ゾンビ映画史に、また新たな一石が投じられようとしている。

2月24日(土)に公開予定の『ゾンビ・レックス 殺人ゾンビ恐竜 誕生』は、邦題の通りマッドサイエンティストであるウォジック・ボーグ博士の手で生み出されたゾンビ恐竜「Z-REX」が、陸の孤島と化した砂漠で大暴れするというゾンビ・パニック・スリラー。次々人間を噛みちぎってはゾンビ化させていく恐怖の「Z-REX」に相対するのは、アメリカ国民軍の屈強な隊員達と若者グループ4人だ。

「ウォーキング・デッド」然り、ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』(1978年)然り、ゾンビといえば多くは人間がなるものというイメージがあるだろう。しかし人間でなく「恐竜がゾンビ化する」という驚愕の発想が本作の見どころだ。

ところが数あるゾンビ映画を見てみると、「恐竜のゾンビ化」に負けず劣らず奇妙奇天烈な設定のゾンビ映画が何本も存在する。そこでこの記事では、「え、これがゾンビになるの!?」と思わず言いたくなる「ゾンビ×○○」映画を3本ご紹介したい。

おサルさんもキリンさんもみ〜んなゾンビ『ZOOMBIE ズーンビ』(2016年)

“人間以外の生物がゾンビ化するゾンビ映画”といえば、まず挙げたいのが『ZOOMBIE ズーンビ』だ。「アメトーーク!」の「ゾンビ芸人」回で紹介されていたため、記憶にある人も多いかもしれない。

舞台は、絶滅危惧種の動物だけを集めた広大な「エデン野生動物園」。間もなく一般公開を控え、職員達が研修を受ける中、不治の病で搬送されてきた猿が突如ゾンビと化してしまう。猿達は次々と獣医や職員達を食い殺していき、ゾンビ化はさらに他の動物達にも広まっていく……というストーリーだ。本来なら家族連れやカップルに夢と憩いの場を与えるはずの動物園が、阿鼻叫喚の地獄絵図に変わるのである。

製作会社はアメリカのアサイラム社。巨大ザメが暴れ回る『メガシャーク』シリーズや『トランスフォーマー』(2007年)をパクリ……もといオマージュした『トランスモーファー ―人類最終戦争―』(2007年)など、一部の映画ファンからは愛を込めて“空前絶後のB級映画生産会社”と呼ばれている。もちろん、本作でもそのB級映画製作で培った手腕がいかんなく発揮されており、可愛らしいコアラが少女に向かって牙を剥いたり、悠々と歩いていたキリンが人間を見つけるや否や食らいついて地面に叩きつけたり、象に踏みつぶされたりと、衝撃的なシーンの連続だ。

もはや「きゃ〜かわい〜」などとスマホでインスタ映えする写真を撮っている場合ではない。動物達が人間に反旗を翻したら、どれだけ恐ろしいかというのを身に染みて思い知らされる映画だ。

全力の超B級ゾンビコメディ『ゾンビーバー』(2014年)

『ゾンビーバー』は世界中で大ヒットを記録した、二日酔いコメディストーリー『ハングオーバー!』シリーズの製作陣が手がける、“約束されたB級”のゾンビ映画だ。人間以外をゾンビにしようと思うとトリッキーな内容にならざるを得ないのかもしれない。しかし、本作は「徹底的にバカをやろう」という製作陣の熱意と心意気が光る、「最高のB級映画」と言って差し支えないだろう。

タイトルから勘のいい人はすぐにピンとくるかもしれないが、『ゾンビーバー』でゾンビになるのは、可愛いビーバーだ。汚染廃棄物によってゾンビ化したビーバーの棲む湖のそばへ、ある日若い男女グループがキャンプに訪れる。ところが、そのうちの一人・ジェンが浴槽で凶暴なゾンビと化した「ゾンビーバー」に遭遇してしまい……。

ビーバーがゾンビになるという奇妙な設定はもちろん、ビーバーに噛まれた人間は、ゾンビ化するだけでなく強靭な歯や尻尾というビーバーとしての特徴も加わるというのも見所のひとつ。おまけにビーバーは木を齧り、トンネルを掘る習性があるため、恐ろしいことにどんなに家を補強して籠城したところで「ゾンビーバー」相手には全く意味がないのだ。もう手の施しようがない。

倒しても倒してもモグラ叩きのようにどんどん顔を出してくる「ゾンビーバー」および、「ゾンビーバー」化した人間、そしてクマ(猛獣まで「ゾンビーバー」の餌食になる!)からどう逃げ切るのか、ぜひ自身の目で確かめていただきたい。

狂った牛に襲われる恐怖『ミート・オブ・ザ・デッド』(2004年)

アイルランドの農村を舞台に、主人公の女性がゾンビと化した村人達に襲われるというパニック・ホラー『ミート・オブ・ザ・デッド』。

夫・マーティンとラブラブ旅行中の主人公・ヘレナだったが、マーティンが車で男を轢いてしまう。やむなく遺体を車に乗せた2人だったが、死んだはずの男が急に起き上がり、マーティンに食らいついたのだ。なんとか撃退したものの、首元を食いちぎられたマーティン。ヘレナは夫を残し、近くの農家に助けを求めるが、家には腐敗した死体があるのみだった。うまく状況を飲み込めないヘレナに、ゾンビと化したマーティンが狂ったような声を上げながら襲いかかる……。

本作では、ゾンビ化の元凶は「謎の病に侵された牛」となっている。のどかなはずの農村で、人喰いと化した牛が車の窓を突き破り、老人を引きずり出して容赦なく食い尽くすシーンは恐怖そのものだ。 ちなみに、「掃除機のノズルでゾンビの目玉を吸い出す」「ハイヒールを投げる」といったゾンビ撃退法や、「夜に目をかっと見開いて眠るゾンビ」という斬新な演出も楽しめる。

これまで様々な生き物がゾンビ化してきたが、恐竜は『ゾンビ・レックス 殺人ゾンビ恐竜 誕生』が初だ。恐竜の圧倒的な強さにゾンビの恐怖が加わった時、一体どんな化学反応が生まれるのだろうか? 

(c)2016 Cyclopsdome and THE GAM3

到底人間などでは太刀打ちできないような恐竜が不死身のゾンビになぞなろうものなら、筆者だったら早々に辞世の句でも読むところだが、『ゾンビ・レックス 殺人ゾンビ恐竜 誕生』の登場人物達はそんなゾンビ恐竜に果敢に立ち向かっていく。全く頭が下がる思いである。

(小泉ちはる@YOSCA)