アメリカ現地時間12月11日、アカデミー賞の前哨戦としてもっとも注目される、第75回ゴールデン・グローブ賞のノミネートが発表されました。作品賞、女優賞ほか最多7部門にノミネートされる圧倒的強さを見せたのは、鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の魚人映画『シェイプ・オブ・ウォーター』。アカデミー賞のノミネートはもちろんのこと、複数部門での受賞が有力視されています。

本作には下半身が魚の姿となっている人魚は登場しませんが、2018年にはポーランド発の『ゆれる人魚』や実写版『リトル・マーメイド』など、人魚映画が目白押し。ここでは、来年、盛り上がりを見せること確実な魚人&人魚映画の注目作をご紹介致します!

孤独な女性と魚人のファンタジー・ロマンス『シェイプ・オブ・ウォーター』

1944年のスペイン内戦で父親を亡くした少女の成長を描くダーク・ファンタジー『パンズ・ラビリンス』(2006 年)で、世界中の映画ファンを魅了したギレルモ・デル・トロ監督の最新作です。

舞台は1962年、米ソ冷戦時代のアメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働く、口の利けない女性イライザがある日、研究対象とするためアマゾンで捕獲された魚人を目撃。彼の魅惑的な姿に心を奪われた彼女は手話や音楽を用いて、次第に彼と心を通わせていきます。そんな中、彼が生体組織の研究という名目で殺され、解剖される日が決定。イライザは彼の命を守ろうと救出作戦を企てるが……。

孤独な女性イライザのあふれんばかりの情熱を言葉なしで表現し、ヌード・シーンにも果敢に挑んだサリー・ホーキンスの熱演、魚人を執拗に虐待、追跡するストリックランドに扮したマイケル・シャノンの鬼畜っぷりは必見です。

イライザと魚人が水中で愛を確かめ合う幻想的なビジュアル、イライザが愛する1950年代の傑作ミュージカル映画の名場面やその要素を取り入れたミュージカル・シーンなど、映画ファンの心を鷲掴みにする見せ場も盛りだくさん。ふたりのロマンスの寓話的な結末を見届けた後は、一筋の涙が頬を伝うはず。映画を愛する、すべての方に観ていただきたい傑作です。

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』
2018年3月1日(木)より全国公開
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/
配給:20世紀フォックス映画
(C)2017 Twentieth Century Fox

セクシーな肉食人魚姉妹が食べて、踊って、恋をする!『ゆれる人魚』

ポーランドの女性監督アグニェシュカ・スモチンスカの長編デビュー作にして、サンダンス映画祭2016のワールドシネマコンペティションドラマ部門で審査員特別賞を受賞した野心作。アンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフに、海から人間界へやってきたセクシーな人魚姉妹の成長物語を描く、ミュージカル仕立てのホラー・ファンタジーです。

舞台は、共産主義下にあった1980年代のポーランド。姉妹はその美貌と才能を見込まれ、ナイトクラブの花形スターとなるも、姉妹のひとりがイケメンなベーシストに恋をしたことで、事態は暗転していきます。人魚の姉妹を演じたミハリーナ ・オルシャンスカとマルタ・マズレクがハマり役で、歌とダンスに加えて大胆な脱ぎっぷりまで披露し、観客を魅了します。

姉妹の運命を狂わせる優男を演じたヤーコブ・ジェルシャルは、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017年)のペニーワイズ役でブレイクしたビル・スカルスガルド似の美形。彼の存在感が、切ないラスト・シーンに説得力を持たせています。ホラー映画的描写、ロマンスとミュージカルの要素など、『シェイプ・オブ・ウォーター』と共通点があり、合わせてチェックしていただきたい作品です。

映画『ゆれる人魚』
2018年2月10日より、全国公開
公式サイト:http://www.yureru-ningyo.jp/
配給:コピアポア・フィルム
(C)2015WFDIF, TELEWIZJA POLSKA S.A, PLATIGE IMAGE

ディズニーが手掛ける実写版『リトル・マーメイド』はあの監督に!? 今後、要注目の人魚映画

ハリウッドでは実写版『リトル・マーメイド』の企画が3本も! いち早く完成したのは、人気海外ドラマ「ダウントン・アビー」のポピー・ドレイトンがヒロインを務める『The Little Mermaid(原題)』。今年3月に予告編が公開されたものの、人魚の髪が赤毛ではなくブルネット(褐色がかった髪色)であること、エリック王子、悪役のアースラ、フランダーやセバスチャンらが登場しないといった設定に、ディズニー・アニメ版のファンたちが困惑。そのせいか、2017年の夏に全米で劇場公開されるはずが、2018年公開予定に延期となっています。

他社に先駆けて、実写版『リトル・マーメイド』の製作を発表したユニバーサル版は、当初、ソフィア・コッポラが監督を務める予定だったものの、クリエイティブな理由で降板したとの報道が。その後、ヒロインの第一候補とされていたクロエ・グレース・モレッツ出演の可能性も消え、プロジェクトはとん挫している模様です。

そして、実写版『美女と野獣』級のメガ・ヒットが期待されている、ディズニー製作の実写版『リトル・マーメイド』には大きな動きが。Deadlineをはじめとする複数の米エンタメ情報サイトによって、ディズニー側がロブ・マーシャルにオファーを出していることが明らかになったのです。

ロブ・マーシャルは、『シカゴ』(2002年)、『NINE』(2009年)、『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014年)といったミュージカル映画を手掛けた名匠。ディズニー・アニメ版『リトル・マーメイド』の音楽を担当したアラン・メンケンと『モアナと伝説の海』の「どこまでも ~How Far I'll Go~」を手掛けたリン=マヌエル・ミランダが新曲を書き下ろすと見られており、映画ファンの期待は膨らむばかり。アリエル役を射止める女優は誰なのか、今から楽しみです!

文/田嶋真理