競技かるたを題材にした末次由紀による人気コミックを原作に、2016年に“上の句”“下の句”の2部作で実写化され、200万人を超える観客動員を記録した映画『ちはやふる』。あれから2年。高校3年生となった綾瀬千早(広瀬すず)、真島太一(野村周平)、綿谷新(新田真剣佑)の喜怒哀楽を百人一首を通して描く完結編『ちはやふる -結び-』が、3月17日よりついに公開される。この記事では、1作目から演じ続けてきた若手俳優たちが、キャラクターとともに成長してきた姿を紹介する。

恋に疎い千早を中心としたラブストーリーも、ついに…!?

前作で千早は、クイーンの称号を持つ若宮詩暢(松岡茉優)との勝負に敗れ、瑞沢高校競技かるた部の仲間とさらに強くなることを決意。千早がかるたにのめり込むきっかけとなった新も、彼女の情熱に触れ、離れていたかるたに対する気持ちを思い出すことに。そして再び千早がクイーン戦で詩暢と、新も名人戦で太一と一戦を交える場面でエンディングを迎え、本作へと続いた。

それから月日は過ぎ、千早らは高校3年生に。新は千早、太一を一歩引いた位置で見つめ、自分の高校でも新たにかるた部を創部。そこにはスキあらば彼に交際を迫る凖クイーンの我妻伊織(清原果耶)の姿があり、新はそのたびに「他に好きなコがおる」と瞬殺。

高校最後の夏、かるたもさることながら、恋に疎い千早を中心としたラブストーリーも熱気を帯びていく。

表情豊かな広瀬に対し、機微な表情の変化で見せる野村

主要キャストは、前作から全員が続投。第40回日本アカデミー賞で『ちはやふる -上の句-』で優秀主演女優賞、『怒り』(2016年)で優秀助演女優賞をW受賞するなど、持ち前の瑞々しい魅力とともに俳優としても高い評価を得ている広瀬すず。19歳となった彼女は、本作でも、まっすぐで天然な千早をチャーミングに好演している。

かるたに打ち込む一方、卒業後の進路について考える姿を少女以上女性未満の多感さで表現する一方で、試合シーンでは相手との秒単位の駆け引きにかけ、ファイターと化した形相(?)も見られる。そこには千早の最後の高校生活への思いと、広瀬のこの完結編にかける思いが交錯。前作、前々作以上に集中力とストイックさがひしひしと伝わってくる。

野村も昨今、多数のTVドラマなどへの出演で注目度がが然アップ。

『ちはやふる -結び-』ではかるた、大学受験、さらには千早に対する思いの中で葛藤する胸の内を憂いを含んだ表情で表現。その先の未来を見通そうとふいに遠くを見つめる眼差しは、太一の苦悩の深さを饒舌な言葉以上に表現している。

それだけに、本作でかるた部を辞めてしまう太一を千早がなじるのに対し、「今までお前のためにかるたを続けてきたけど、もうこれ以上やれない」と溜まりに溜まった感情を率直に吐き出すシーンは、それまでの関係性すらも終わらせたいといった切実なセリフとして胸に迫ってくる。

前作を見返すと、ひとりひとりの未知数な可能性が初々しくも

加えて広瀬、野村、新田以外の主要キャストも、前2作から全員が続投。もともとリアルな高校生に近い年代の彼らだったが、キャラクター同様、互いの信頼に裏打ちされたチームワークはバッチリ。彼らには前作で、ハードな演技レッスンでかるたダコや水ぶくれを作る中、お互いの絆を深めていった事実がある。

もちろん今作から参加の優希美青、佐野勇斗も、後輩として主要キャストと呼応。最初こそ反抗的な花野菫(優希)、筑波秋博(佐野)だったが、2人が瑞沢高校競技かるた部の部員としてかるたにのめり込んでいく様には、優希、佐野が前2作で広瀬らが作り上げた一瞬のキラメキのドラマに食らいつき、その一員になろうと奮闘する姿が感じられた。

さらに言えば、千早らが3年生になったように、広瀬らもかつての広瀬らではない。それは先に書いた広瀬、野村の演技からも明らかだが、実際、前作を見返すと、キャスト陣の表情はどこかあどけなく、ひとりひとりの未知数な可能性がこの青春映画をさらに瑞々しくしていた感もある。だが、今作では演者としてキャラクターにより肉薄。それぞれの表情や言葉が鮮やかに迫ってくる。それは広瀬らの2年間の歩みの証しでもある。

『ちはやふる -結び-』には、広瀬らの成長が感じられるドキュメント的な側面もあると思う。彼らにとっても今作での再会は、それぞれが役者としての2年間の歩みを再確認する機会になったのではないだろうか。その2年間の成長は、観客である我々の胸も熱くすることだろう。

(文/兒玉常利@アドバンスワークス)