1月26日公開の『ザ・リング/リバース』は、ハリウッド版『リング』シリーズの第三弾となる作品です。“呪いのビデオのルーツを探す”という原作に忠実なストーリー構成ながら、動画ファイルとして感染を拡大するなど新たな要素が加えられています。

『リング』の貞子といえば、映画ファンのみならずとも、その姿を思い浮かべられるほどの人気キャラクター。今や貞子が始球式をするイベントが行われるなど、彼女は“おなじみのキャラクター”となってしまい、彼女に対する恐怖が薄れてしまった人もいるかもしれません。回を重ねるほどに、主要キャラクターを観客が見慣れてしまい、恐怖を感じなくなるというのは、人気ホラー映画シリーズがもつ宿命です。

しかし、そんな宿命を乗り越えて、別の展開で観客たちを恐怖に陥れたり、新たな魅力を生み出している作品も存在しています。そんな、宿命を乗り越えた人気ホラーシリーズの作品を紹介したいと思います。

ついに現実世界に姿を現した冷徹な殺人鬼フレディ…『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』(1994年)

眠っている人の夢に現れて、殺戮を繰り返すキャラクター「フレディ」が登場する『エルム街の悪夢』シリーズ。その第7作目が『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』です。

当初のフレディは冷徹な殺人鬼で、文字通りの“悪夢”を具現化したような恐怖のキャラクターでした。1日1回は訪れる“眠る”という行為に恐怖を植え付けることで、映画を観た観客は毎晩その凶悪な姿を思い浮かべてしまうわけです。

ところが、シリーズが進むにつれてコミカルな要素が増え、フレディがジョークを放つことが定番化。凶悪な要素は回を追うごとに減っていきます。第6作目にもなると制作会社のCEOが「エルム街シリーズのアイデアは尽きた。後半にいくに連れて質が落ちた」と言ってしまうほど。

しかし、『エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア』では第1作目の監督にして、フレディの生みの親ウェス・クレイヴンが監督復帰。第1作目で主人公を演じたヘザー・ランゲンカンプも再登板して、ヘザー・ランゲンカンプ役を演じています。そう、本作は現実を舞台にした“映画内映画”となっているのです。ウェス・クレイヴンやフレディを6作に渡って演じたロバート・イングランドも、それぞれ本人役として出演しています。

ストーリーは『エルム街の悪夢』のリメイクが制作決定となり、主人公の周りでフレディが暗躍し始めるという内容。フレディからはコミカルな要素が排除され、第1作目と同様に冷徹な殺人鬼として作品に君臨します。

人々の記憶から次第に失われていったフレディ。彼が現実に出現したことには明確な理由が存在し、劇中でウェス・クレイヴン本人の口から語られます。ホラー映画は観客を怖がらせるために作るものですが、「何でみんなホラー映画を見るの? だとしたら恐怖って何だ?」という領域にまで踏み込んだ意欲作です。ウェス・クレイヴン監督はその後、この“映画内映画”という要素をコメディに落とし込み、『スクリーム』シリーズをヒットさせています。

物語は“悪魔祓い”から“猟奇連続殺人事件”へ…『エクソシスト3』(1990年)

悪魔に取り憑かれた少女と、悪魔祓いの神父が対決する『エクソシスト』(1973年)。 その人気は絶大で、『IT/イット』(2017年)がその記録を抜くまでは、R指定ホラー映画として40年以上も興行収入No.1の座(Box Office Mojo調べ)をキープしていました。悪魔に取り憑かれた少女から吐き出される汚物、階段をブリッジしながら少女が降りてくる“エクソシストウォーク”など、恐怖を覚えずにはいられない演出が最大の魅力です。

1977年に作られた続編『エクソシスト2』は、第1作目のようなショッキングなシーンはほとんどなく、精神世界で悪魔と対決するなど前作とは違う方向に舵を切りました。その内容は賛否が分かれましたが、中でも同作に否定的だったのがウィリアム・ピーター・ブラッティ。『エクソシスト』第1作目の原作者です。

ウィリアム・ピーター・ブラッティは『エクソシスト2』を“無かったもの”とし、製作・監督・脚本・原作の4役を務めて“正当な続編”を制作します。それが『エクソシスト3』です。

本作では第1作目とも、第2作目とも違う恐怖の演出が用いられています。“何かとてつもなく怖いことが起きそうな予感がする”夜の病院での粘着質な長回しや、どこから鳴っているのかわからない不快な効果音など。過去2作とは違う邪悪な恐怖演出は、観客の想像を掻き立てました。『イット・フォローズ』(2014年)でも使われていた“ある演出”など、同監督は現代のホラーでも使用されている恐怖仕掛けの発明者でもあります。

キャスティングについても第1作目で悪魔祓いをしていた神父は脇役に回り、逆に脇役だった警部が主人公となっています。また、第1作目には“悪魔に取り憑かれた少女”というアイコンが中心に存在しましたが、本作は“謎の猟奇連続殺人事件”が中心のサイコ・サスペンス映画へと生まれ変わりました。事件という実体はないものの、確実に不気味で邪悪な恐怖が連鎖していく内容です。

ホッケーマスクを被り、宇宙でアンドロイドと戦うジェイソン…『ジェイソンX 13日の金曜日』(2001年)

『ジェイソンX 13日の金曜日』は、『13日の金曜日』シリーズの10作目。ジェイソンはホッケーマスクを被り、一切喋らず、目の前に出てきた人間をなんの理由もなく殺害していくという、“死”そのものが肉体を与えられたようなキャラクターでした。逃げる相手を延々と追いかけ、いつの間にか行く手を阻み、次々と理不尽な死をまき散らすことで観客の恐怖感を煽っています。

しかし、回が進むにつれて超能力少女と戦ったり、さらにはジェイソンが登場しなくなるなど、凝り固まったイメージを払しょくしようと試行錯誤されたシリーズでもあります。本作のDVDの特典映像には、制作にあたって、会議で様々な意見が出たことが語られています。「雪国にジェイソンをだしましょう」「北極とかは?」「いや、アフリカじゃないか」。なかなか決まらないジェイソンの出現場所。しかし、誰かがポロっと言いました。「宇宙に行かせましょう」。そう、10作目の舞台は宇宙です。

すっかり有名になってしまったジェイソンは、もはや観客に怖がられないため、“悪のヒーロー”として作ったと、DVDの特典映像内で製作陣がコメントしています。 その物語は現代で冷凍保存されたジェイソンが、未来の宇宙船で目を覚まして大暴れするというもの。アンドロイドと戦うジェイソン。未来の銃に負けないジェイソン。そして科学技術によりボディを強化した“サイボーグ・ジェイソン”の登場……。『13日の金曜日』の設定で好き放題やってしまったというべき痛快娯楽作品です。

『ザ・リング/リバース』/(C) 2017 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED./2018年1月26日(金)ロードショー/公式サイト:http://thering-movie.jp

『ザ・リング/リバース』で呪いのビデオのルーツをたどることになるのは、新人俳優のマチルダ・ルッツが演じるジュリア。彼女は恋人の身代わりとして、「見た者は7日後に必ず死ぬ」といわれる呪いのビデオを見せられます。果たして彼女は死の連鎖から逃れられるのか……。『リング』と『らせん』の同時公開から20年、原点回帰した貞子がどのような恐怖をまき散らすのか必見です!

(文/塩谷友幸@H14)