結婚がスタートのお見合いっていい

 西岸良平の人気コミックを『ALWAYS』シリーズを手掛けた山崎貴監督で実写映画化した『DESTINY 鎌倉ものがたり』。本作で、堺雅人演じるミステリー作家・一色正和の年の離れた若妻・亜紀子を演じた若手実力派女優・高畑充希が、理想の夫婦像や自身の転機となった出来事について語った。

台本が完璧で「まずい」って思いました

Q:とってもかわいらしい若奥さまぶりでしたが、最初に台本を読まれたとき、どんなことを意識しましたか?

すごく完璧な台本で、読んだだけでキャラクターもしっかり想像できるし、シーンごとの顔もイメージできるので「まずいな」って思ったんです。

Q:「まずい」ですか?

わたしが演じた亜紀子というキャラクターは、子供っぽかったり、大人びていたりと、どこかフラフラしていたいという印象があったのですが、台本がすごくちゃんと作られていたので、隙間がなかったんです。だから一度読んだイメージを一回忘れちゃった方が良いのかな、と悩みながら撮影に入りました。

Q:堺雅人さんとの夫婦の空気感はとても心地よい関係に見えました。

堺さんはわたしより年上の俳優さんなので、最初夫婦というお話を聞いたときは「兄妹じゃなくて夫婦ですか?」ってびっくりしたんです。でも堺さんはとても穏やかな方で、周囲の人とも気さくに話してくださったので、わたしも気負いなくやらせて頂き、横にいるのが当たり前のような感じで臨めました。一色先生ラブという気持ちを中心に置いて、とにかくいっぱい触れて、いっぱい甘えようという気持ちで関係を築いていきました。

お見合い結婚やビビット婚もあり!

Q:年の離れた夫婦で、亜紀子は一歩引いた印象の関係でしたが、高畑さんの考える夫婦像というのはどんなものですか?

一番身近な夫婦と言えば両親を思い浮かべます。うちはどちらかというと亭主関白気味なんです。母親は父親のことがすごく好きなんだろうなって感じがして、仲はいいです。両親はお見合い結婚なのですが、結婚がスタートってなかなか良いなと思っています。

Q:結婚がスタートの魅力とは?

付き合うと結婚がゴールって錯覚してしまうこともあるのかなって。もちろんそうじゃないってわかってはいるのですが……。でもお見合い結婚や、ビビットきて結婚すると、そこからがスタートになるので、相手への気持ちも新鮮だし、ありかなって思うんです。よく長く付き合った恋人と別れて、すぐ次に付き合った人と結婚したって話を聞くのですが、なんとなくわかる気がします。

Q:一色先生はやや亭主関白的な部分もありますよね。

ちょっと古風な感じはありますが、亜紀子さんが主導権を握っている部分もあるんです。尻に敷いたり敷かれたりとシーソーのように関係性が変わるのって、暮らしていて楽しいだろうと思います。

Q:劇中では、愛する夫を残して旅立ちますが、高畑さんは好きな人より先に旅立ちたいですか? それともあと?

わたしは先に旅立ちたいかな。でもこの作品のように黄泉の国があるなら、またいつか会えるのでどっちでもいいかもしれませんね。

舞台「奇跡の人」が女優・高畑充希のターニングポイント

 

Q:亜紀子は一色先生と出会ったことで大きく人生が変わりましたが、高畑さんにとって、人生が変わるような大きな出会いはありましたか?

デビュー前から「奇跡の人」の大ファンで、いつか絶対に出たいと思っていたんです。17歳のときに夢が叶って「奇跡の人」でヘレン・ケラー役をやらせていただいたとき「こんなにも夢中になれるものってあるんだ」と強く思いました。わたしは飽きっぽい性格なのですが「こんなに心動く仕事ってすごい。演劇を長く続けていきたい」と思えたので、その意味ではターニングポイントになった作品です。

Q:なぜ、そこまで演劇に魅了されたのですか?

演劇をやっているときって、集中し過ぎて気付かないのですが、家に帰ったら流血しているなんてこともありました。そのぐらい熱中してしまうんです。身体さえも持っていかれてしまう感覚なんです。

Q: NHKの連続テレビ小説「とと姉ちゃん」では主演を務めましたが、長丁場で得たことは多かったですか?

朝ドラをやっているときって、スケジュールがタイトで、ずっと自分の中が混乱していたんです。そこから少し時間がたって、いろいろなお仕事にトライしていくうちに、自分がどう変化したのかが体感できて、言葉で表現するのは難しいのですが、とても良い時間だったと思っています。

取材・文:磯部正和 写真:尾藤能暢