2人の男性、“イチ”と“ニ”の間で揺れるヒロイン・ヨシカが、傷だらけの現実を突き抜ける暴走ラブコメディ『勝手にふるえてろ』。芥川賞作家の綿矢りさの同名小説を映画化したこの映画で、ヨシカが10年間片思いを続ける中学の同級生“イチ”を演じたのは、北村匠海。ダンスロックバンド・DISH//のメンバーとして活躍しながら、映画『君の膵臓をたべたい』、『恋と嘘』、『OVER DRIVE』と、話題作への出演が続き、人気急上昇中の若手実力派だ。『勝手にふるえてろ』の“イチ”同様、穏やかな語り口でミステリアスなムードを醸し出す彼にお話を伺った。

とことん残酷な奴を演じてみようと思った

Q:“イチ”をどのように演じましたか?

とことん残酷な奴として演じてみようと思いました。“イチ”は他人への興味が欠如していて、自分ひとりで生きていくことに何も不自由を感じていない。口には出しませんが、“俺がお前たちに合わせてやっているんだ”と思っているようなキャラクター。ヨシカとベランダで話すシーンでは、彼のそういう性格が露になります。

Q:ヨシカとベランダで話すシーンでは、朝日に合わせて撮影をされたとか。1日で必要なシーンをすべて撮れましたか?

一発で全部撮れました。約26時間かけて、朝日に至るまでのシーンを時系列で撮っていったんです。そのとき見た朝日はとても心地よかったのですが、僕の顔は若干むくんでいて(笑)。

Q:それはリアルですね(笑)

約30分で太陽が上がりきってしまうので、ものすごい緊張感の中、テストなしで撮影をしました。松岡茉優さんとは何度かご一緒させて頂いているのですが、ふたりでお芝居をするのは初めて。松岡さんと僕は、年齢が離れているわけではないですけど、昔からお姉さんのような存在なんです。松岡さん演じるヨシカに負けじと、僕が“イチ”で戦ったという感じですね。

Q:“イチ”の役作りとしては、どのようなことを?

撮影現場では共演者と極力、距離を取るようにしました。

Q:本作には、DISH//のメンバーである小林龍二さんも出演されていますね。親しい方と一緒に働く状況で、距離を取るのは難しいことだと思いますが、敢えて挑戦された?

もちろん、撮影が終わった後は仲良くしていますが、“イチ”という役を考え、ほぼ喋らないようにして、冷たい空気をまといながら、演技に臨んでいました。僕は、お芝居をしていないときの過ごし方が、カメラがまわったときの瞬発力に変わるような気がしていて。ほかの作品でも同じようなことをしています。

Q:これほどまでに、周りを寄せ付けないような役を演じるのは初めてですか?

そうですね、初めてです。これまでに気弱な役、臆病な役、イケメン、ヤンキーなど、いろんな役を演じてきましたが。

Q:ふり幅が大きいですね。『勝手にふるえてろ』では、ヒロインの想い人という役どころですが、女子の理想の男性のような役を演じることによって、私生活に影響が出たことはありますか? 例えば、逆にモテないとか。

女子の理想の男性のような役を演じたからモテないのかわかりませんが、中学生の頃から女子に話しかけられないんですよ。

Q:分かります! 女性から見ると、ハードルが高過ぎる無理めの男性に見えてしまうんだと思います。加えて、ミステリアスなムードを醸し出していらっしゃいますし。

僕の雰囲気が独特だねとよく言われます。だからモテないんですよね。

Q:それは、イケメンを演じる上での弊害ですね(笑)。最後の質問です。映画ファンに、この映画のどのようなところを楽しんで欲しいですか?

僕はヨシカの爆発力が好きです。特に女性はヨシカに共感出来ると思いますし、この映画を面白いと感じていただけると思います。ぜひ、映画館のスクリーンでご覧いただきたいですね。

Q:朝日のシーンは、特に必見ですね。

僕の顔のむくみを観ていただきたいですね(笑)。

(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

映画『勝手にふるえてろ』 12月23日(土・祝)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:http://furuetero-movie.com/
(C)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会

メイク/佐鳥麻子 スタイリスト/鴇田晋哉
取材・文/田嶋真理 写真/横村彰