愛した相手の過去がすべて嘘だったという衝撃的な内容で話題の、長澤まさみと高橋一生共演の映画『嘘を愛する女』で、有能な探偵助手にふんしたDAIGOが、オタク風な外見のキャラクターや芝居のやりがいについて語った。

限界を壊せると思った

Q:普段のDAIGOさんとは似ても似つかないビジュアルの役ですが、どこに魅力を感じて出演を決められましたか?

台本を読ませていただいて、映画としてとても素敵な作品だと思いました。その上で、キム(木村)という役が僕のパブリックイメージにない役だったので、逆にそれがおもしろいと感じました。

Q:イメージを壊したかったということですか?

たとえば音楽だったら「今度はこういうのをやってみたい」と自分から生み出していくんですが、映画の場合はそうじゃない。よく、「映画は監督のもの」と言いますが、監督がクリエイトしたものを自分がどう表現するのかという挑戦になってきます。キムは、僕が自分ではまったく作り出せないキャラクターだったので、新しい表現の幅の一つになるかなと。ある意味、限界を壊せるのではと思いました。

Q:実際に壊せましたか?

監督をリーダーにして、リーダーが求めること、さらにそれ以上のことをやるっていうのは、いい勉強になりました。それが音楽活動にも生かせると思いますし、ひいては人生にも生かされたりすると思います。

アクセント俳優に活路!?

Q:キムを演じて新しい発見はありましたか?

こういうヅラをかぶるということで、自分のワールドが一つ、広がったと思います。今後、ヅラ俳優としての可能性を感じました(笑)。こういう外見だからとヒゲをそらずに撮影したり、姿勢を工夫したりとか、いろんなアイディアが自分の中で固まっていったし、自分で消化しながら表現できました。

Q:動きがもっさりしていて、普段のDAIGOさんとは別人でした。

あのいで立ちでいると、自然にそういう動きになったんです。キムだったら足を椅子に乗せちゃうだろうとか。あまり細かく計画を立てずに、自然体でした。見た目って大事だと思いました(笑)。

Q:自然に表現できたということは、俳優という仕事に向いているということなのでは?

向いているかどうかはわからないと思っていたんですけど、周囲からの評価が意外と高いので、向いているのかなって気持ちになってきました(笑)。主演の長澤さんに「違和感がない」って言っていただきましたし、共演の川栄(李奈)さんは途中まで僕のことに気づかず、スタッフさんだと思っていたそうですから(笑)。それは、しっかりキムとしてそこに存在できていたということかなと、自信になりました。

Q:テレビドラマ「ブラックリベンジ」でも、キムとは違った方向のとんがった役を演じてらして、物語のいいアクセントになっていました。

そっちもご好評をいただきました(笑)。なので、これからもいろんな役をやってみたい、それこそアクセント俳優というポジションはいいなと(笑)。そっち方面に活路を見いだせるかなって。

Q:特にやってみたい役はありますか?

学校ものをやりたかったんです、先生ではなく生徒で。でもちょっともう、年齢的に厳しい。15回くらい留年した設定じゃないとね(笑)。社会人向けの学校みたいのなら生徒役もできる。でも、先生も演じてみたいです。

これも一つの愛の形

Q:本作は大きな嘘がある恋人同士の物語でしたが、由加利と桔平の関係性について、どう感じましたか?

愛とは何かを考えさせられました。桔平さんは恋人に対して、過去のすべて、名前すら偽っていたけど、一緒に過ごした時間やどんな会話をしたかというところは、真実だと思います。どんなに過去を偽っても、由加利さんが見た優しさは本当のこと。これもまた、一つの愛の形です。それは、わかる部分もあります。

Q:もし桔平の立場だったら、相手に真実を語りますか?

僕だったら言っちゃうと思います。隠せないから。桔平さんはすごく上手に隠していたから、いろんな意味で頭がいい。それに、桔平さんもいつかは言おうと思っていたんじゃないでしょうか。自分の中で向き合いたくない過去だったから、タイミングを計っていたと思います。相手が嘘をついていた場合でも、最終的に言ってくれたら僕は許せます。

Q:最後に、キムの見どころを教えてください。

寝起きのシーンがあるんですが、その寝顔がほんとにヒドイ(笑)。ちゃんと隙を見せているので、もしかしたら1万人にひとりくらいはキュンとする女の子もいるかもしれません。

Q:キムはとても有能な人なので、好きになる人は多いと思います。

キムは好きな役なので、そこは注目してほしいです。そういう意味でもこの作品は、いろんな世代の人がいろんな感じ方ができる。家族でも恋人でも、大切な人をより大切に感じられると思うし、側にいて当たり前の身近な人の大切さに改めて気づかせてくれる映画だと思います。

ヘアメイク:キクチタダシ

スタイリスト:HAYASHI TAKAYUKI

取材・文:早川あゆみ 写真:日吉永遠