12月23日(土)よりテアトル新宿にて公開される映画『二十六夜待ち』。佐伯一麦の同名小説を、越川道夫監督が映画化したもので、心に傷を持つ男女の関係をつづります。

本作で、井浦新とW主演を務めるのが女優・黒川芽以。『愛を語れば変態ですか』(2015年)、『64』(2016年)など話題作への出演が続き、演技派女優の1人として知られています。1987年生まれの黒川は、1993年にCMへの出演をきっかけに芸能界デビューを果たしました。彼女が女優として注目を集めたのが、2004年にBS-i(現在のBS-TBS)で放送されたドラマ「ケータイ刑事 銭形泪」です。

彼女が出演した「ケータイ刑事」シリーズは、出演した女優がその後に大成しており、若手の登竜門のような存在となっています。今回は同シリーズに出演した女優について、現在に至るまでの成長していく姿を追ってみました。

携帯電話を操って事件の謎を解く女子高生…その始まりは宮﨑あおい

ケータイ刑事は女子高生でありながら刑事だという、奇想天外(?)な設定のヒロインが事件を解決するコメディーシリーズです。この作品で黒川は警視総監を祖父に持つIQ180の女子高生刑事・銭形泪として、携帯電話を駆使して事件に挑む役どころです。謎を解いた泪が犯人と対峙するというのが定番のパターンでしたが、そのときに言い放つ「私の泪で溺れなさい」というキメ台詞が人気に。ちなみに、携帯ストラップに仕込んだ網が武器でした!

いわゆるアイドルドラマ的な要素が強い作品でしたが、その一方で公開収録を敢行したり、ミュージカル仕立てで物語が進む回があったりと、実験的な演出を多く取り入れたことも話題となりました。2006年には黒川の主演で『ケータイ刑事 THE MOVIE バベルの塔の秘密~銭形姉妹への挑戦状』として映画化もされています。

黒川主演の「銭形泪」はシリーズ第3作でしたが、記念すべき第1作目「ケータイ刑事 銭形愛」(2002~2003年)でヒロインを演じたのが宮﨑あおいでした。

後に『NANA』(2005年)や、NHKの連続テレビ小説「純情きらり」(2006年)、大河ドラマ「篤姫」(2008年)の主演を務めることになる彼女ですが、当時は『EUREKA ユリイカ』(2001年)に出演したことで“期待の女優”として注目を集め出したばかり。銭形愛のキメ台詞「そこらへんのギャルと一緒にすると、火傷するよ」にも、まだまだ初々しさが残っていました。

堀北真希や夏帆は映画で好演し、女優として大成長

シリーズ第2作「ケータイ刑事 銭形舞」(2003年)で主演を演じたのが堀北真希です。後に『誰かが私にキスをした』(2010年)、『大奥』(2010年)、『白夜行』(2011年)などの映画に出演。特に、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズでの好演が注目を集めました。また、宮﨑同様、NHKの連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(2012年)でも主演を務め、国民的な人気を獲得しています。

「銭形舞」は彼女のドラマ初主演作で、作中では高校生役でしたが、出演時はまだ中学生でした。その表情にはまだまだあどけなさが残りますが、オープニングのダンスシーン(“舞”ということで舞います!)で見せる凛々しい表情には、大物の風格が漂います。

2004~2005年に放送された第4作「ケータイ刑事 銭形零」では、夏帆が主演を務めました。ティーン向けファッション誌のモデルを務めていた彼女は、こちらも新人女優の登竜門とされる「三井のリハウス」のCMに出演し、一躍注目の的に。ちょうど、そのタイミングで銭形零を演じることとなりました。

堀北と同様に当時はまだ中学生でしたが、こちらはドラマ内の設定も中学生ということになっていました。犯罪トリックを解き明かす場面では、朗々と謎解きを語りますが、必死に台詞を語る姿は実に初々しいものでした。

そんな彼女は、2007年に『天然コケッコー』で映画単独初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞など、数々の新人賞を獲得。そして2015年には映画『海街diary』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得し、今では大人の女優として、誰もが認める存在となっています。

以降、第5作の「銭形雷」は早織、第6作「銭形海」は大政絢、第7作「銭形命」は岡本あずさ、最終作となった「銭形結」は岡本杏理がヒロインを演じました。いずれもこのシリーズでの主演をステップボードに、テレビドラマ、映画、舞台とさまざまな分野で活躍を続けています。

映画『二十六夜待ち』で黒川芽以は、震災ですべてを失い、福島の祖母の家に身を寄せながら、小さな飲み屋で働く女性を演じます。井浦新が演じる記憶を失った飲み屋の店主とともに、心に傷を抱える2人がやがて惹かれあうようになっていく様が描かれる同作。劇中で20分にもおよぶラブシーンを演じることでも話題を呼んでいます。「銭形泪」で女子高生を初々しく演じた黒川。今や大人の女性へと成長した、その演技は必見です。

(文/地江仲慶太@H14)