2018年2月、大人気アニメ「プリキュア」シリーズが15周年を迎えた。シリーズ放送開始時、TVにかじりつき夢中になって観ていた子どもたちも今や大人。現在は子どもと一緒に、かつて憧れたヒロインの活躍を楽しんでいる人も少なくないだろう。

「プリキュア」をはじめとする変身ヒロインたちのいったい何が、私たちの心をつかむのだろう? その謎を解くためにも、約半世紀にわたって作り続けられてきた主な“変身ヒロインアニメ”を振り返ってみたい。

元祖・変身ヒロインアニメ…「ひみつのアッコちゃん」「キューティーハニー」

元祖・変身ヒロインといえば、「テクマクマヤコン」の呪文でおなじみ「アッコちゃん」ではないだろうか。1969年にTV放送が開始された「ひみつのアッコちゃん」は、小学5年生の少女・アッコが魔法のコンパクトを使って変身し、人助けをするという物語。誰でも、一度は「今の自分ではない何かになりたい」と人知れず願った経験があるだろう。何にでもなれるアッコは、そんな女の子たちの無垢な“変身願望”を見事に体現した存在だったのだ。

この“変身ヒロイン”にバトル要素が加わったのが、1973年からオンエアされた「キューティーハニー」だ。スーパーアンドロイド・如月ハニーが、彼女の体内に内蔵された装置を狙う悪の組織と戦いを繰り広げるというストーリーだ。強く可憐でセクシーなヒロインがファッションモデルやカメラマンなどに変身し、過酷な運命に抗いながら刺客を撃退する姿は、まさに「戦う変身ヒロイン」の先駆けと言える。

変身ヒロイン×戦隊はここから始まった…「美少女戦士セーラームーン」「魔法騎士レイアース」

1992年に放送が開始されたのが、当時の子どもたちの間で爆発的な人気となった「美少女戦士セーラームーン」。主人公・月野うさぎがセーラー戦士に変身し、他のセーラー戦士たちとともに強大な敵に対峙するという物語だ。

「美少女戦士セーラームーン」では、複数の変身ヒロインたちが、キャラクターそれぞれに属性やテーマカラーが設定されている。友達と「どのキャラが好きか」という話題で盛り上がった人も多いに違いない(筆者が通っていた保育園のごっこ遊びでは、「セーラーマーキュリー」役の取り合いになっていた)。“唯一無二の美少女ヒロイン”が戦うことが多かった変身アニメに、これまでは男児に人気だった戦隊モノ”の要素が加わったのだ。

その系譜に連なるのが、1994年から放送されたCLAMP原作の「魔法騎士レイアース」。異世界に召喚された3人の女子中学生が“魔法騎士”となり、姫を救う旅に出るというファンタジーだ。特筆すべきが、3人の攻撃方法。剣や弓、魔法のみならず、なんと“魔神”と呼ばれるロボットに乗り込んで戦うのだ。可憐な少女たちが巨大なロボットを豪快に操る様に、熱狂したファンも少なくない。

時代を反映する奥深いストーリーでファンを魅了し続ける…「おジャ魔女どれみ」

1999年に放送開始された「おジャ魔女どれみ」は、“見習い魔女”である女子小学生たちが資格試験をクリアし、一人前の魔女を目指していくというストーリー。絶大な人気を博しており、2018年には東京・大阪でコラボカフェが開催されている。

「おジャ魔女どれみ」が現在に至るまで根強く支持されている理由は、課題をクリアしてパワーアップしていくという少年漫画的な要素と、子ども向けアニメの枠を超えた奥深い人間ドラマにあるのではないだろうか。同作では、ヒロインたちのみならず家族やクラスメイトといったサブキャラクターの葛藤に焦点を当てたエピソードも多い。見習い魔女たちはそんな彼らの悩みに対峙するのだが、それをあっさり解決できるほど、魔法は万能な道具ではない。だからこそ、面白いのだ。

これを象徴するかのように、「おジャ魔女どれみ」を手がけた関弘美プロデューサーは、東映アニメーションをまとめたムック本が発売された際のインタビューで「(「おジャ魔女どれみ」は)普遍的な感動と、時代感がテーマだ」と答えている。老若男女の琴線に触れるからこそ、今でも愛され続けているのだろう。

変身ヒロインアニメの集大成…「プリキュア」シリーズ

これまで紹介してきた変身ヒロインアニメの系譜を受け継ぐ、まさに“集大成”といえる作品こそ「プリキュア」シリーズだ。2004年に放送が開始された「ふたりはプリキュア」は、ごく普通の中学生のもとに、異世界から妖精がやってくる……という変身ヒロインアニメのフォーマットをきっちり踏襲している。しかし、「ふたりはプリキュア」の見どころはそれだけではない。女の子の憧れの的になるような華麗な変身シーンに加え、プリキュアたちは戦隊モノを思わせる激しい肉弾戦や名乗りポーズ、合体必殺技などを駆使して戦うのだ。

さらに、「プリキュアシリーズ」には、「おジャ魔女どれみ」でキーワードとなっていた「普遍的な感動と時代感」も強く出ている。プリキュア同士の友情や成長が描かれるだけでなく、世相も如実に反映されているのだ。たとえば、2018年2月に放送が開始された「HUGっと!プリキュア」では、「一番身近なお母さんこそ、女の子にとっての強く、優しく、カッコいいヒロイン」がひとつのテーマとなっている。主人公・野乃はなや薬師寺さあや、輝木ほまれらプリキュアたちは、妖精の赤ちゃん・はぐたんを育てながらの戦いや学業に大忙しなのだ。「働くお母さん」が何かと話題の昨今において、プリキュアたちの頑張る姿は大人にも限りなく勇気を与えてくれる。

それだけではない。プリキュアたちと敵対する悪の組織は「ブラック企業」を彷彿とさせるものになっている。敵の幹部は全て“社員”と呼ばれ、社員たちが生み出した怪人たちはプリキュアに倒されると「ヤメサセテモライマス」と言いながら消えていくのだ。

本来のターゲットである子どもよりも、大人の方があらゆる意味で心を揺さぶられそうな演出だが、こういった“時代感”も「プリキュアシリーズ」が少女から大人の男性にまで支持を受けている理由のひとつだろう。実際、FUJIWARAの原西孝幸も「プリキュア芸人」を公言しており、「アメトーーク!」でプリキュアの名乗りポーズを完璧に再現してみせるなど熱狂ぶりを知られている。

変身ヒロインアニメ史に名を残す存在として、長年人気を博し続けている「プリキュアシリーズ」。3月17日(土)に公開の『映画プリキュアスーパースターズ!』は、プリキュアシリーズの劇場版24作目にあたる。

ストーリーは、「HUGっと!プリキュア」のはな、さあや、ほまれがはぐたんにお花畑デビューをさせようとしていたところ、世界を嘘だらけにする怪物・ウソバーッカが現れ、さあやとほまれがさらわれてしまうことからはじまる。彼女らを助けようと立ち上がるはなだが、戦いの中で、かつて果たせなかった約束を思い出す。それは幼い頃に不思議な世界で出会った男の子と交わしたものだった。そしてこの“約束”こそ、事件のはじまりだったのだ……。

今作では、「HUGっと!プリキュア」「キラキラ☆プリキュアアラモード」「魔法つかいプリキュア!」に登場する3世代12人のプリキュアが集結する。きらめくような彼女たちの活躍を、是非スクリーンでも堪能していただきたい。

(小泉ちはる@YOSCA)