文=浦木 巧/Avanti Press

全国1,600万人を超える“マジンガー”世代の皆様、お待たせしました。今回ご紹介する映画は、インフィニティ……そう、『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』! 「ひと足お先に、観てきたぁ……ゼェーーーーーット!!」……と、力を込めて叫んでも、なんのことやら?という人も絶対多いですよね(すみません)。ということで「マジンガーZ」について、ちゃんと説明せねばなりますまい。

オリジナルは爆発的なヒットを記録した元祖メディア・ミックス作品

『マジンガーZ / INFINITY』
2018年1月13日公開
(C) 永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

懐かしのアニメソング系の番組で必ずと言っていいほど登場する、大御所アニソン歌手・水木一郎が熱唱する主題歌や「ゼェーット」の叫び(ももいろクローバーZともコラボ実現ずみ)で、名前だけは知っているという方も多いと思います。当時「ハレンチ学園」「デビルマン」の大ヒットで乗りに乗っていたマンガ家、永井豪が1972年にマンガとして発表し、ほぼ同時期にTVアニメも放送されて爆発的なヒットを記録したのが、この「マジンガーZ」。今でこそ当たり前となった、マンガとアニメ、そして玩具との連動ですが、戦略的に推し進められたのはこの作品が初。劇中の用語からロボットのフィギュア・ブランド「超合金」も生んだ、元祖メディア・ミックス作品でもあるのです。

本作なしにはガンダムもエヴァもなかった、“元祖”操縦型ロボットもの

『マジンガーZ / INFINITY』
2018年1月13日公開
(C) 永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

“元祖”という切り口では、日本アニメ史上で初めて「主人公が乗り込んで操縦する巨大ロボット」を描いたのも本作。「機動戦士ガンダム」も「新世紀エヴァンゲリオン」も、「マジンガーZ」がなかったら誕生していなかったかもしれません。テレビの視聴率は、実に30%超! 続編シリーズも含めると77年まで5年にわたって放送された長寿作で、当時の子供たちの心に強烈に刷り込まれた「国民的おばけ番組」だったのであります。最初に書いた「1,600万人」というのは、当時4、5歳から10歳くらいまでだった人=現在40代中盤〜50代中盤の人々の概数。“マジンガーリアル直撃”世代(筆者含む)というわけです。

TVシリーズの10年後を描いた今回の新作

さて、そんなマジンガーが、実に誕生から45年ぶりに、完全新作の続編アニメ『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』としてスクリーンでよみがえるとなれば、世代どっぷりのおじさんが震えないはずなどありえません。さあ来い、マジンガー、俺たちを今度はどんなワクワクに連れて行ってくれるんだ!?

物語は、TVシリーズで描かれた主人公・兜甲児の戦いから10年後、富士山の地中深くに謎の巨大構造物とそれと連動する生体ユニットが発見され、今は科学者となった甲児が研究のために日本へ戻ってくるというのが導入部。時を同じくして、かつて倒したはずのマッド・サイエンティスト、Dr.ヘルが復活し、巨大構造物の力を使って世界を消滅させようと大軍団を率いて侵攻してきます。人類滅亡の危機を前に、再び甲児がマジンガーZに乗り込み、壮絶な戦いに挑むさまが描かれる──という流れです。

『マジンガーZ / INFINITY』
2018年1月13日公開
(C) 永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

細かい違和感なんてブッ飛ぶ、黄金のお約束展開

当時の子ども向け番組はみんなそうでしたが、オリジナル版には現在のアニメのように、シリーズを通して描かれる大きな謎や凝った物語はなく、毎回敵のロボット=機械獣が攻撃を仕掛けてきてはマジンガーZが出動し、(それなりにピンチになって)最終的に撃退するというストーリー形式でした。

それが2010年代の映画になってどうなるのかと思ったら、『インターステラー』などでも描かれた並行世界というSF的設定や、「ガンダム」以降のリアリティのあるロボット作品の風合いも盛り込み、リアル路線の物語展開に。軍の一般パイロットが搭乗するロボットは敵と強さが互角と現実的なのに、マジンガーZだけが昔ながらに突出して強くて(弾切れやエネルギー切れがなかったり)妙な違和感があったり、生体ユニット(要はアンドロイド、『ブレードランナー』のレプリカントみたいなものなんですが)が「エヴァ」の綾波レイみたいな美少女で、甲児のことを「ご主人様」と呼んだり、「ちょ、ちょっと……今のアニメ・ファン好みに設定寄せすぎじゃない!?」と思いましたが……。

オープニングの水木一郎の新録主題歌が鳴り響いたときにはもちろん、傷ついた仲間たちのために、甲児が再びホバーパイルダー(操縦ユニットとなる戦闘機)で出撃し、「マジーン、ゴー!」と叫ぶとプールが割れてマジンガーZ本体がせり上がり「パイルダー・オン!」と頭部に合体、さらには研究所から射出される飛行ユニット“ジェットスクランダー”と「スクランダークロス!」で空中ドッキングしたら、そりゃあもう!!!!! 細かい違和感なんて完全にブッ飛ぶ大興奮です!

『マジンガーZ / INFINITY』
2018年1月13日公開
(C) 永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

最新アニメならではのハイスピード感と重量感が炸裂

幾千と迫り来る機械獣の群れの中に飛び込み、オールドファン垂涎の必殺武器の数々でなぎ倒していく姿は、CGを駆使して表現されるようになった最新アニメならではのハイスピード感と重量感が炸裂! 「あのマジンガーZがここまで速く、重く、そして強く戦うなんて!」と血がたぎることは確実です! オリジナル版を元にアレンジされたサウンドトラックも、DNAに刻まれた記憶を刺激。体感型シアター「4DX」での上映も決まってるそうですから、凄まじいはずのローラー・コースター感にも大期待!です。

『マジンガーZ / INFINITY』
2018年1月13日公開
(C) 永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

……とまあ、オリジナルを知る世代の感想だけをアツく語ったので、そうじゃない世代の人にどこまで伝わるか? はたまた、実際に見てどう映るかの疑問はありますが、「光子力」という新エネルギーを描いていたり、「多様性」を尊重するがあまり、人類の危機に一致団結できない世界の姿を描いていたりと、現代世界ならではのテーマを突きつけてくるのは、“今”の映画ならでは。この辺りは、世代に関係なく考えさせられる点だったりします。老若男女を問わず誰が見ても面白い映画! とは断言できないけれど、“マジンガー世代”にとっては、あの日の記憶が強烈によみがえり、最高に燃える映画であることは間違いないと言っておきましょう。

そうそう、エンディング・テーマを歌うのは、これもまた世代直撃の吉川晃司! そしてポスターに出ている通り、マジンガーZの兄弟機・グレートマジンガーも登場します!──東映さん、分かってる!!