大倉かおりと清智英による同名マンガを映画化したスイッチング・エンターテインメント『レオン』。女好きなワンマン社長・朝比奈玲男と体が入れ替わってしまう地味なOL・小鳥遊玲音を演じた知英が、長編映画初主演となった本作での挑戦のほか、日本での女優活動への想いを語る。

念願のコメディーで男性役に挑戦!

Q:劇場用長編映画の初主演作となる本作ですが、純粋な日本人であるヒロイン・玲音として依頼を受けたときの率直な感想を教えてください。

もちろんうれしかったです! これまでも日本人の役は何度かやったことはあったので、そこに関しては心配ではなかったです。前から好きだった竹中直人さんとの共演も楽しみでした。でも、私が主演する映画を観てくれるお客さんがいるのかな? という心配はありました。

Q:映画デビュー作『暗殺教室』シリーズなど、以前からコミカルなキャラクターを演じることはありましたが、今回の玲音はこれまでの知英さんのイメージを裏切るコメディエンヌぶりを発揮していますね。

ずっとコメディー作品をやりたいと思っていたので、「やっとできるぞ!」って気持ちでした。別に誰かを笑わせたいというのではなくて、女優として、いろんな作品をやっていくなかで、コメディーというジャンルは難しいと思っていたので。コメディーならではの、大きなリアクションや男女二役というか、女好きな社長の心を持ったキャラクターの演技をするのは、楽しみでしょうがなかったです。

Q:そういう意味での役づくりは、大変ではありませんでしたか?

ガニ股の歩き方だったり、堂々とした声の出し方だったり、とにかく男性にならなくちゃいけないという気持ちでいっぱいでした。撮影現場でも男性スタッフの方を見て研究していました。竹中さんのクランクインの日は、私の出番はなかったんですが、私が入れ替わる朝比奈を、竹中さんがどう演じられるか知りたくて見学に行きました。あと、本番でも恥ずかしがらずに頑張ってやりました!

竹中直人と二人三脚で挑む

Q:そのほかに、日本を代表する個性派俳優・竹中直人さんから学んだことはありますか?

竹中さんは『Shall we ダンス?』や『のだめカンタービレ』シリーズなど、いろいろなコメディー作品に出られている素晴らしい方ですので、撮影現場では細かいしぐさや演技に驚かされっぱなしでした。また、クランクインの前の台本読みやリハーサルでご一緒させてもらったときは、朝比奈になった玲音が言うセリフも、竹中さんが言ってくださったんです。そういうやり取りをさせてもらったことで、玲音と朝比奈のキャラクターを竹中さんと一緒に作ることができました。

Q:完成した作品をご覧になった感想を教えてください。

いつもはそんなことないんですが、この作品は自分の芝居があまりに恥ずかしくて、ちゃんと観ることができませんでした(笑)。印象的だったシーンは、朝目覚めて、体が入れ替わったことを知ったとき。ここから映画が始まるといってもいい大切なシーンですし、監督さんやスタッフのみなさんのこだわりのシーンでもあったし、何回もリハーサルした想い出が甦ってきました。予告編にもちょっと出てくるんですが、それだけでも笑えるインパクトのあるシーンになったと思います。

カメレオンのような女優になりたい

Q:韓国においてグループでアイドル活動されていた知英さんが日本で女優を目指すきっかけも教えてください。

グループ時代、「URAKARA」で初めてドラマをやらせてもらったとき、自分が言ったセリフを相手の方が受けるというやり取りをしたときに、とても新鮮で楽しかったです。それを機に、純粋にお芝居をやりたいという気持ちが強まり、いい出会いもあり、日本で女優をやっていこうと思いました。もともと日本のドラマや映画が大好きだったことも大きかったと思います。

Q:とても流暢な日本語を話されていますが、数年でここまで上達するのは大変ではなかったですか?

日常会話に関しては、日本に住むようになってからは、全然大変ではなかったです。でも、女優としてどんどん難しい役をやるようになって、セリフのレベルが上がるというか、言い回しが難しくなっていくのが大変ですが、楽しくもあります。もともと勉強があまり好きではないのですが、セリフに関しては先生についてもらって、イントネーションとかを厳しく徹底的に勉強しています。そういう難しい役に出会うことも、自分が成長するきっかけだと思っています。これからも、もっともっとスゴいことが待っているんじゃないかな? とは思いますけど(笑)。

Q:ちなみに、『レオン』は知英さんの女優としてのキャリアにおいて、どのような作品になったと思いますか?

『レオン』はコメディーに挑戦するということで、とても勉強になった作品ですし、男性と女性が入れ替わるコメディーというのは、どの国でも理解されると思うので、韓国でも公開してもらいたいです。たとえば、「男なんて、ちょちょいのちょいよ」といった日本っぽい変わったセリフの言い回しは韓国にはないので、そういうところでのお客さんの反応も楽しみです(笑)。

Q:今後はどのような女優を目指していきたいなど、将来の展望があれば教えてください。

あまり目標のようなものは決めていないのですが、カメレオンのようにいろんな作品で、いろんな役と出会いたい。それで「知英って、いろんな作品に出ていて、いろんな顔があるよね」と言われたいです。機会があれば、日本や韓国だけじゃなくて、いろんな世界にどんどん出て行きたい気持ちがあります。もちろん、英語の勉強もしています。

取材・文:くれい響 写真:尾藤能暢