日中共同製作映画として史上最大規模のプロジェクト『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』が2月24日に公開される。原作は、「陰陽師」シリーズ、「神々の山嶺」などで知られるベストセラー作家・夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」。カンヌ国際映画祭パルム・ドールやゴールデングローブ賞ほか多数の受賞歴を誇る、世界的巨匠チェン・カイコーがメガホンを取った話題作だ。

主人公は、日本が誇る若き演技派、染谷将太演じる天才僧侶・空海。空海は、稀代の詩人・白楽天(後の白居易)を相棒に、権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、中国の唐王朝を震撼させる怪事件の謎を探っていく。この壮大な冒険ミステリーで、怪事件のカギを握る人物・阿倍仲麻呂に扮したのは、日本の大スター・阿部寛。現在、公開中の映画『祈りの幕が下りる時』の大ヒットも記憶に新しい、阿部寛にお話を伺った。

想定外だった、チェン・カイコー監督作への出演

Q:出演オファーを受けたときの感想は?

まさか自分にチェン・カイコー監督の映画に出演するという話が舞い込むと思っていなかったので、嬉しかったですね。ぜひやってみたいと思いました。これまでに監督のいろんな作品を観ましたが、今回、改めて過去の作品を全部見直しました。

Q:監督の作品を以前からお好きだったのですね。

『始皇帝暗殺』(1998年)、『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993年)、『花の生涯~梅蘭芳~』(2008年)、『黄色い大地』(1984年)……どの作品が一番好きかと聞かれても選べない。この空間で自分が芝居を出来ることが嬉しかった。

Q:演じた阿倍仲麻呂には、どのようなイメージを持っていましたか?

有名な遣唐使だということくらいしか知らなかったので、まず原作を読みました。仲麻呂に関しては、かつて中井貴一さんが演じられたことがあったので、その作品を観たり、文献を読んだりしました。仲麻呂はとても聡明で、異国の地で当時の中国の官僚登用試験である科挙に合格するほど。そして、玄宗皇帝の側近にまでなった人物です。しかも会う人を一回で魅了してしまうカリスマ性もあったらしい。これは難しいなと。その後、監督と会って、1時間ほど説明を受けました。ほとんど覚えていません。抽象的な説明が多かったと思います。あとは現場で人物像を掴んでいこうと思いました。

チェン・カイコー監督が大絶賛! 阿部寛の目力

Q:チェン・カイコー監督は、この映画でもっとも難しい役は阿倍仲麻呂だと。その仲麻呂を阿部さんが見事な目力と演技で表現してくれたとおっしゃっていました。

そうですか、良い話を聞きました(笑)。

Q:阿部さんが演じた仲麻呂の存在感は素晴らしかったです。阿倍仲麻呂は、楊貴妃を強く想っている役ですね?

楊貴妃に対して、仲麻呂は純な想いを抱いている。それは脚本を読んでわかったんですが、これが中国語を翻訳したもので、細かい台本ではなかった。そのため、自分で想像をしていかなければならない。玄宗皇帝に信頼されている仲麻呂が、玄宗皇帝の寵愛する楊貴妃に憧れを抱くのは裏切り行為です。ほとんどセリフがない中で、彼の繊細な想いを表現するのは、とても難しかったです。

Q:本作は日中共同製作映画ですが、日本映画の撮影現場との違いは?

日中共同製作映画だからというより、チェン・カイコー監督の現場が特別だと思います。とにかく、妥協をしない撮影をやる方でした。1カットを撮るのに、きっちり時間をかけていました。テストが7回くらいあって、テストごとにそこに出ていた俳優がみんな呼ばれて、監督はひとりひとりに丁寧に説明してくれます。監督はご自身でも俳優をやられているから、俳優の迷いみたいなものが分かっていて、それを説明しながら取り除いていくんです。そういう部分でも人の心を掴むのが上手だなと思いましたし、魅力的な方でした。

Q:この映画が観客にどのように伝わってほしいですか?

空海役の染谷将太くんと、白楽天役のホアン・シュアンさんの若い二人の物語です。ホアン・シュアンさんは、中国の大スターです。ふたりの冒険ミステリーが、チェン・カイコー監督ならではの壮大なセットと映像美の中で楽しめる。見所がたくさんある、ダイナミックな作品ですから、ぜひご覧いただきたいですね。

(C) 2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film

映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』
2月24日(土)より全国東宝系にて公開
公式サイト:http://ku-kai-movie.jp/
配給/東宝・KADOKAWA
(C) 2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film

取材・文/田嶋真理 写真/横村彰