めたイリヤは公開時のインタビューで当時を振り返り「観客が主人公の目線で追いかけられるようにするために何度も撮り直した」と語っています。

こうした苦労が実り、本作はトロント国際映画祭で観客賞を受賞し、翌年には全米3,000館で公開され初登場5位を記録。日本でも劇場公開されるなど、興行的にも成功を納めました。

YouTubeに投稿した挙式動画が映画に-『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)

(C) 2017映画「8年越しの花嫁」製作委員会

この冬公開の『8年越しの花嫁 奇跡の実話』も、YouTubeに投稿された1本の挙式動画がきっかけとなり映画化された作品です。幸せでいっぱいのカップルを突如襲った病と、そこから8年もの闘病生活を乗り越えて迎えた結婚式……動画に刻まれた奇跡の実話は国内外で拡散され、テレビや書籍など、数々のメディアで取り上げられ人々の涙を誘いました。

(C) 2017映画「8年越しの花嫁」製作委員会

原因不明の病に倒れ、意識不明に陥る麻衣役を演じたのは土屋太鳳。一向に目を覚まさない彼女をひたむきに支え続ける尚志役を佐藤健が演じました。また、監督は『64-ロクヨン-前編/後編』(2016年)での深い人間ドラマが記憶に新しい瀬々敬久監督が務めます。

いつ目覚めるかわからない麻衣を見た母親は、尚志に「もう麻衣のことは忘れてほしい」と告げます。それでも寄り添い続けた尚志の気持ちに応えるように、麻衣はやっと目を覚ましますが、その後さらなる試練が2人を襲い……。さまざまな困難が待ち構える8年もの歳月を目の当たりにした時、「意識の戻らない恋人を何年待てるだろうか」と自問自答せずにはいられません。

(C) 2017映画「8年越しの花嫁」製作委員会

インターネットの動画がきっかけとなった作品を見てみると、とりわけ強い思いが込められているものや、「際立っていた」と人々に言わしめるほどの輝きを放っているものが多いことがわかります。『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)もまた、深い愛と信じる力に溢れた力強いドラマが人々を惹きつけ、映画化に至ったのでしょう。漫画や小説を原作とする作品は多く見られますが、今後はネット動画をもとにした作品もさらに増えていくかもしれません。

『8年越しの花嫁 奇跡の実話』は、12月16日(土)全国ロードショーです。

(鈴木春菜@YOSCA)