先日発表となった第90回アカデミー賞で「長編アニメーション映画賞」と「主題歌賞」の2部門受賞を果たしたディズニー/ピクサーの最新作『リメンバー・ミー』が、3月16日より公開となる。『トイ・ストーリー3』(2010年)のリー・アンクリッチ監督が、カラフルでご先祖ガイコツたちが楽しく暮らす「死者の国」を描く。本作には、ディズニー/ピクサー作品の持ち味であり原点とも言える魅力が詰まっている。

命なきものに“生命”を与えるディズニー/ピクサーの原点

ディズニー映画初の長編フルCG作品となった『トイ・ストーリー』が1995年にアメリカで公開されて以降、日本でも多くのファンに愛されているディズニー/ピクサー作品。なんといっても魅力的なのは、CGという無機質なイメージの表現ながら、おもちゃや車などをモチーフにしたキャラクターたちが、生命感たっぷりに愛らしく描かれていること。

昨年最新作が公開された『カーズ』シリーズでも、意思を持った車たちが描かれていたが、その原点となったディズニー作品があるのをご存じだろうか。

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

メアリー・ブレアとナイン・オールドメンの珠玉のアニメーション

2009年に東京都現代美術館で展覧会が行われていたので、メアリー・ブレアという名前を知る人もいるかもしれない。彼女は、ウォルト・ディズニーのもと、カラー・スタイリストとして、『ふしぎの国のアリス』(1951年)など数々のディズニー作品のビジュアルイメージを構築していったアーティストだ。

そしてディズニーには、ナイン・オールドメンと呼ばれた伝説のアニメーター集団がいた。「メアリー・ブレア展」でも上映された短編作品『小さな家』と『青い自動車』(ともに1952年公開)は、ナイン・オールドメンが家と自動車という無機物に、紙と鉛筆で生命を与え、それぞれ輪廻転生を描いた珠玉の作品だ。

『青い自動車』は、その後の『カーズ』の原型となったことでも有名で、『トイ・ストーリー3』も、おもちゃたちが子どもから子どもへ受け継がれていく物語だった。

メアリー・ブレアの鮮やかな色彩と、アニメーションという表現でモノに生命を与えること。50年以上の月日が経ち、紙と鉛筆からパソコンへとツールが変わっても、描くものの本質は変わらないのだ。

(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

音楽とアニメーションの融合を描いてきた作品たち

さて、『リメンバー・ミー』の主人公・ミゲルは、ミュージシャンを夢見るギターの天才少年。しかし先祖代々で音楽を禁じられた少年ミゲルは、死者の国に迷い込み、ある家族の秘密に辿り着くが、アカデミー賞主題歌賞を受賞したタイトルと同名の曲がキーになる。劇中には「リメンバー・ミー」のほかにもたくさんの楽曲が登場。音楽とアニメーションの融合は、最新短編が本作と同時上映される『アナと雪の女王』(2013年)をはじめ、古典的名作『ファンタジア』(1940年)など、ディズニー映画に代々受け継がれてきた。

ちなみに、1922年から制作されたミュージカル調の短編『シリー・シンフォニー』シリーズの最初の作品は『骸骨の踊り』というタイトル。夜の墓場を舞台に、骸骨たちが伸び縮みしたり自らの身体を楽器にしたり、ダイナミックかつユーモラスにダンスを繰り広げる作品だ。『リメンバー・ミー』の「死者の国」にも通じるものがあると思うのは、筆者だけだろうか。

カラフルな世界観と、無機質なものに命を与えるアニメーションを、音楽を奏でながら活き活きと描き続けるディズニーの歴史。『リメンバー・ミー』を観ながら、これまで受け継がれてきた作品を思い起こすのも、悪くはない。

(文/加藤真大@アドバンスワークス)