映像作品の原案から監督、音楽家として活動する異才・かなた狼(かなた・おおかみ)の初監督作『ニワトリ★スター』が3月17日に公開される。舞台は、東京の片隅にある、個性派揃いの住人が暮らす奇妙なアパート“ギザギザアパートメント”。深夜のバーでアルバイトをする草太と楽人(らくと)は自堕落な共同生活を送り、秘密裏に大麻の密売を行っていた。そんなある日、ふたりに不穏な影が忍び寄り、物語は予測不能の結末へと突き進んでいく。

草太に扮するのは、監督と10年来の親交を持ち、独特の色気を漂わせるカメレオン俳優・井浦新。そのバディとなる楽人を、現在、大ブレイク中の若手俳優・成田凌が熱演している。劇中、まるで兄弟のような固い絆を感じさせてくれた、井浦新と成田凌にお話を伺った。

「モデル出身演技派俳優」の先輩後輩が奇跡の共演

(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

Q:この映画で共演する前、お互いに対してどのような印象を抱いていましたか?

井浦新(以下、井浦):撮影前は、凌の映像作品やモデルとして活躍している姿を見たことがなくて。監督から“成田凌で行こうと思う”と言われたときは、本当にまっさらな気持ちでした。特定のイメージがなかったので、凌が楽人へと変わっていく過程がすんなり自分の中に入ってきました。

(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

Q:成田さんは次第に楽人へと変わっていったのでしょうか?

井浦:本人が想像しながら作っていくのと同時に、監督が力業で凌の中にある楽人の要素をぐいぐい突いていくという感じでした。

成田凌(以下、成田):僕は苦痛でしかなかったです。

井浦:撮影が始まる前にいろんな仕打ちがあったから(笑)。とはいえ、虐げられている姿からにじみ出てくるものもあるし。

成田:監督が口から手を突っ込んで、細かい部分を出して来ようとするから当然、拒否反応は出ます。でも、この作品がやりたいんですから、しょうがない。この作品に絶対負けない! と思いながら、きつくても何でもない振りをしていました。

井浦:監督が“面白いやつがいてな、この役は僕のためにあるって言ってきたやつがいるんだよ”と。監督と初めて会ったときにそう言ったんだって?

成田:はい。僕しかいないと思いました。監督がとても威圧的な怖い人で、脚本がすごく面白かったので、ビビりながら僕しかいませんと言いました。その後、一緒に飲みに行って、最終的には僕が威圧したという想い出があります(笑)。

井浦新のマンホール・マニアぶりを成田凌が暴露!

(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

Q:井浦さんは、90年代にファッションモデルとして大活躍されており、メンズノンノの誌面も飾っていました。現メンズノンノ専属モデルである成田さんにとって、モデルと俳優、両方のジャンルの大先輩であるわけですが、井浦さんに対する印象は?

成田:昔から知っている方なので、世間が抱く井浦新像、優しくてかっこよくてクールという印象を抱いていました。実際にお会いすると、想像以上に優しい方で。何を聞いても120%、いや200%ぐらいの答えをいただける。日々、質問攻めをしていました。

井浦:そんなことはなかったと思うよ(笑)?

成田:きっと井浦さんにとっては、優しいことや何かを求めてきたときに本気で答えることが当たり前なんです。そうでないと、一緒に道を歩いていて、マンホールの写真を撮る人なんていないですよ(笑)。

井浦:「ちょ、ちょっと待って!」、カシャカシャって(笑)。

成田:井浦さんと共通の知り合いの子役がいて。その子は僕のことをお兄ちゃん、井浦さんのことをパパって呼ぶんですが、この映画の撮影中に、たまたま大阪で出会ったんです。そしたら、ふたりでマンホールの話をし出したんですよ。あ、受け継いでいる人がいたって。将来が楽しみだなって思いました、不安と同時に(笑)。

井浦:不安と同時にね、大丈夫かなって(笑)。

成田:その子は、マンホールを夏休みの自由研究のテーマにしていたんです。

井浦:下を見て、マンホールの写真を集めたらしくて。その子に「良く集めたな~!」って言いました。

成田:井浦さんはそういうところも魅力的で、うらやましいなと思いました。

井浦:そんなこともあった。でも、最初に監督からこんな奴がいるんだって話を聞いたとき、本当にそのままの人だったら、僕は凌の鼻っ柱をへし折ってやろうと思ったかもしれない。撮影の前に何度か東京で会い、エチュード(即興劇)をやるという、映画では普通やらないことをやって。大阪のアパートで10日間の共同生活に入ったとき、真逆の気持ちを持っているから口からそういう言葉が出ちゃうタイプなんだなってすぐに分かったんです。自信のある奴が自信のあることを言っても面白くないけど、自信がなくてそういうことを言ってしまう奴は愛おしさがあるんです。

成田:恥ずかしい……。

井浦:だから僕は余計なエネルギーを使うことなく、役に集中出来ました。

成田:10日間一緒に暮らしていたとき、井浦さんは僕を楽人としていさせてくれました。散歩しようと誘ってくれたこともありますし、僕は井浦さんを草太やお兄ちゃんと呼んでいました。

(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

Q:井浦さんは撮影に入る前、成田さんのことをまっさらなイメージだったとおっしゃっていましたが、撮影が終わって1年半経った今、成田さんをどう思いますか?

井浦:輝いていますね。凌にはどこかあやうさがあって。そこが魅力で、あやうさを持っているからこそ、良い芝居が出来るんだと思う。この映画を撮り終わった後の快進撃は、凌が潜在的に持っていた力だと思いますし、年齢的にもキャリア的にもこれからどうなっていくのか、楽しみでしかないです。

(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

映画『ニワトリ★スター』
3月17日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、3月24日(土)より、シネ・リーブル梅田、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
公式サイト:http://niwatoristar.com/
配給/マジックアワー
(C)映画『ニワトリ★スター』製作委員会

取材・文/田嶋真理