1年間の製作本数では、ハリウッドを凌駕すると言われている映画大国インド。ハリウッドをもじり、“ボリウッド”と呼ばれる映画産業が隆盛したり、言語によって“コリウッド”“トリウッド”と映画が区別されたりと、独自の発展を遂げてきたインド映画ですが、そんなインド映画史上最も“ヤバい”といっても過言ではない超大作『バーフバリ』をご存知でしょうか?

やりすぎなアクションが満載!とにかくヤバい『バーフバリ』

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“バーフバリ”とはインドの言葉で“強い腕を持つ男”の意味。古代インドの神話的叙事詩である「マハーバーラタ」をベースとした本作は、伝説の戦士“バーフバリ”の宿命を背負った男たちの、三代にもわたる数奇な運命を描いたアクション2部作。その後編『バーフバリ 王の凱旋』が12月29日より公開されます。

インド映画に欠かせない歌やダンスはもちろんですが、やりすぎと思えるほど娯楽に徹しているところが魅力の本作。特筆すべきは、なんといっても5000人以上のエキストラを使ったというバトルシーンです。

300人のスパルタ軍が、100万人ものペルシアの軍勢に挑む『300<スリーハンドレッド>』(2007年)のバトルを彷彿とさせる大スケールに、VFXやスローモーションといった映像技術を存分に使ったケレン味溢れるアクションで、これまでに観たことのないような新鮮味溢れる映像のオンパレードなんです。

インドでは異常なまでの盛り上がり!社会現象化した前作のヒット

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前後編合わせて約73.5億円という、インド映画史上最高額の製作費を投じ、3年の歳月を費やした本作は、公開後の反響もケタ外れの盛り上がりを見せます。前編『バーフバリ 伝説誕生』(2015年)は、インドでのロードショー初日に、チケットを求める人が4000人近く殺到したという秘話も。興収ではインド歴代第1位を獲得。勢いそのままに、アメリカにも波及すると、インド映画初となる全米第9位にランクインするなど、数々の伝説を生み出していきました。

そして2017年4月に日本上陸を果たすと、そのスケールの大きさと驚愕のアクション描写から「ヤバすぎる!」とネットを中心に話題に。マサラ上映(観客が踊ったり、歌ったりと、主体的に映画に参加できる上映スタイル)が実施され人気を博すなど、日本でもカルト的な盛り上がりを見せました。

ラブロマンスなのに車が宙を舞う!? 監督のクセがすごくてヤバい!

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作品の中身も、反響の具合もヤバすぎる『バーフバリ』ですが、その要因は、インド映画きってのヒットメーカー、S.S.ラージャマウリが監督を務めているから。これまでのフィルモグラフィーを振り返ってみても分かるように、その独創的な感性で描かれるインパクト大の映像からクセがすごい監督として認知されています。

日本でも話題になった『マッキー』(2012年)は、殺された男がハエに生まれ変わるという驚きの設定と、その主人公(ハエ)がマフィアの男に立ち向かう姿を最新のVFXで描くという奇想天外なアクションコメディ。続いて日本で公開された『あなたがいてこそ』(2010年)は一転、対立する二つの家族の男女がお互いに惹かれ合う姿を描いたラブロマンス。「ロミオとジュリエット」を思い出させるような設定ですが、歌を歌う主人公の後ろで何十台もの車が宙を舞ったり、大きな球の下敷きになった人間がペッチャンコになったりと、どこまでが冗談かわからないような大胆な描写の連発。あまりのヤバさにツイッター上でも多くの話題を集めました。

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最新作となる『バーフバリ 王の凱旋』でもそんな監督のクセの強さは健在。ケレン味たっぷりのアクション演出に、壮大なストーリーテリングと、監督がこれまでの作品で培ってきた持ち味を最大限に発揮した、怒涛のエンターテインメント作品となっています。思わず笑ってしまいそうなほどのスケールの大きな映像が、スクリーンの隅から隅まで描かれていきます。

インド映画ならではの娯楽性と、オリジナリティあふれる映像表現を両立させられるラージャマウリ監督だからこそ作り得た『バーフバリ』。ハリウッド映画では味わえない映像体験は、スクリーンで見てこそ、その真価を発揮すると言えるでしょう。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)

【特集記事】吹き止まぬ『バーフバリ』旋風!一体なにが起きているのか?

映画大国のインドが放つアクション超大作『バーフバリ』2部作。その圧倒的スケールのアクションや、強烈な世界観に魅了される人々が後を絶たない。現在も、日本全土に“バーフバリ旋風”が起き続けている。ストーリーからキャスト、そして新たなメディアミックスなど、魅力を徹底解説。