1月27日より全国公開となる映画『星めぐりの町』。黒土三男監督によるオリジナル脚本で描く、実直に生きる豆腐職人と、東日本大震災により突然家族を失った少年との心の再生を描くヒューマンドラマだ。

豆腐職人の勇作を演じるのは、俳優生活55年目にして映画初主演を飾る小林稔侍。名優の実に渋みのある演技で、生きていくことの大切さをスクリーンに映し出す。

(C)2018 豊田市・映画「星めぐりの町」実行委員会

本作で、勇作と暮らす一人娘・志保を演じたのが壇蜜。映画デビューとなった『私の奴隷になりなさい』(2012年)をはじめ、色艶めいたセクシーな作品での演技が印象的な彼女。本作では、そこはかとなく漂う色気をみせつつも、しっとりとしたオトナな女性を見事に演じきっている。

本作での演技とともに彼女の素顔に迫るべく、dmenu映画・独占インタビューを実施した。

小林稔侍の男とのしての魅力

――壇蜜さんといえば「セクシー」が印象に強いのですが、本作ではそういった描写は無かったですよね。

私は、日本画の掛け軸をかけている時、ニットがまくれあがっているシーンはそうだと思いますよ。

――あれはワザと?

後で気づいてびっくりしました。「まくれあがってる!」って(笑)

――セクシーだから良いのでは?

私は、自分が与えられた髪型や、服装が乱れるのが一番よろしくないと思ってるんです。日本舞踊では、着物を着て踊りますので崩れるのが見栄えが悪くなるという意識があります。だから、綺麗にしようというよりは、崩れるのが嫌というほうが強いですかね。

(C)2018 豊田市・映画「星めぐりの町」実行委員会

――セクシーといえば、主演の小林稔侍さんの男の色気は素敵ですよね。壇蜜さんは歳上好きを公言されていますが、小林さんの男性としての印象は?

みんなに優しい方なんです。ちょっとシャイなところもあり、子役たちへの接し方も素敵。スタッフも盛り上げてくれるムードメイカーな部分もあって。だから、勘違いしちゃいそうです。

――勘違いというのは?

「もしかして特別?期待していいのかな?」みたいな。だから、そうでなもないのに勘違いしてしまって、後から恥ずかしくなりそうです。

――そういう経験は多い?

昔はそういうところありましたね。ただ、年齢も重ねて期待損も覚えてきましたから、「いやいや、待て待て」と、今はみだりに勘違いしていないつもりです。ただ、そういうのも楽しいんですよね。相手をいいなと思う感情は、いつまでもあって悪いものじゃないので。

死と向き合うということ

(C)2018 豊田市・映画「星めぐりの町」実行委員会

――本作では、家族をなくした少年・政美(荒井陽太)との交流が描かれています。壇蜜さんは過去にエンバーミング(※)の仕事をされていましたが、死と向き合うという意味で、その時の経験が活かされたのではないですか?

震災の被害に遭い、政美が残された人間として生きていくということは、自分が経験してきたこととは違った重みがありました。政美は生きていますから、亡くなった人と向き合うエンバーミングの仕事とは、全然違う時間でした。

※遺体を消毒や保存処理、必要に応じて修復し、長期保存を可能にする遺体衛生保全作業のこと。

――東日本大震災の時、壇蜜さんはどこにいらっしゃいましたか?

内幸町の駅にいて、電車に乗っていました。大きな揺れがきて、電車が動かなくなり、地上に出たら、大勢の人で溢れかえっていて……。見たことのない東京の様子でしたね。秋田に祖母や親戚がいるので、安否確認しようにも、電話がすぐに通じず、不安でいっぱいだったことを記憶しています。

少年と大人たちの関係

――本作は、黒土監督が千葉の自宅が地震で半壊し、ご姉兄が住む愛知県豊田市に移住したことで、ロケ地となった豊田市の生活の中から生み出された作品だとのことですが、ロケ地となった豊田市の印象は?

中心地は賑やかですが、少し離れると穏やかな街並みが拡がっている場所です。志保の住む古民家から見える桜の風景は、月並みな表現ですが、絵画のようでしたね。志保と勇作は、この風景を当たり前に見て毎日を過ごしている。それは幸せだなと。ただ、2人は都内と比較して、四季を感じることが容易い生活の中にいるので、私たちとは違う感覚や、色彩感を持っているんだろうなとも考えましたね。

――その2人の生活する街に、政美がやってくる。彼を周りの大人たちはどう考えていると思いますか?

周りの大人たちは、政美に普通の暮らしをさせたいし、それを当たり前に思えるようになってほしいと願っていると思います。みんな、彼のことを助けたいと願っている。だけど、彼が生活に馴染んでいくことは、結果として周りの人達を救っていることになっていくんだなと思います。その構図を観て欲しいです。

映画『星めぐりの町』は2018年1月27日(土)より、丸ノ内TOEIほか全国公開。

(取材・文 黒宮丈治)