2018年は、自分に近い役も含め、さまざまな役が増える年になりそう

ひたすら前向きな姿勢とメンタリティが、役を呼び込んでいる部分もあるのだろう。奇しくも年齢的な節目を迎えた2017年は、次なるフェーズを予期させる年にもなった。

「20代の終わりから30代にかけて、女優さんは役がつかなくなる年ごろだと聞いていたので、『もしかして、仕事なくなるのかな?』と心配していたんですけど、ありがたいことに演じがいのある役を次々といただいて。やはり運がいいし、恵まれているなと思いました。『追憶』(降旗康男監督)にしても『散歩する侵略者』(黒沢清監督)にしても、誰かと関わることで成立させられる役柄だったので、今まで出演してきた恋愛映画での経験が活きたのかもしれないですね。ただ、役どころの世代や性格は少し変わりましたけど、愛情を描いた物語であったり、人に恋をする役柄が多いところは変わっていなくて。18年に公開される映画『嘘を愛する女』(中江和仁監督)の由加利というヒロインも、山田(孝之)くんと10年ぶりに共演した『50回目のファーストキス』(福田雄一監督)も、人を好きになる気持ちの大切さに気づく役なんです」

本人が述べたように、18年も主演を務めた話題作『嘘を愛する女』を筆頭に、作品が続々と待機中。さらに充実の年になるであろうことは、想像に難くない。

「ありがたいことに撮影が立て込んでいるので、たぶん駆けぬける感じの1年になると思います。今のところ聞いている話では、だいぶ役柄に幅があるので、そこは楽しみでもあって。そうそう、一人だけ仕事の話ができる親友がいて、この間、電話で話していたんですけど、『いわゆる世間が思っている長澤まさみじゃなくて、さまざまな役が増える年になるかもね』と言われたんですよ。そしたら、本当にそういう年になりそうで──タイミング的に、そういう年齢なのかもしれないなと思ったんですよね。今後は、自分に近い人間性の役がどんどん増えてくる気もしていて。次に撮る作品がまさにそういう役なんですけど、さらに先に撮る作品でも、自分の中にある暗い部分が活きてきそうな予感がしているんです。ただ、自分の性格って複雑で、どれが本当の自分なのかわからなくなる瞬間もあって。そこを踏まえた上で、自分の中に備わっているものでなければ、表現するのは難しいかなって。そういった自分自身の思いや感情を役に活かしていければ、もっと面白いものがつくれるのかなと、あらためて感じているところです」

よく「芝居には、役者の生きざまが出る」と言われるが、そのことを身をもって実感したというわけだ。本人は「秀でたところが何もない」と謙遜したが、経験則と皮膚感覚で芝居を深化させていく姿を見れば、極めて非凡な女優であることは説明するまでもない。

「過去にとらわれたくないとは言いましたけど、自分のしてきたことを否定してしまうのはやっぱり違うし、自分に対して誠実じゃないな、という思いはあるんです。そう考えると結局、私は私でしかないんですよね(笑)」

表現ではけっして嘘をつかないという、役と自身に誠実であろうとする強き思い。『嘘を愛する女』での芝居における確かなリアリティは、その賜物にして、長澤まさみがある種の境地に立ったことの立証でもある。

『嘘を愛する女』2018年・日本・カラー・ビスタ・118分 監督:中江和仁 脚本:中江和仁、近藤希美 エグゼクティブ・プロデユーサー:阿部秀司 撮影:池内義浩 照明:斉藤徹 録音:高田伸也 美術:林チナ 音楽:富貴晴美 出演:長澤まさみ、高橋一生、DAIGO、川栄李奈、黒木瞳、吉田剛太郎 配給:東宝 ◎2018年1月20日より全国ロードショー 

(c)2018「嘘を愛する女」製作委員会

取材・文=平田真人/制作:キネマ旬報社

>