特技や趣味が仕事の役に立った! なんて経験ありませんか? 履歴書にも記入欄があることからも分かるように、その人の価値を測る上で意外にも重要なもののひとつです。それは俳優にも言えることで、意外な特技が役につながるということも。今回は“ドラム”という特技を、映画で活かしまくっている、俳優を紹介します。

世界的ロックバンドの元ドラマーという異色の経歴!

まず紹介したいのが、『トウキョウソナタ』(2008年)をはじめ、テレビ、映画、舞台とコンスタントな活躍を見せる実力派俳優、小柳友です。彼は、夢に迷う女性ダンサーと夢をあきらめたドラマーの男の出会いと再生を描いた青春ストーリー『ANIMAを撃て!』(3月31日公開)で、華麗なドラムを披露しています。

決まった楽曲があるわけではなく、主人公の果穂が躍るコンテンポラリーダンスに合わせて、ドラムを叩くという高度な技術が要求される役ですが、タイトかつ安定感のあるドラムで、主人公のダンスに花を添えています。時にはダンスを煽るようなフレーズを入れ込むなど、特技レベル以上の腕前を見せています。

(C)2017 埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ

実は、俳優になる前は、ロックバンドでドラムを担当していましたが、俳優へ転身するためバンドを脱退したという経歴の持ち主なのです。そのため小柳は、今作でドラムを叩くことに葛藤があったそうですが、ラストのダンスシーンでは、言葉抜きで通じ合っている様子を見事に体現しています。彼でなければ演じられなかった役かもしれません。

カットを無視して演奏を続行するほどドラムにドハマり!

次に紹介したいのは、若手注目イケメン俳優の中川大志。青春映画『坂道のアポロン』(3月10日公開)で、ジャズドラムを叩く不良少年・千太郎を演じ、豪快で躍動感に溢れたドラムを打ち鳴らしています。

小学校の頃に1年間ドラムを習っていたという彼ですが、劇中で披露する演奏シーンに備えて、数か月に渡り特訓。自ら電子ドラムを購入し、自主練にも積極的に励むというストイックさで、その場で習ったフレーズをすぐに覚えて叩けるほどの上達ぶりだったとか。

撮影中は、カットがかかった後も演奏を続けるほどのめり込んでいたという中川ですが、先日行われた映画のイベントでも、劇中に登場するジャズナンバー「モーニン」のセッションを完璧にこなし、観客を魅了しました。

血まみれでドラミング…! 映画さながらのスパルタ特訓!

海外の映画に目を転じてみると、『セッション』(2014年)で鬼ドラミングを披露したマイルズ・テラーが真っ先に思い浮かびます。主人公である才能あふれる若きドラマーのアンドリューを演じたテラーは、もともと10年以上のドラム演奏経験があったものの、本作のために1日4時間のレッスンを週3回のペースで受けるという、映画の内容とシンクロするような鬼特訓を受けたんだとか。

また、ドラム演奏のシーンでは、監督がカットをかけることがなかったそうで、テラーは自分の限界までひたすらドラムを叩き続けたそう。その結果、彼の指はマメだらけになり、潰れたマメのせいでドラムセットは血まみれに。

そんな壮絶なシチュエーションの中で繰り広げられた若きドラマーと鬼教師による一騎打ちは音楽というよりも格闘技を見ているよう。クライマックス9分19秒に渡るドラム演奏は、映画ファンの間でも語り草になっている名シーンです。

ドラムを叩くことに加えて、その上に見事な演技まで重ねている役者たち。役を完璧に演じるためには、壮絶な努力も厭わないその姿勢には、頭が上がりませんね。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)