2018年3月10日公開の映画『坂道のアポロン』。主人公でピアノの名手・薫を演じるのは、Hey! Say! JUMP・知念侑季だ。2月5日に行われた完成披露の舞台あいさつでは、知念がピアノの生演奏を披露した。音に合わせ楽器演奏のフリをする「当て振り」を封印し、自らの指先で紡ぎ出したメロディーで会場を酔わせた。“役者泣かせ”ともいわれるピアニスト役。これまでにも、多くの役者たちが挑んできたが……その“舞台裏”は壮絶だ。

「1からスタート」「1か月前開始」でも! これが役者の底力

2016年の映画『四月は君の嘘』で、俳優・山崎賢人が演じたのは、天才ピアニスト・公生役。ピアノ経験ゼロの山崎は、クランクイン半年前から練習を開始。「まずは基本姿勢から入って、ドレミファソラシドをスムーズに弾けるようにしていって」と1からのスタートであったそう。

DVD&Blu-Ray特典映像にて、「ゆっくりはでき(弾け)ても、本物のスピードにしようとすると、全然できなかったりするし、やっぱり難しい」と語った山崎。撮影が始まってもなお苦戦を強いられたが、演技指導の講師曰く「リズム感がとても良い、すぐ曲を覚える」とのこと。「指がとても綺麗。弾いてるところも綺麗なので、なるべく(本人が)弾いてほしい」と期待され、応えるべく猛特訓に励んだそうだ。

2017年のドラマ「ごめん、愛してる」(TBS系)では、俳優・坂口健太郎が卓越した演奏技術を持つアイドルピアニスト・サトル役を好演。ピアノは幼少期に少しかじった程度の坂口だが、練習開始は撮影のわずか1か月前。しかし、撮影初回のサトルのコンサートシーンでは、未経験とは思えぬなめらかな指使いを披露し、現場は騒然となった。

本物の天才ピアニストぶりを発揮した坂口だが、やはりそれは、役者としての誇りであったよう。「めちゃくちゃ練習しました」「限界はあるとは思うけど、あんまりそこはウソはつきたくなかったし。ピアノはやりました。恐ろしいくらい」と後に振り返っている。

「ピアノ買った」!? いつでもどこでも、一に練習、二に練習

人気ドラマシリーズ「コウノドリ」(TBS系)では、産婦人科医の傍ら天才ピアニストとして活動するサクラ役を俳優・綾野剛が熱演。圧巻のピアノシーンが話題となった。2015年のファーストシーズンに比べ、2017年のセカンドシーズンで難易度がアップした劇中曲について綾野は、同年11月4日に開催された同ドラマの音楽監修を務めるピアニスト・清塚信也の「コウノドリコンサート」にゲストで登場した際、「右腕もげそう」「本当に素人なんだからこっちは」と愚痴をこぼした。

しかし、プロ根性からシリーズを通じて猛練習を重ねたようで、2015年9月26日放送の「TBS新人女子アナ突撃取材!秋の新ドラマ とれたてスクープ大連発!」(TBS系)では、撮影現場にピアノを持ち込んでの練習はもちろんのこと、弾きたい時に弾かないと全く意味がないというストイックな理由で、ピアノを購入したことを明かした。演奏指導の講師からも「剛くんは本当に努力家」と評された綾野。惜しまぬ努力が、一流役者たる所以か。

『坂道のアポロン』撮影に向けて「一昨年の9月からピアノの練習を始めた」という知念。楽譜の読めない知念にとって、クラシックピアノの弾き手でありながらも友人たちとの出会いを通じ、ジャズピアノに入れ込んでゆく薫役は、あまりに高いハードル……でもなかったようだ。

「演奏シーンの撮影のときは完璧に弾けるようになっていたので、どこから撮ってもOKな状態で、本当にびっくりしましたね!」と絶賛したのは三木孝浩監督だ。なんと、“演奏指導の講師が弾いた指の動きを見て覚え、トレースする”ことで演奏したという知念。「周りの大人たちがビックリするほど褒めてくれて」「毎回少しずつ弾けるようになるのが楽しくて、ピアノっていいなって」と無邪気に語っている。劇中の演奏シーンに期待大だ。

(文/ナカニシハナ)