どこの国にも所属しないスパイ組織の活躍を描いた、超過激スパイアクション『キングスマン』(2014年)。その続編となるのが2018年1月5日公開の映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』です。

今作で主人公・エグジーの前に立ちはだかるのは、麻薬組織ゴールデン・サークルの女ボス・ポピー。笑顔でさらりと人を殺すように命令し、人肉のハンバーガーを部下に食べさせるなど、強烈なキャラクターの持ち主です。かわいらしい衣装とのギャップが、その恐ろしさを一層引き立てています。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』/2018年1月5日(金) TOHOシネマズ 日劇他全国ロードショー/(c) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation/配給:20世紀フォックス映画

そんなポピーに負けないような冷酷な女ボスが、映画の世界にはまだまだ存在しています。今回はその恐ろしさを紹介したいと思います。

ガトリングガンを振り回す、冷徹すぎるギャングの女ボス…『ジャッジ・ドレッド』(2012年)

警察官や陪審員、処刑人の権限を併せ持つエリート裁判官・ジャッジ。その一人、ドレッドの活躍を描いたのが、SFアクション映画『ジャッジ・ドレッド』です。

ドレッドと敵対するのは、高さ200階の超高層アパート「ピーチ・ツリー」を牛耳るギャングの女ボス・ママ。体感時間を遅らせる麻薬を用いたうえで、200階から突き落とし、死の恐怖をたっぷりと味あわせて処刑するなど、残酷な性格の持ち主です。ピーチ・ツリーを訪れたドレッドに対して、ママは自らガトリングガンを振り回して応戦。住民の命もお構いなしの銃撃戦を繰り広げます。

作中でママを演じたのは、海外ドラマ「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」(2008~2009年)で、主人公サラ・コナーを演じたレナ・ヘディ。堂に入ったアクションで、見事な悪役っぷりを見せています。

人間をコレクションする美に魅せられた女盗賊…『黒蜥蜴』(1968年)

深作欣二監督作の『黒蜥蜴』は、江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が脚色した舞台版が原作となった映画です。

この映画に登場する盗賊たちの女主・黒蜥蜴の趣味は、美しいものをコレクションすること。盗み出すのは宝石が中心ですが、同時に美しい人間も手に入れてしまいたくなるという性分です。彼女が所有する私設美術館には、なんと人間をはく製にした無数の人形が……。

今作で黒蜥蜴を演じたのは美輪明宏。ロールスロイスを乗り回すなど、優雅でゴージャスな姿がぴったりハマっていて、日本が誇る女ボスといえるのではないでしょうか。三島由紀夫の戯曲を基にした、美に陶酔しきったきらびやかなセリフの数々は、どこか狂気的で恐怖を感じさせます。

その一方で、彼女を追う探偵・明智小五郎へ告げる禁断の愛の言葉はいじらしいばかり。明智も思わず恋をしてしまうほどのチャーミングさが、ただ怖いだけの女ボスではない彼女の魅力なのです。

かつての味方が最悪の敵に…『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』(2003年)

『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』で敵となったのが、元エンジェルのマディソン。かつてはチームの装備品を考案していたなど、エンジェルのことを熟知している存在です。

そんな彼女が敵にまわるとどうなるか……。メンバーの一人・ディランの過去を暴き、彼女がおびえる元カレに力を貸すなど、心理戦も巧みに駆使してエンジェルを追い詰めます。そして、いざ戦いとなると、無関係な一般人を巻き込むことをものともしない迷惑ぶり。一方で自分の願いが叶いそうになるとはしゃいでしまう、かわいい一面も持ち合わせています。

マディソンを演じたデミ・ムーアは映画の出演にあたり、なんと数千万円をかけて美容整形を行ったと噂されています。この時に本人は否定していますが、後に体に関して整形したことがあると告白しています。その甲斐があってかは定かではありませんが、当時40歳を過ぎていたとは思えない、ダイナマイトな水着姿を披露しています。ロシアン・セーブルのロングコートを貫禄たっぷりに着こなす姿は、まさに最強の女ボスといえるでしょう。

こんな冷徹な女上司は嫌だ…『女神の見えざる手』(2016年)

『女神の見えざる手』に登場するのが、世間が抱く理想の女上司とは真逆のタイプである、女優ジェシカ・チャステインが演じた女ボス・エリザベスです。彼女の仕事はアメリカの政党や議員に働きかけ、政治的決定に影響力を及ぼすロビイスト。眠気を飛ばす薬を飲んでハードに働き続け、“ミス・スローン”と畏敬の念をもってよばれる人物です。

作中でエリザベスは社内弁護士から「誰よりも非道なロビイスト」と罵倒されていますが、ロビー活動を成功させるために、彼女は手段を選びません。デモ隊の人数を増やすために、芸能事務所からエキストラを雇うのは当たり前。有能な女性の部下には優しい顔を見せながらも、彼女の知られたくない秘密が有効なカードと分かれば、本人の許可なく発表します。そのことで部下が命を狙われてもお構いなしです。

サンローランやヴィクトリア・ベッカムの服をまとい、ピアジェの腕時計を身に付け、ヒールの高さは14~15cm。その姿は世界と渡り合うための武装といえるでしょう。性欲は男娼を買って発散させ、誰とも親密な関係を築こうとしないのも、妨げになるものは排除するという仕事の鬼ならではのエピソードです。

本作の脚本を手掛けたジョナサン・ペレラは、ロビイストの仕事とは政治と諜報活動を組み合わせたものだと解釈し、そこから合法ギリギリの活動を展開するロビイストの物語を思いついたそうです。また、エリザベスを演じた女優ジェシカ・チャステインは実際に取材を行い、草の根運動の戦略から、家族との私生活までを参考にしたとか。もし、ロビイストの世界が実際にここまで殺伐としているのだとしたら、そのことにゾッとさせられますね。作中でゴキブリに盗聴器を仕掛けているのも、本当にあった話なのでしょうか……。

『キングスマン:ゴールデン・サークル』/2018年1月5日(金) TOHOシネマズ 日劇他全国ロードショー/(c) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation/配給:20世紀フォックス映画

『キングスマン:ゴールデン・サークル』は前作の1年後の物語。ポピーが率いる麻薬組織のミサイル攻撃によって、キングスマンは壊滅的な被害を受けてしまいます。やがて、アメリカ支部「ステイツマン」の協力を得たエグジーは、そこでポピーの恐ろしいたくらみを知ることになるのです。

作中でポピーは“とんでもない人物”を拉致・誘拐していますが、こちらは抱腹絶倒のシーンの連続。ぜひ、そのギャップも楽しんでください。

(文/デッキー@H14)