―映画『犬猿』(2月10日公開)は、兄弟姉妹ならではの、血の繋がりにしばられながらの、互いの愛憎、根深い羨望、子供じみた嫉妬などなど、誰もが経験する「あるある」感で共感をまねく。窪田正孝はじめ、役者陣の魅力が映画を輝かせている。

窪田正孝のフィルモグラフィーを眺めると、壮観なまでに、原作を持つ映画でほぼ占められている。そんな窪田の数少ないオリジナル映画への出演となるのが今回の「犬猿」。まずは、その取り組み方に違いはあったのかについて聞いてみた。

窪田 「確かに違ったと思います。ひとくちに原作ものといっても、それがコミックなのか小説なのかによっても違いはありますが、特にコミックの場合はすでに絵としてあるものなので、数多くいる原作ファンのことを失望させたくないし、どうしてもそれをなぞってしまう自分がいるんです。小説の映画化に関しても、絵こそないものの、原作を読んでいる方々が抱いている像というのはあると思うので、コミック原作ほどではないにしても、まずは姿形として原作にすでにあるものにこだわるというか、引っ張られてきた傾向はあります。ある種“自分を捨てる”といいますか……。僕自身の個性より、原作ものが作ってきた世界は巨大ですから」

映画「犬猿」より (C)2018「犬猿」製作委員会

この感覚について、窪田はおもしろい表現をした。

窪田 「特にコミック原作のものに関しては、髪の毛ひとつ、体のバランスにも気をつけるので、どこか特撮のスーツを着るような感覚なんです。その映画が特撮ものではなかったとしても」

特撮のスーツ! 演技力に定評のある実力派と呼ばれる一方で、世に言う2.5次元的なキャラクターにもスッと無理なくハマってきた窪田。これもひとえにその持って生まれた麗しい容姿によるのだなと思ってきたのだが、そんな単純なことではなかったのだ。窪田は実に自覚的に、スーツアクターがスーツを着用して演じるかのごとく、“自分”というものを見えないスーツで覆いながらキャラづくりに尽力していたのである!

窪田 「そういった原作ものへのアプローチとは違い、オリジナル作品の場合には“そのときの自分でいられる”といった感覚がかなり強いような気がします。そのタイミングで自分にオリジナル作品のオファーをいただいたということは、そこに必ず何か意味があるはずだと思っています。それがどんな意味かはわからないけれど、それならば、自分の感覚を大事にしてこう演じさせてもらいます―というのが、今回の『犬猿』を含めた僕のオリジナル作品へのアプローチということになります」

「犬猿」(2月10日公開)
監督・脚本:吉田恵輔 出演:窪田正孝、新井浩文、江上敬子(ニッチェ)、筧美和子、健太郎、竹内愛紗 配給:東京テアトル
(C)2018「犬猿」製作委員会
※吉田監督の「吉」は「土よし」

取材・文:塚田 泉
制作:キネマ旬報社