殺人鬼からオタク、闇金業者に、勇者、極めつけは“星”(!)まで、稀代のカメレオン俳優として、クセの強すぎるキャラクター遍歴を持つ山田孝之。このたび、33歳にして、まさかの“高校生役”に挑戦しています。百戦錬磨の山田でさえ、スクリーンに映る自分に「衝撃を受けた」という制服姿を披露しているのが、1月26日より公開されるオムニバス映画『CINEMA FIGHTERS(シネマファイターズ)』の一篇『パラレルワールド』です。

33歳のおじさんでも違和感なし!? 山田孝之の制服姿

「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」と「EXILE TRIBE」のコラボ企画『CINEMA FIGHTERS』。EXILE TRIBEの楽曲をもとに、ショートフィルムとして実写映像化するというこの企画の一環で製作された『パラレルワールド』は、三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEの「Unfair World」をモチーフに、カンヌ映画祭の常連の河瀨直美監督が、楽曲の世界観を淡い映像とともに鮮やかに映し出した恋愛物語です。

15年ぶりに母校の天体観測室に足を運び、高校時代の淡い恋に思いをはせる主人公の徹を演じた山田。作中の回想シーンでは、半袖の白シャツという爽やかな制服姿に。役とはいえ、33歳の成人男性が制服を着させられるという事態に、山田はドッキリの可能性すら疑ったと、舞台挨拶の際に漏らしています。

山田がカンヌを目指したあのドキュメンタリードラマで撮影されていた作品だった!

山田孝之、河瀨直美、そして高校の天体観測室というロケーション……。どこか既視感を覚える人も多いかもしれません。この『パラレルワールド』、カンヌ映画祭に出品すべく映画製作に奔走する山田を追ったテレビ東京の深夜番組「山田孝之のカンヌ映画祭」の中で撮影されていた映画なんです。

作中で「カンヌで賞を獲る」と夢見がちな山田に対し、河瀨は「カンヌとかどうでもいいんじゃない?」と容赦なく一刀両断。そして、「私なら山田くんにカンヌの俳優賞を取らせることができる」「ほんまにカンヌ行きたいんやったら、まず私とやってみたら?」と山田を誘ったことから、河瀨組に俳優として参加することになります。

河瀨演出で山田が覚醒!? 舞台裏では号泣する場面も…

約14分という短い作品である『パラレルワールド』に台本はなく、用意されたのは数ページのプロットだけ。少ない情報を補完してその役を演じるには、自分自身を本気で騙して役に入り込む必要があります。“役になりきること”を超えて、“役として生きること”を求められるのが河瀨の演出。そんな自分と役との境界線を極限までなくすという過酷な役へのアプローチの結果なのか、舞台裏で山田は、涙が止まらなくなり、「しんど」と苦笑いを浮かべる場面も……。

そんな役づくりの苦労の甲斐もあり、映画では、恋心を抱えたシャイな少年を、ヒロインを見つめる物憂げな眼差しや表情で体現。見た目の違和感を凌駕する演技で、河瀨が紡ぎ出す淡い世界観へと、観るものを引き込んでいきます。

2017年10月に放送された「緊急生放送!山田孝之の元気を送るテレビ」では放送中一言も喋らずに“元気”を送り続け、SNS上でトレンド1位にランクイン。またプライベートでのガチな“ドルオタ”ぶりや、ゲーマーぶりが話題になるなど、もはや“面白いおじさん”というイメージが定着した山田。本作を観れば、役者・山田孝之の凄味を再確認できることでしょう。

(C)2017 CINEMA FIGHTERS

(文/バーババ・サンクレイオ翼)