日本では2004年に公開された韓国映画『スキャンダル』。製作から15年の時を経て、1月20日よりデジタルリマスター版が公開されます。当時、日本はまさに“冬ソナ”及び“ヨン様”ブームの真っ只中。そのため、ペ・ヨンジュンが映画初主演を務めることが公開時の話題の大半を占めました。ただし、改めて同作を見てみると、もうひとり輝きを放つ俳優がいました。それは、ヒロイン役のチョン・ドヨンです。

ペ・ヨンジュンが“冬ソナ”のイメージを覆すプレイボーイ役に挑戦

『スキャンダル』は、これまで何度も舞台化や映画化がされているフランスの古典文学『危険な関係』を朝鮮王朝時代に置き換えて描いた物語。

主人公のチョ・ウォンは、特権階級の貴族でどんな女性も口説き落とす色事師という設定です。そんな名うてのプレイボーイを、清廉潔白なイメージで“ほほ笑みの貴公子”と称されていたヨン様ことペ・ヨンジュンがいかに演じるのか? 当時、ファンの間では期待と不安がせめぎあっていたのではないでしょうか。

実際に蓋を開けてみると、ペ・ヨンジュンは予想を上回る変貌ぶり。中でもラブシーンでは、8キロ減量したという研ぎ澄まされた裸体を披露。その肉体美は大いに話題を集めました。女性の身も心も一瞬にして虜にするような男を、ペ・ヨンジュンは見事に体現したわけです。そして、そんな危うい男の人生さえも狂わせるヒロイン、チョン・ヒヨンを説得力たっぷりに演じたのが、チョン・ドヨンなのです。

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プレイボーイさえも狂わせる、魅惑の未亡人を熱演したチョン・ドヨン

チョン・ヒヨンは、結婚前に急死した夫に対し、9年間も貞節を守り続けている男性経験なしの未亡人。言い寄る男たちは少なくないけれど、信心深い彼女は世間体を気にしてとにかくガードが堅い。近づくことさえなかなか難しい、難攻不落とも言える存在です。

そこで名乗りをあげたのが、100発100中で女性を口説き落としてきたウォン。とある賭けから、遊びでヒヨンを口説き始めた彼ですが、最後には、彼女を心底愛してしまうのです。ウォンがメロメロになってしまうのも納得できるほど、チョン・ドヨンが演じたヒヨンは美しいのです。

韓服に身を包んだ姿は凛とした佇まい。男性とはほぼ目を合わさず、常に伏目がちなのがかえって淑やかさと慎み深さを際立たせます。さらに、いつもどこか潤んだ瞳をしていて、弱さと哀しみを瞳の奥に秘めているようで、男としてはつい手を差しのべたくなってしまう。

また、ウォンとヒヨンが初めて結ばれるシーンでは、かすかに震えているようにも映り、初めて男性に体を許す女性の不安な心理が見てとれます。その表情、口調、しぐさ、ひとつひとつに“美”が確かに存在している。それを体現しているのが、まさしくチョン・ドヨンです。

女優として大きく花開いたときの“美”が映っているのかもしれない

このとき、チョン・ドヨンから溢れ出している女優としての美しさは、当時のキャリアにも関係しているかもしれません。

当時、彼女はちょうど韓国でトップスターの地位を築き始めたころ。このあと、HIVに冒されたヒロインを演じた『ユア・マイ・サンシャイン』(2005年)で日本でも広く知られるようになり、さらには2007年の『シークレット・サンシャイン』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞と世界的な成功を収めるに至っています。もしかすると『スキャンダル』では、彼女が女優として大きく花開く瞬間の“美”が映っているのかもしれません。

結婚後、一時的に芸能活動を休止した彼女ですが、2010年に『ハウスメイド』で復帰し、そこでも大胆なヌードを披露。現在は40代半ばですが、その美しさは健在です。チョン・ドヨンが女優として飛躍したころの1作である『スキャンダル』。あのころの彼女に、今一度、出会ってみてはいかがでしょうか?

(文/水上賢治@アドバンスワークス)