『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』が2018年2月10日より、2週間限定で公開されます。『スターシップ・トゥルーパーズ』シリーズの5作目となる作品です。

初代となる映画『スターシップ・トゥルーパーズ』の公開から20年が経ちますが、今なお新作が展開されているように、同シリーズは根強いファンをもつ作品です。その全作品を新作公開に合わせて振り返ってみたいと思います。

ガンダムのルーツ!シリーズの原点『宇宙の戦士』とは

人類が蜘蛛によく似た異星人“アラクニド”と、宇宙を舞台に戦争している未来。地球連邦軍に入隊した主人公、ジョニー・リコの成長と戦いを描いたSF小説が『宇宙の戦士』です。この小説から“パワードスーツ”という兵器が生まれたというのは、SFファンの間では有名な話です。

この作品はアメリカSF界の大御所、ロバート・A・ハインラインが1959年に発表したもので、SF小説の有名な賞“ヒューゴー賞”を受賞しています。しかし、そのあまりの軍隊礼賛っぷりが波紋をよび、かなりの議論の的となりました。

日本ではハヤカワ文庫SFで刊行された際のパワードスーツのイラストがあまりにかっこよかったため、その後のSF兵器のデザインに大きな影響を与えています。ガンダムのメカデザイナーを担当した大河原邦男の本『メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人』では、「ガンダムの製作に入るときに『宇宙の戦士』のイラストを見せられた」というエピソードが語られていました。『宇宙の戦士』の新訳版の帯でも、ガンダムのキャラクターデザイナーを担当した安彦良和氏が、「ガンダムのルーツを新訳で!」という文章を寄せています。

『宇宙の戦士』が待望の実写映画化!…『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)

『宇宙の戦士』を実写映画化したのが『スターシップ・トゥルーパーズ』です。当時のSFファンは「どんなパワードスーツが出てくるのか?」という期待で、映画館に足を運んだのではないでしょうか? しかし、銀幕で展開されたのは、人体の残骸と血しぶきが飛び散る、地獄の戦争絵巻でした。

この作品にはパワードスーツが登場しないため、兵士たちはほぼ生身で昆虫型異星人“バグ”に突撃し、ゴミのように殺されていきます。そして、死屍累々の戦場の後に挿入される、愛国心を煽るプロパガンダ映像。主人公が人間として成長するのではなく、“軍人へと変容”していく姿を皮肉交じりに描いています。

ストーリー自体はかなり原作に忠実なのに、訴えかけてくる内容は正反対という荒業を成し遂げたのは、初代『ロボコップ』を手掛けたポール・バーホーベン監督。その独自のグロさが光る演出から、一部で“変態”との誉め言葉をほしいままにしていますが、そんな監督の手腕が光った作品といえるでしょう。

今度は籠城戦だ!低予算でも頑張った番外編的作品…『スターシップ・トゥルーパーズ2』(2004年)

2004年に作られた『スターシップ・トゥルーパーズ2』は、前作と同じ世界観ではあるものの、1作目のキャラクターは一切登場しません。

舞台はどことも知れない惑星。シェパード将軍率いる部隊はバグの大群に追われ、遺棄された基地になんとか逃げ込むものの、通信機も使えずに籠城を余儀なくされてしまいます。そんな彼らの中には、人間を思いのままに操る新種のバグに寄生された隊員がいたのでした。一人、また一人とバグに寄生されていく隊員たちの姿を描いた、サスペンス色の強い作品となっています。

物語の最後には、軍人が赤ちゃんに笑顔で語り掛けます。「大きくなったらお国のために死ぬんだぞ」というそのセリフは、前作のプロパガンダ映像に通じるものがあり、ブラックな印象を残しました。

ちなみに、この作品は劇場公開作品ではなく、TVムービーとして作られたため、かなりの低予算だったそうです。そのせいか、映像は基地内部のものがほとんどですが、前作と同様にグロ描写はしっかりと充実しています。

遂にパワードスーツが登場!その名も「マローダー」…『スターシップ・トゥルーパーズ3』(2008年)

『スターシップ・トゥルーパーズ3』では一作目の主人公、ジョニー・リコが再び登場。彼が司令官をつとめる惑星ロク・サンの基地に、地球連邦軍司令官オマー・アノーキが視察に訪れたその日、バグの大群が襲来。基地は壊滅してしまい、リコは責任を問われ、絞首刑を宣告されてしまいます。

一方、ロク・サンを脱出したオマー・アノーキの宇宙船はバグの攻撃によって大破し、乗組員たちは惑星OM-1へと脱出。リコは極秘に開発されていた兵器「マローダー」による救援隊を率いて、彼らを救いに向かうのでした。

ファン待望のパワードスーツは、物語の終盤についに姿を現します。原作では歩兵の標準装備だったパワードスーツでしたが、この作品ではたった7機でバグの大群を殲滅しているので、パワー、火力、防御力において原作版を上回っているのではないでしょうか。その戦力としてのイメージはモビルスーツに近いかもしれません。

なお、今作ではグロ表現は減っていますが、一方で人類社会のヤバい描写が増えています。徴兵制が施行され、反戦運動が弾圧され、信教の自由にも圧力がかかっていました。さらに、反戦運動家をテロリストに仕立て上げるなど、『未来世紀ブラジル』(1985年)や『1984』(1984年)などを想起させるディストピアとなっています。

4作目は日本人監督が作ったCGアニメ…『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』(2012年)

『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』は、荒牧伸志監督が作ったCGアニメーション。そのほか、数多くの日本人スタッフが制作に関わっています。

ストーリーは行方不明となった宇宙戦艦ジョン・A・ウォーデンを、ジョニー・リコ将軍から捜索命令を受けたK-12部隊が捜索するというもの。艦を発見して内部に突入すると、暗闇の中にあったのは大量の乗組員の死体でした。そして、エンジンを始動させた瞬間、大量のバグが彼らを襲います。

本作からは過去作品に見られたプロパガンダ映像や、軍隊を皮肉ったブラックな部分が完全に消滅。普通のSF戦争映画になりました。重力下だというのに10メートル以上ものジャンプを見せる、超人的なジョニー・リコの活躍が見ものです。

最新作は火星の存亡をかけた戦いに!…『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』(2018年)

『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』/2018年2月10日(土)全国公開/配給:KADOKAWA/(c)2017 Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc., All Rights Reserved.

『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』は、前作に続き荒牧伸志監督、そして松本勝監督が加わって制作されたCGアニメーションです。火星に大量のバグが出現。若き地球連邦総司令官エイミー・スナップは星ごと破壊することを決定します。しかし、ジョニー・リコ率いるはぐれ者部隊は、火星を守るためにバグとの戦いに挑むのでした。

女性艦長カルメン・イバネスや、テレパシーを操る情報軍司令官カール・ジェンキンスなど、一作目からのレギュラーメンバーは今回も健在。さらに、死んだはずのリコの恋人、女戦士ディジー・フロレスも登場します。彼らが火星でどんなバトルを繰り広げるのか? シリーズファンにとっては必見の物語になるでしょう。

(文/ハーバー南@H14)