文・写真=平辻哲也/Avanti Press

『仮面ライダーウィザード』(2012年)などで知られる若手俳優・白石隼也が主演する映画『ホペイロの憂鬱』が1月13日、公開される。井上尚登のベストセラー小説を原作に、弱小のプロサッカーチームの用具係がさまざまなトラブルを解決していく姿を描く娯楽作だ。幼稚園時代からのサッカー好きという白石のこだわりとは?

“Jリーグへの恩返し”サッカーへのこだわりとは?

『ホペイロの憂鬱』
2018年1月13日(土)角川シネマ新宿ほか全国順次公開

“ホペイロ”とはポルトガル語で、用具係のこと。日本では一般的ではないかもしれないが、欧州サッカー界では、スパイクなどの用具の手入れに留まらず、選手をサポートする重要なポジションとして認知されている。本作は、J3というあまり日の目を見ない下位カテゴリーのリーグに、現在は甘んじているクラブの裏舞台にスポットを当てている。不振のエースはなぜスパイクを新調したがるのか? クラブのポスターの盗難事件が相次ぐのはなぜか? 観察力の鋭いホペイロが、サッカークラブの日常のちょっとしたナゾを解決していく……。

佐藤健らを輩出した若手俳優の登竜門『仮面ライダー』出身の白石は、子どもだけでなく、若いママさんの心も鷲掴みにしたスポーツ万能のイケメン。本作では、少し我の強い選手やフロントに振り回され、クラブがJ2昇格に向かう中、失業の危機に立たされる不条理を味わいながらも、真摯にクラブをサポートするブレない裏方役に“変身”。気の強いクラブの広報ウーマン(水川あさみ)との凸凹コンビも見どころだ。

「元々、Jリーグの関係者と仲が良くて、『いつかサッカー映画をやりたいね』という話をしていたので、この話は受けなきゃ、と思いました。“Jリーグへの恩返し”という思いもあります」と白石。演じるにあたっては、映画に協力したJ3の「SC相模原」のマネジャーの元ホペイロから指南を受けた。「スパイクの手入れの仕方を教えてもらい、いろいろお話を伺ったことを参考にさせていただきました。サッカーが好きなだけに無責任にはできない。自分の中での基準を高くしてしまったので、大変だったこともありますね」

熱い“東京ヴェルディ”愛! 注目選手は……

サッカー歴は幼稚園からで、トップ下など中盤のポジションを長く務めたという。芸能界入りのきっかけもサッカーだった。2007年、「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の最終審査ではリフティングをしながら、ユニフォームを着替えるという“スーパー・テクニック”を見せ、その度胸が買われた。「サッカーしかやっていなかったから……。最近、リフティングはやっていないですけど、今でも頑張ればできるかもしれないです」と話す。

映画は17年冬、J3のオフシーズンに撮影。試合のシーンは実際のJ3クラブ「SC相模原」のホーム・スタジアム「相模原ギオンスタジアム」で行った。試合のシーンには出演したかったのでは? と聞くと、「そうですね。出番はなかったけども、『プロの試合に見えるように』と祈るような気持ちで見ていました。まさに、ホペイロのような気持ちでしたね。(撮影前の)練習に参加したり、サッカー監修のアシスタントみたいなこともしました。(選手役の出演者には)未経験者もいたので、球出しをやったり、こうやって蹴るんですよ、と教えたりしたんです。自分が納得できるレベルには引き上げたかったので」。

『ホペイロの憂鬱』
2018年1月13日(土)角川シネマ新宿ほか全国順次公開
(C)2017「ホペイロの憂鬱」製作委員会/フィルム・クラフト

自身は、J2の東京ヴェルディ1969の熱烈なサポーター。シーズンシートを買って、通い詰めたこともある。「(出身の)神奈川にはベルマーレ、マリノス、フリューゲルス、ヴェルディがあったんですけども、中でもヴェルディがカッコよかった。物心がついた頃には、カズ(三浦知良)さん、ラモス瑠偉さんがいて、黄金期のメンバーが残っていた。自分でもサッカーをやっていたんですけど、途中から見る方が楽しくなってしまったんです。高3で芸能界デビューした時には、あまり仕事もなかったので、ほぼ全試合行くくらいの勢いで見ていました」

今季、スペイン・リーガの名将ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督体制となったヴェルディは5位で、初のプレーオフ進出を果たした。しかし、準決勝で、4位のアビスパ福岡に0-1で敗退した。「今季も、かなり見ていました。(今季の躍進は)よかったんですけど、正直、プレーオフを勝ち抜く力まではないかな、と。ただ、(J1に)上がらないと、いい選手を残せないという(経営的な)事情もあるので、奇跡が起こってくれ、と祈ったんですが……。来季、頑張って欲しい」と変わらぬヴェルディ愛を語る。

胸を張って送り出す、映画『ホペイロの憂鬱』

ヴェルディの注目選手はMF・井上詩音だ。ロティーナ監督が「私たちのメッシ」と呼んだ20歳の新たな才能だ。また、出身選手では、オランダのヘーレンフェーン所属のMF・小林祐希、ポルトガルのポルティモネンセSC所属のMF・中島翔哉と交流があるという。

6月のW杯ロシア大会に向けては「まだ時間はあるので、ニュースターに出てきて欲しい。中島翔哉を呼んでほしいなと思っているんです。彼には呼ばざるを得ないくらい活躍してもらいたい。日本代表は、身体能力の高いアフリカのチームは苦手なイメージがありますが、ポーランドは組織としてはそれほどでもないと思うし、(中心選手の)レヴァンドフスキを抑えれば、勝つチャンスはあるんじゃないかな。1勝1敗1分で、予選を2位通過してほしいですね」

これだけサッカー好きであれば、もっとサッカーの仕事もしたいのでは? と聞くと、きっぱり、NO。「今回の仕事では、サッカーについてかなり語りましたけど、スタジアムに仕事を持ち込みたくないんです。趣味は趣味として大切にしたい。僕はヴェルディを応援しています。これは絶対に譲れないし、そうなると、フラットに見ることができない。それに、仕事として見る場合は物凄い数の試合を見なくてはいけない。それだと、仕事に支障をきたしますから」と一蹴。外見だけでなく、発言も相当イケメンだった。

自身のサッカー愛を込めた本作については、「Jリーグの華やかな世界とは違って、ベンチャー企業、中小企業で起こりうる出来事を描いています。自分が置かれたポジションの中でどうやっていくか、組織として、どうまとまっていくか。働くという意味では普遍的なテーマだと思います。コメディの要素もあるし、サッカーに詳しくない方も楽しめる娯楽作になっていると思います」と胸を張っていた。