Sexy Zoneの中島健人と、Hey! Say! JUMPの知念侑李が豪華競演した、映画『未成年だけどコドモじゃない』(12月23日公開)は、王子様ふたりの「キラキラ×キラキラ」とも言うべき相乗効果に酔わされる作品。一粒で二度美味しい、そんなスイーツのような映画なのだ。

中島健人による、リアリティが漂う演技

少女漫画原作ものには、よく夢のような設定があるが、本作もまさに夢そのもの。まず、ヒロインの香琳(平祐奈)は大金持ちのお嬢様。ひとりじゃ何もできない彼女が、16歳の誕生日にプレゼントされたのは、親が決めたイケメン尚(中島健人)との結婚だ。しかも、尚は香琳がかねてから憧れていた同じ学園の人気者である。極秘で結婚生活=同棲が始まるが、実はワケありの政略結婚だったことが判明する。香琳にまったく興味なしの尚を振り向かせるために、彼女は懸命に女を磨きはじめるのだ。

物語は、何不自由なくすくすくと、それなりにワガママに育ってきたお嬢様・香琳の視点で、テンポよく軽快に進んでいく。世間知らずとはいえ、決して性格が悪いわけではない、香琳のキャラクターには嫌味がなく、演じる平祐奈もコメディエンヌとしての本領を発揮している。身のこなしはスマートで、ときおり真剣なまなざしで見つめてくる尚に、観客が虜になるまではあっという間だろう。最初はツンツン、すぐにツンデレ、やがて非常にマメな優しさを感じさせるようになる尚という男。「それってヒロインにとって都合良すぎない?」と思う人もいるかもしれないが、中島の芝居は、その塩梅が絶妙なのだ。

このお話は、下手にナマ身感が出てしまうと、夢が夢でなくなってしまう。中島は、夢を夢のままに留めながら、尚に映画ならではのリアリティを付加している。物語が進んでいくうちに、尚は香琳に本気になっていくのだが、いつ、どの瞬間に彼が本気になったかは、観ている観客はもちろん、物語内の尚もわからない。だが、気付いたらそうなっていた感じだ。尚を演じる中島は、恋の「現在進行形」ではなく、恋に「いつの間にか辿り着いてしまっている」男の表情を何度か浮かべる。それが、夢をさらなる夢に高めるための“スパイス”の役目を果たしているのだ。

知念の芝居は、前半と後半とで印象がガラリと変化

一方、知念は尚の恋敵、五十鈴(通称リンリン)を演じる。リンリンは香琳と同じく大金持ちの御曹司だ。香琳とは違って自立心が強く、若くして既に一国一城の主の趣がある。香琳とは幼馴染みで、ずっと一途に想い続けている骨太さがある。そんなリンリンは、香琳の前では、あえてカジュアルに、あくまでも友だちとして振る舞う。香琳に対して本気だからこそ、己を抑制することができる。そんな男気を、さり気なく伝えてくる知念の立ち回りが素晴らしい。これも、下手に生臭くなってしまっては、作品自体が崩壊する。言ってみれば、尚は「無意識の恋」に生き、リンリンは「意識のある恋」に生きている。対象は同じひとりの女の子だが、ふたりはまったく違う恋を生きているのだ。

リンリンが動き出し、物語は急展開を迎え、ある決着をもたらす。後半に入ってからのリンリンの覚悟の据わった有り様は、男ならばきっとグッとくるはずだ。知念は前半と後半の芝居をすっとチェンジさせ、隠し持っていた本気をさらりと露わにして、堂々とそこにいる。

極上のスイーツは、パティシエの寸分の狂いもない配分と調理によってかたちづくられる。映画『未成年だけどコドモじゃない』は、中島健人と知念侑李の見事な演技が同時に楽しめる、キラキラ感と胸キュンが詰まった、完璧なスイーツなのだ。

(文/相田冬二@アドバンスワークス)