1月27日公開の『ラーメンヘッズ』は、業界最高権威TRY大賞4連覇を果たした“キング・オブ・ラーメン”こと富田治をはじめ、日本の様々なラーメン職人たちに密着しながら、日本独自の発展を遂げたラーメンカルチャーを描いたドキュメンタリー映画です。

いわゆる“映画メシ”は、多くの映画ファンの胃袋を刺激してきました。その中でも今回注目したいのがラーメン! すきっ腹には飯テロ注意報な、映画のあとで思わず一杯すすりたくなる、珠玉のラーメンを紹介したいと思います。

男5人の食べっぷりがガツンと胃袋を刺激する一杯…『タンポポ』(1985年)

夫に先立たれた女主人タンポポが営むラーメン屋を、通りすがりのタンクローリーの運転手ゴローをはじめ、5人の男が繁盛店へと生まれ変わらせる物語。理想のラーメンを作るべく奔走する人々の姿が、コミカルながらも感動的に描かれています。

日本のラーメンを世界に広めたともいわれているこの作品。ラーメンを食べるシーンだけでなく、ラーメンの作り方、食べる作法、注文の取り方、店主の体力づくりにいたるまで描かれており、いかに手間暇をかけて一杯のラーメンが作られているかがわかります。

作中ではタンポポと5人の男たちが試作を繰り返しますが、その様子が何とも食欲を刺激するのです。カウンターに並んだ男たちが、一心不乱に麺をたぐり、スープをすする音だけが響き、食べる表情が次々と映し出されていく。そして、タンポポの緊張がピークに達したとき、みんな揃ってどんぶりを抱え、壮大なBGMとともにスープを飲み干す男たち。彼らの満足げな表情に、ついシンプルなしょうゆラーメンが食べたくなる名シーンです!

ニンニクチップとネギに、熱々のネギ油がジュワーッ…『極道めし』(2011年)

食の楽しみがほとんどない刑務所の中で、人間が持つ食への執着を思い知らされる作品が『極道めし』です。舞台はとある刑務所の雑居房。ここでは、“今まで生きてきて自分が一番うまいと思った食い物の話をする”という、受刑者同士のバトルが年に一回行われます。そして、このバトルに優勝した受刑者は、年に一度、正月にふるまわれるおせち料理で、他のものから一品ずつもらうことができるのです。

このバトルでラーメンについて語ったのが、新入りの元チンピラ栗原健太。幼い頃に母親に捨てられ、そのあとはグレてチンピラに。しかし、逮捕される前には、側に寄り添うかわいい彼女のしおりがいました。健太が語ったのは、ラーメン屋を持つ夢を見るしおりが自分のために最後に作ってくれた、何とも切ない一杯です。

ベースは普通のインスタントラーメン。丼にキャベツの千切りを敷き、熱々のラーメンを入れたら、ニンニクチップとネギ、焦がしネギをトッピング。その上に、熱々のネギ油をジュワーッとかけて……と、この細かい描写がいけません。思わずゴクリと喉が鳴ってしまいます。

極限状態ですするラーメン…『南極料理人』(2009年)

氷点下45度、家族が待つ日本までの距離14,000km。南極観測隊という究極の単身赴任についた8人の男たちの楽しみ、それが食事です! 限られた食材でも、最大限においしく、楽しい料理を作ろうと奮闘する料理人の西村淳。彼の作るあたたかな料理の数々が食べる人を癒やし、笑顔にする様子を『南極料理人』では描いています。

さまざまな料理が登場する作品ですが、やはり印象的なのはラーメン! ラーメン好きな気象学者の金田は、夜中にこっそりとラーメンを盗み食いし続け、とうとう基地にあったラーメンは底をついてしまいます。これをきっかけに、基地の秩序は乱れはじめ、鬱屈としたムードが漂ってしまうのでした。

西村は基地にあるものを使い、ラーメンを作ろうとしますが、かん水がないので肝心の中華麺が作れません。そこで、隊員たちとともに知恵を絞り、ついにはあるものを使って麺を作ることに……。みんなが力を合わせて作ったラーメンを前に、金田をはじめとした隊員は仕事を放りだして、がむしゃらに麺をすすります。その幸せそうな様子と笑顔ときたら、思わずラーメンが食べたくなってしまいますよ!

番外編:映画でつい目を引いてしまう一杯…『ラーメンガール』『シン・ゴジラ』

たまらなく美味しそう! ……とは少し違いますが、ラーメンが印象的な作品はほかにもあります。

『ラーメンガール』(2008年)は一杯のラーメンで運命が変わったアメリカ人の女性を描いた映画です。“日本人の頑固親父 vs 何も知らないアメリカ人の主人公”という、ラーメンをめぐるヒューマン・ドラマとなっています。主人公の女性が頑固親父に何を言われても、何度もラーメンを作る姿は本当に健気。最後に夢を叶えてアメリカでラーメン店を出した姿に、思わずガッツポーズしてしまいます。

そして、『シン・ゴジラ』(2016年)にも、実は印象的なラーメンのシーンが。ゴジラと不眠不休の戦いを続ける関係者たちがすするカップラーメン……ではありません。思わぬ事態で繰り上げ総理大臣になってしまった政治家の里見祐介がぼやいたあと、映し出される一杯です。「のびちゃったよ」のぼやきとともに、悲しげなラーメンの表情がなんともいえません。

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映画にたびたび登場するほど、日本人が大好きなラーメン。その理由に迫るドキュメンタリー映画『ラーメンヘッズ』が、いよいよ公開になります。ヘッズとは、英語のスラングで、“マニアを超えた、熱狂する人”といった意味。富田治のどんな姿を見ることができるのか? 「中華蕎麦 とみ田」のファンならずとも、興味のある人は多いのではないでしょうか。

海外でも高い評価を受けているこの作品。日本のラーメンヘッズたちからも、熱い視線が注がれています。ちょっとクレイジーなほどの、ラーメンへの情熱を持つ人々の姿はぜひ劇場で! おなかをすかせてお出かけください。

(文/サワユカ@H14)