「西郷どん」で西郷隆盛を演じている鈴木亮平さん。現在はやや体重を増やしていますが、彼は役によって肉体改造をすることで有名。『HK 変態仮面』(2013年)では15kg増量してマッチョな身体を披露。ドラマ『天皇の料理番』(2015年)で20kg減量したかと思えば、その直後に『俺物語!!』(2015年)の準備に入り、ひたすら菓子パンを食べ続けて30kg増量して巨体の主人公に変身するという荒技で周囲をびっくりさせました。

そんな彼が涼しい顔で言うのは「海外にはこれくらいの肉体改造をする人は当たり前にいますから」。そんなわけでここまでやるの!?な肉体改造をして作品に臨むスターをご紹介します。

筆頭は“デニーロ・アプローチ”のロバート・デニーロ!

名優ロバート・デニーロの徹底した役作りを指して言う“デニーロ・アプローチ”。『ゴッドファーザー PART II』(1974年)ではシチリア島に住んでシチリア訛りのイタリア語をマスターし、『タクシードライバー』(1976年)では撮影前にタクシーの運転手として働き、『アンタッチャブル』(1987年)では頭髪を抜いています。

中でも最も有名なのが実在のボクサー、ジェイク・ラモッタに扮した『レイジング・ブル』(1980年)での役作り。1作の中でミドル級チャンピオンらしい鍛えられた肉体と、引退後の肥満体型(4か月で27kg増量)の両極端な姿を見せてくれています。デニーロは増量のためにイタリアで食べ歩きをしたのだとか。この肉体改造だけでなく、ラモッタのフォームやパンチを繰り出す様などがそっくりだと評判になり、アカデミー主演男優賞を受賞しています。

Photo/Getty Images 現役ボクサー体型の『レイジング・ブル』のデニーロ

Photo/Getty Images 引退後のシーンではお腹がでっぷり

体型自由自在と言えばクリスチャン・ベールも

徹底した役作りをするのはデニーロ御大だけではありません。『バットマン』シリーズのクリスチャン・ベールも作品ごとに肉体を大改造することで有名。

『マシニスト』(2004年)で1年間寝ていない主人公を演じるために4か月間、野菜とツナ缶だけで過ごして(後半はリンゴとコーヒーだけでも大丈夫になったのだとか)約30kg減量。骨と皮だけになった彼はかなり衝撃的なのでぜひ作品をチェックしてみて。

準備と撮影期間の半年はいい匂いを嗅いだり他の人が食事している姿を見ないように『マシニスト』に関すること以外はほぼ引きこもりで過ごしたクリスチャン。減量する際はきちんと栄養士に相談し、定期的に検査も受けていたから大丈夫だったとのことなので、ダイエットに励む皆さんは気軽にマネしないでくださいね! 

クリスチャンは他にも『マシニスト』のすぐ後に『バットマン ビギンズ』(2005年)のために過酷なトレーニングをして31kgのウエイトアップに成功、『ザ・ファイター』(2010年)では、コカイン中毒の元ボクサーを演じるために13kg減量、さらに自毛を抜き、歯並びを変えて役作り。『アメリカン・ハッスル』(2013年)ではドーナツやハンバーガーを食べ続け20㎏増量し、お腹がでっぷりと出た詐欺師を好演していますが、ここまで増減が激しいとさすがに心配!

Photo/Getty Images 
現在のクリスチャンはディック・チェイニーを演じた『Backseat』(今年公開予定)のためにかなり恰幅が良くなっています

『ダラス・バイヤーズクラブ』のふたりもガリガリに

『マシニスト』に並ぶガリガリぶりで観客をびっくりさせたのが『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年)で揃ってアカデミー主演&助演男優賞をゲットしたマシュー・マコノヒーとジャレッド・レト。

余命30日を宣告されたHIV患者のロン役を演じたマシューは20kg、同じくHIV患者でドラァグクイーンのレイヨンを演じたジャレッドは眉毛も含む体毛を脱毛した上で11kg減量。マシューは『ダラス・バイヤーズクラブ』の前に出演した『マジック・マイク』(2012年)では筋肉ムキムキの姿を見せていただけに、あまりの激やせに「病気では?」と報道されたほど。

ジャレッドは『チャプター27』(2007年)ではジョン・レノン暗殺犯を演じるために30kgほど増量。そのために通風を患い一時、歩行困難に陥って車いす生活だったそうで、「2度と増量したくない」と語っています。壮絶!

女優だって負けてません!

これまで男優ばかり紹介してきましたが、女優も役柄によって激しく肉体改造しています。クールビューティーなシャーリーズ・セロンは『モンスター』(2003年)で13kg増量して連続殺人鬼を熱演。特殊メイクをしてブヨブヨになった身体は見事にシャーリーズの美貌を消し去り、念願のアカデミー主演女優賞を受賞しました。

太ったと言えば、ぽっちゃり体型のヒロインをチャーミングに好演した『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズのレニー・ゼルウィガーも。役作りには実際にロンドンの出版社で働き、イギリスのアクセントも完璧にした上で約9kg増量。レニーは3作製作された本シリーズのたびに太ったり痩せたりを繰り返すことになってしまいましたが、ブリジットはレニー以外に考えられないほどぴったりでしたよね。

『レ・ミゼラブル』(2012年)のために、20日間で11kgの過酷なダイエットを敢行したのはアン・ハサウェイ。最初の数日で4kg落とし、その後の2週間で1日に乾燥したオートミールバー2本だけという生活を続けたのだとか。このおかげかアンはアカデミー賞助演女優賞を獲得しました。

まさに身を削りながら役作りに没頭する役者たち。日本でも故松田優作さんが『野獣死すべし』(1980年)で10kg以上減量し、上下4本の奥歯を抜いたという逸話があります。真に迫った役作りで観客をより感動させてくれる彼らのプロ根性にはひたすら頭が下がりますが、くれぐれも健康には気を付けてほしいです!

文=安藤千晴