2月3日よりデジタルリマスター版が順次公開される『欲望の翼』は、アラフォー世代には懐かしい、1990年代の香港映画ブームの中で注目を集めた作品です。この作品によってウォン・カーウァイの名を世間が知ることになり、出演している俳優たちも脚光を浴びました。

今回は、そんな香港映画ブームの頃に、日本のファンを熱狂させたイケメン俳優たちを、代表作とともに振り返ってみたいと思います。

アジア人らしい容姿と抜群の存在感…トニー・レオン

『欲望の翼』デジタルリマスター版/ (C) 1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited. All Rights Reserved.

チャウ・シンチーに俳優の世界へ誘われ、テレビ番組を中心に活躍したトニー・レオン。アンディ・ラウとともにテレビの一時代を築き上げたスターでした。1962年生まれで、現在は55歳となります。

1992年にジョン・ウー監督の『ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌』(1992年)にチョウ・ユンファとともに出演した頃から、彼は本格的に映画俳優への道を歩みます。

トニー・レオンの魅力は、その優しくうるんだまなざし。そして、甘い色気がたっぷりのシーンから、気のいい青年役までこなす幅広い演技です。黒髪に黒い瞳のアジア人らしい容姿でありながら、女性を中心に世界的な人気を誇っています。そして、さまざまな映画監督も、彼にオファーをしてきました。木村拓哉と共演した『2046』(2004年)も話題になりましたよね。

ウォン・カーウァイ監督とはベストコンビといわれ、多くの作品に出演しています。『恋する惑星』(1994年)では、別れた恋人をいつまでも忘れられない、ちょっと情けなく恋にも鈍感な警察官を演じました。ぞうきんやぬいぐるみに話しかける、若いトニー・レオンがなんともかわいらしく、この作品でハマったファンも多いようです。

趣味は山登り、アジア映画界の帝王…チョウ・ユンファ

香港の映画俳優の中でも、国際派スターとしてその名を知られるチョウ・ユンファ。“亜州影帝”(アジア映画の帝王)の異名をもちながら、普段は庶民的な生活を好み、バスや電車で移動する姿が目撃されています。1955年生まれで、現在は62歳になります。

「18歳から続けた芸能活動を休止する」と宣言して、2016年公開の『コールド・ウォー 香港警察 堕ちた正義』(日本では2017年に公開)以降は、表舞台には出てきていません。その理由は趣味の登山を満喫するためで、半年以上は休みをとると話しています。さすが帝王の余裕、といったところでしょうか。

香港発のハリウッドスターであるチョウ・ユンファは、かつてハードボイルドな演技が売りで、ジョン・ウー作品名物の“2丁拳銃”を定番にしたのは彼だといわれています。その一方でコミカルな役やラブストーリーもできる懐の深さ! 『アンナと王様』(1999年)では、ジョディ・フォスター演じる家庭教師に身分違いの恋をする王様の役を演じ、優しい笑顔と男らしさのギャップで女性たちを魅了しました。“帝王”は、王様の役も難なくこなすのですね。

死後十年以上経っても絶大な人気を誇る…レスリー・チャン

『欲望の翼』デジタルリマスター版/(C) 1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited. All Rights Reserved.

裕福な家に生まれ、その恵まれた容姿でアイドル歌手としてデビューしたレスリー・チャン。ライバル歌手のファン同士のトラブルなどもあり、歌手を引退して映画俳優へと転向しました。最初はアイドル扱いでしたが、次第にその演技力が認められ、『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993年)では、カンヌ映画祭のパルムドールを受賞。数々の大ヒット作に出演し、国際的な人気を集めました。

しかし、順風満帆そうに見えたレスリー・チャンは2003年に自ら命を断ち、46歳の若さでこの世を去りました。ファンの悲しみは深く、現場となったホテルには多くの花束やメッセージカードが捧げられています。「哥哥(お兄さん)」の愛称からもわかるように、多くの人々に愛されたレスリー・チャン。葬儀にはさまざまな人々が集まり、日本でもファンが追悼を捧げました。

俳優としてのレスリー・チャンの魅力は、その妖艶な演技と憂いのある美しさ、そしてどんな演技でも失われない上品さにあります。『ブエノスアイレス』(1997年)では同性愛者を演じ、浮気したりされたり、どこかどうしようもない男性を演じながらも、トニー・レオンとのラブシーンでは思わずため息がでる美しさをみせていました。

『欲望の翼』は1960年代の香港で暮らす若者たちの恋愛模様を描く群像劇。レスリー・チャン、トニー・レオン、アンディ・ラウ、など、当時の若手俳優が多数出演しており、今でもウォン・カーウァイ初期の名作として語られる、香港映画の名作です。

2005年以降は上映権が消失していたため、本作のスクリーンでの上映は13年ぶりとなる本作。ウォン・カーウァイ監督独特の映像美とともに、あの日のイケメン俳優たちが、美しい姿でスクリーンへ帰ってきます。あの頃のときめきを、ぜひ劇場で体験してください!

(文/サワユカ@H14)