3月24日から配信中のdTV・オリジナルドラマ『配信ボーイ~ボクがYouTuberになった理由~』。実在の人気YouTuber・すしらーめん《りく》の軌跡をたどった作品で、ごく普通の少年が動画を投稿し、YouTuberとして活躍していく姿、葛藤などを描いている。今回は、本作の主演をつとめる若手実力派俳優・吉村界人を直撃。YouTuberに対する思いや自身の役者としての展望を語ってもらった。

実際に演じてYouTuberの印象がゼロからプラスに

吉村界人 配信ボーイ

Q:本作は、どのような作品でしょうか?

物作りの話ですね。自分の頭の中にあるものを形にする。僕はYouTuberという職業とこれまであまり接点がなく、動画も決してよく見るほうではなかったんですが、やっていることは自分がやっていることとそんなに変わりはないかなと思いました。

Q:今回、演じることになったすしらーめん《りく》さんには、どんな印象を持ちましたか?

今の時代にしかできないすごく新しいことをやっているんですけれど、考え方は古風というか、「こうやったら面白いんじゃないか」と、見たことがないもの、やったことがないことを一途にやっていくひたむきさを感じました。

Q:実際に演じてみていかがでしたか?

大変でしたね。今回、中学生から演じたのですが、たとえば、今の僕は人と会話するときに、「今、この人はこういうことを思っているんだろうな」とか、頭をめぐらせることができるけれど、14歳ぐらいだとバッといわれた一言をそのまま受けとめて、一つの言葉に一個の意味しかないように思ってしまうときがあると思うんです。たくさんの言葉にいろいろな意味があるという複雑なところまでいかないというか、そういうフレッシュさを出すのが難しかったですね。

Q:今回、実際に今生きている人物を演じたわけですが、そうした難しさはありましたか?

現場にりくくんがお父さんや親しい方とほぼ毎日来ていたんです。りくくん自身、「自分が実際にやってきたことを目の前でやられるのは、すごく緊張する」と言っていたんですが、僕も緊張しましたね。現場で彼が見ている前で僕が「どうも、すしらーめん《りく》です!」って芝居をしていて目が合うとなんだか気まずいというか(笑)。でも、初日が終わったときに、りくくんとお父さんが来て「お互いの見た目や性格は全然違うけれど、本当に吉村くんでよかった」と言ってくれて、すごくうれしかったですね。

Q:実際、役作りはどのようにやられていったのですか?

僕は地が暗いので(笑)、「暗くならないように」というのを心がけました。あとは、これは俳優として決して正しいやり方ではないかもしれませんが、現場でりくくんに「これ、リクだったらどう思う?」って聞いたりもしました。自分でも考えつつ、本人からも役作りのヒントをもらいましたね。

Q:すしらーめん《りく》さんの動画で印象に残ったものはありますか?

ドラマの中でもやっているんですが、「ゴキブリホイホイで壁に張り付いてみた」が面白かったですね。他に実際に撮影でやったものだと、重曹を浴槽に入れて炭酸風呂を作るのが楽しかったです。炭酸水がチクチク身体の傷口にしみこんで痛かったですけれど(笑)。

Q:今回自身で演じてみて、YouTuberに対する考えは変わりましたか? また、YouTuberになってみたいとは思いましたか?

今回演じたのがりくくんだったからかもしれないですけれど、YouTuberへの印象がゼロからプラスになりましたね。上の世代の方から見るとあまり理解できない所もあるようですが、そんなことはないと感じました。

ただ、僕自身はなれないと思いました。彼らがやっていることは、思いを歌詞にして歌を作ったり映画を作ったりするのに対して、思いついたことや好奇心から「スイカ爆破動画」みたいな感じで形にしていくもの。ただ、映画や歌詞に形やルールがあるのに対して、「スイカ爆破」とかは形というよりも、“行為”ですよね。そういうアイデアを作り出す才能は僕にはないと思う。YouTuberは究極の表現者だという感じがします。

負けの気持ちを知ったときから「全力で生きよう」と思った

吉村界人 インタビュー

Q:今やYouTuberは子供のなりたい職業でも上位にランクされていますが、吉村さんが小さいころになりたいと思った職業はなんでしたか?

最初はたぶん警察官です。ジャッキー・チェンが警察を演じている映画を見て、格闘家みたいでかっこいいなと。警察官の後は、ピアニストや服を作る人になりたいと思ったこともありました。ピアノは昔少しだけやっていてやめたのですが、19歳のときに電子ピアノを買って、ハノンから練習し直してみたら、いいなあと思いました。昔から何か表現することをやりたかったんですよね。

Q:今回、学生の役でしたが、ご自身はどんな学生だったのですか?

今回の役とは全然違いましたね。学生時代の僕は暗くて一匹狼で、りくくんのように友だちと一緒に動画を見て笑うようなこともなく、一人でゲラゲラ笑ってました(笑)。今でこそ表に出る職業をしていますが、学生時代はとにかくインプットのみで、アウトプットはなし。何かを吸収したくてたまらず、でも、芸術的なこと以外は興味がなくて、本を読んだり映画を見たり、よくわからないのにクリムトの展覧会に行ったりしていましたね。

Q:予告編で「僕はとにかく全力でやってみた」という言葉がありますが、ご自身が今まで一番全力でやったことは?

進行形で「やっている」ことなんですが、表現をすること、そして、生きることですかね。ギャグっぽく聞こえますけれど、人生の中で負けの気持ちを知ってからそう思うようになりました。学生時代はくやしさを覚えることがあまりなかったんですが、それは、誰かとコミュニケーションをとったり競い合ったりすることを避けてきたからです。今はこういう職業をしながら、さまざまな人と出会っていろいろなことをしていく中で「くやしい」と思う瞬間があり、そこから「全力で生きよう」と思うようになりましたね。

Q:本作の中で、主人公のリクがYouTuberとしての目的を見失って立ち止まる場面がありましたが、吉村さん自身はこれまで似た経験がありましたか?

僕は今でも毎日見失います。「人気者になりたいのか」、「芝居がうまくなりたいのか」、「好きなことをやりたいのか」と葛藤して、それは一生続くことではないかと。葛藤を抜け出すためにどうしたらいいのかを考える中、好きなことを続けている人たちと話しをして、好きなように生きるために必要なことは「ちゃんと評価される」ということではないかと思うようになりました。

Q:今後、挑戦してみたいことはありますか?

スポ根の作品をやりたいです。アメフトとかラグビーとか。アメフトは昔部活でやっていたんですけれど、やめてしまったので。僕は出不精で読書が好きで、身体を動かしてやるものは、触れることはあっても続かなかったんですが、汗をかいてみんなで一致団結してやっていくというこれまでの自分と真逆のドラマに興味がありますね。

Q:たとえば、自分で映像作品を撮ってみたいという希望などはありますか?

すごくありますね。映画を作りたいし、誰かのMVも撮ってみたい。ジャンルとして興味があるのは動物と人。とはいっても泣ける子犬の映画とかじゃなくて、ライオンと旅する少年のようなものを、ジャングルとか暑い熱帯雨林に行って撮影したいと思います(笑)。

吉村界人 配信ボーイ~ボクがYouTuberになった理由~

(取材・文 田下愛)