EXILE HIROがエグゼクティブプロデューサーを務め、別所哲也が企画・プロデュースとして参加したショートフィルム『CINEMA FIGHTERS』。作詞家の小竹正人による詞を原作として、6人の監督それぞれによるプロジェクトの中の『キモチラボの解法』にAKIRAが参加している。

ポップなようで深いメッセージがある

Q:この映画の企画を聞いたときの印象は?

僕自身はショートフィルムが好きでよく観ていました。特に自分はLDHという事務所に所属するメンバーの中でも、個人の活動として俳優をやり始めたのが早い方で、いろいろなことに挑戦させていただいていますが、個人的に注目していた分野に、まさか会社が注目するとは思っていなかったです。映画が大好きですからうれしい限りです。

Q:どんな映画になるのか、すぐに想像出来ましたか?

小竹さんはLDHのいろいろなアーティストの作詞を手掛けられていますが、どんな風にコラボするのかと想像できませんでした。しかも今回は、ショートフィルムの世界で名だたる監督ばかり。これだけの巨匠が集まるなんて、僕自身もどんな風に仕上がるのだろうとワクワクした期待しかありませんでした。

Q:ご自身はFlowerの楽曲を原作にした『キモチラボの解法』に出演されていますね。

『CINEMA FIGHTERS』に参加しないか? とオファーをいただいたとき、原作となる楽曲についてはいくつか候補が挙がっていました。それで最終的に「白雪姫」という楽曲になったのですが、同じ“プリンセスもの”でも『美女と野獣』の野獣ならわかりますよ(笑)! でも原作となる楽曲のチョイスには監督自身も関わったようで、A.T.監督が「白雪姫」にインスパイアされ、ショートフィルムを撮りたいと、その上でのオファーでしたので、ぜひにと(笑)。

Q:『キモチラボの解法』の台本を読んだ感想は?

最初はラブストーリーかと思ったのですが、まったく違っていました。近未来のような設定で、人々の感情を解放するクリニック「キモチラボ」が舞台。僕が演じるのはマイスターと呼ばれる心理療法士のようなカウンセラーという、難しい立ち位置でした。台本を読んでみると、そこには深いメッセージ性がありました。マイスターは、助手のシュンと彼が一目ぼれする美少女リンの恋愛を見守る役回りです。ですから結果的にラブストーリーの要素も入っています。それを上回るヒューマンドラマが描かれていました。A.T.監督はどちらかというと映像美とか映像効果で見せる方なので、この台本をどう演出するのだろう。どのようなテクニックで白雪姫の世界観を作りだすのだろう?」とワクワク感が更に募りました。それでいて6本の作品中で、一番ポップにみえて、とても深いメッセージのある作品だなと。

自分らしい味わいを醸す俳優に

Q:マイスターは「感情の確認には相手が必要」「人は人を欲している」など、印象的なセリフを言いますよね?

一つ一つのセリフに重みがあるんですよね。それを押しつけがましくなく、説教じみた感じもなく、マイスターという架空のカウンセラーの立場から現代の世の中にメッセージを発信していく。ポップな作風だからこそ、観る側にセリフとして発せられるメッセージがスッと入る。重い空気ではないからこそ、ふと、心に突き刺さる部分が多かったのが面白いと思います。

Q:もしご自身がEXILEの曲をもとにショートフィルムを作るとしたら?

実はすでに映像作品を作ったことがあるんです。メンバーの EXILE SHOKICHI が作詞作曲を手掛けた「Shelly」というバラード曲のMVを作りました。ロサンゼルスで撮影をし、制作チーム、カメラマンもキャストも全部自分で見つけ、監督、出演、編集とオールディレクションでやらせていただきました! 準備期間が短く、キャストの一人をいろいろ探したのですが手配が間に合わなくて(苦笑)。結局、現地の知り合いの知り合いのモデルさんをやっている子がいたので連れてきてもらってお願いしました(笑)。ラブストーリーで、それこそショートフィルムの世界観とアートダンスを織り交ぜています。タイトルの「Shelly」は甘いお酒、シェリー酒の意味で、禁断のラブストーリーを描きました。

Q:マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サインレンス-』、モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門で最優秀芸術賞を受賞した『たたら侍』と世界的に評価された作品が続きました。俳優としての意識に、変化はありましたか?

スタンスは変わりません。役柄の幅は広げていきたいし、作品も邦画だけでなく、ハリウッドもアジアの映画にも、もちろんショートフィルムにも興味があります。表現者としては、取り組み方や向かう意識に違いはありません。今の年齢だからこそだせるエナジーや自分のストロングポイントを活かしていきたい。何よりどんなキャラクターでも自分らしい味わいを醸し出せる俳優になりたい。それは俗にいう「カメレオン俳優」ということかもしれませんが、役の大きい小さいにこだわらず、自分に縁があると感じた役には、いつでもその作品に染まれる俳優でいたいと思っています。

大事なのは根拠のない爆発的な自信

Q:以前、EXILE躍進の理由を「信じる力の強さ」とおっしゃっていました。ご自身は俳優をやる上で、そうした力の大切さを実感することがありますか?

根拠のない自信がを持たないとやっていけないですよ! いや基本的に僕の確信には根拠がないです(笑)。でも人それぞれですよね。様々な分析をして計画性を持って物事を達成するのもいいですが、若いころの根拠のない自信に勝るものはないと思うんです。怖いもの知らずが一番。それで自分もEXILEの一員になる以前から、漠然と「ダンスで一番になってやる!」と思っていました。それって子どもが「運動会で一等賞になる!」というのと同じです(笑)。「どこでどう一番になるの?」とか「一番になった後はどうするの?」というのは大人の考えで。あまり考え過ぎて「自分はこう」と決めつけてしまうと、可能性を狭めると思うんです。赤ちゃんや子供は無垢なままに感じて、根拠なく発見し興味を持ち、行動するからこそ人の心に刺さったり、ものすごい力を発揮したり、感動を呼んだりするじゃないですか? それに勝るものはないなと。僕はEXILEになる前から、「EXILEになりたい」「よくわかんね~けど一番になりたい!」と思っていました。それってまったく根拠がない(笑)。でもそういう根拠のない爆発的な自信って大事なんじゃないかって思います。思っているだけじゃだめだけど、自信をもって「行動」すれば、「根拠」は後からついてくる。逆に根拠のない自信を持つからこそ、努力でそれを裏付けようとする。自分の生きてきた経験全てをもとにその時の直感力と自分自身を信じ、前だけを見て突き進みたい。

Q:そのエネルギーを持ち続けるのが難しそうですね。

そうですね。大人になるとどうしても周りの目を気にしがちだし、経験が増え、生きるテクニックが身につき、サボることも覚えます。だから進化しながらも常に自分をこわしていきたい。そうしたものをとっぱらって、じゃあ自分はどうなりたいか? というビジョンを持つ。漠然とでもいいと思うんです。夢は? と問われて具体的に答えられなくてもいい。漠然としたことでも、口に出して言い続けるマインドで自分はいたいです。いま36歳ですけど今後、40歳、50歳でこうなりたいと考えることは自由ですよね。そうした想いと自分を壊し続けていくエナジーを持ちながら、破壊、再生、進化、覚醒を繰り返してこれからも驀進していきたいです! 

取材・文:浅見祥子 写真:日吉永遠