文=木俣冬/Avanti Press

「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日 木曜よる9時~)が後半に来て、大きな盛り上がりを見せている。

放送開始した頃は、木村拓哉演じるボディガード島崎の活躍を一話完結で見せる、シンプルなドラマと思っていた。武器を持たず、己の肉体のみで人を護る島崎のストイックなところと、家に戻ると、息子とふたり暮らしのやもめで、息子に尊敬されているかといえばそうでもなく、仕事時のようなかっこよさはない、そのギャップを楽しむドラマかと。

ところが、7話に来て、にわかに話が連続ドラマのダイナミズムを帯びて来た。島崎が所属する身辺警護課の課長・村田(上川隆也)が、事件に巻き込まれて命を落としてしまうのだ。新設の課のため、属している者たちの結束はバラバラで、とりわけ、島崎と高梨(斎藤工)の仲が悪く、何かとぶつかりあっていたものの、回を追うごとに少しずつ、チームワークが生まれはじめていた。その矢先の課長の死だっただけに、登場人物のみならず、視聴者のショックは計り知れないものがあった。

元妻役での山口智子の登場は隠れ蓑!?

この回(7話)は、木村拓哉と伝説の高視聴率ドラマで共演した山口智子が島崎の元妻役で登場することで注目を浴びていたが、それを隠れ蓑にして、こんな思いがけない展開を用意していた制作スタッフはなかなかやるなあと思う。

「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(2014年/フジテレビ)などヒット作を書いているベテラン井上由美子の、一話完結ではない連続ドラマの面白さを加味した脚本が冴えている。

警視庁SP落合役の江口洋介(左)とBG高梨役の斎藤工(右)
「BG~身辺警護人~」木曜よる9時 (C)テレビ朝日

6話の最後、打ち解けてきた課の面々が集合写真を撮る場面があって、それが、課長の死後、残された人々の心に特別な感情を灯す。課長の死に関係する事件は、大物政治家(堀内正美)にまつわるもので、その死の真相が隠蔽されたことによって、不名誉なものとなってしまう。島崎たちは、課長の名誉を守るため立ち上がる。

木村拓哉がもつ本当のスター性とは

国家ぐるみの隠蔽工作に立ち向かう民間のボディガードの矜持、そして、共に闘う仲間との結束という視聴者の心を震わすポイント目白押し。そこで、中心となるのが木村拓哉だ。彼には、集団でつるむことを好まない、ちょっとぶっきらぼうな孤高のヒーローが似合うが、一方で、チームプレイものとも相性がいい。

例えば、シリーズ化され映画化もされた月9ドラマ「HERO」(2001年/フジテレビ)も、基本はスタンドプレイながら、木村演じる久利生検事が型破りな言動をとることで、ほかの登場人物たちを刺激し、活動に駆り立て、結果的に大きなグルーヴ感が生まれた。木村がいると、メンバーそれぞれの才能が存分に発揮され、共同体が活性化するのである。それが木村拓哉のもつスター性のひとつだと思う。

木村拓哉は海鮮丼の中の大トロ説

「BG」では、島崎と同じ課に所属するメンバーに、上川隆也、斎藤工のほかに菜々緒と間宮祥太朗とがいる。なかなか豪華な面子で、ひとりひとりがドラマの主役を張れそうなほど。だからこそ、ともすると、ひとりひとりが目立ち過ぎて、どこを見ていいかわからなくなってしまうところを、人一倍パワーのある木村拓哉がいることで、豪華さを残しながら、ひとつにまとめることができるのだ。言うなれば、トロ、うに、いくら、カニ……と高級素材の集まった海鮮丼のなかでひときわ輝きながら、丼の世界をひとつにまとめる大トロのように。

集団のなかで、決して馴れ合うことはなく、だがしかし、同じ目的をもった者たちを大事にする島崎。当初、島崎に猛反発していた高梨を演じる斎藤工とのとぼけたやりとりもなかなか魅力的になってきた。それこそ、斎藤は「昼顔」でブレイクし、最近では映画監督としても活躍している異能の人物だ。木村拓哉は、相手役にパワーがあればあるほど、力を発揮する。だからこそ島崎と高梨が相乗効果を成している。

木村拓哉のラブストーリーが良い理由

木村のラブストーリーが良い理由もチームプレイにある。それはラブストーリーが、相手役のパワーをもらいつつ、相手役を輝かせる最たるものだからだ。それこそ山口智子とのお互いのパワーを何重にも重ねていって高みに昇っていくところが、観る者をわくわくさせた。

まったくの余談ではあるが、木村拓哉と斎藤工には、上戸彩と共演したというつながりがある(木村「アイムホーム」2015年/テレビ朝日系、斎藤「昼顔」)。ふたりがやりとりしていると、その背後につい、上戸彩が浮かんできてしまうのもご愛嬌。

なにはともあれ、現在、ソロ活動している木村拓哉であるが、チームの尊さを感じさせる「BG~身辺警護人~」は木村拓哉の真骨頂と言っていいと思う。