女性納棺師・永井結子著の「今日のご遺体 女納棺師という仕事」を原案としたヒューマンドラマ『おみおくり』が3月24日より全国公開される(17日より富山にて先行公開)。主人公となる女性納棺師・満島弥生に扮したのは、極道の妻、弁護士といった幅広い役を巧みに演じ分ける名女優・高島礼子。幼い頃に両親を交通事故で失ったトラウマを抱えながら満島のもとで納棺師として成長していく河村亜衣を、女優デビュー作『三本木農業高校、馬術部』で日本アカデミー賞新人俳優賞を獲得した文音(あやね)が熱演している。

TVドラマ「SAKURA〜事件を聞く女〜」で共演済みということもあって、取材現場で姉妹のような仲の良さを垣間見せてくれた高島礼子と文音にお話を伺った。

Q:役作りとして、どのようなことをされましたか?

高島礼子(以下、高島):弥生は、自分の過去に向き合いつつ、明るく生きている人だと思いました。死に直面する納棺師の役ですが、暗くなり過ぎないように演じることを心掛けました。

文音:亜衣は心の傷を抱えながらも強く生きている女性です。そういったところを自分の中で作っていき、演じました。

Q:本作には、恋人や家族との別れを綴った7つのエピソードが描かれています。様々な「死」の現場を経験して感じたことは?

文音:劇中、私は7つのお葬式すべてに出席しました。これまで、お葬式は亡くなられた方のために行うものだと思っていたのですが、本当は生きている側の人間のために行うものなんだと実感しました。

高島:確かに、どう見送るか、なんですよね。こちらは残された側ですから。どう見送るかによって、残された人間の今後が決まってしまうので、しっかりと見送ることが大切だと思いました。

Q:まさに『おみおくり』の大切さを気づかせてくれる映画ですね。

高島:大切な方が急に亡くなるなんて、誰も考えないことですよね。だからこそ、この映画がきっかけとなって、どういう別れをしたいのかということを考える機会になれば。いま、終活が流行っていますが、若いからといって長生きするわけじゃない。年齢に関係なく死は訪れます。この映画は、そういうときに慌てず、きちんとしたお別れをするための参考になるのではと思います。気軽に観て、明るい終活をしていただきたいですね。

Q:これまでに終活を考えたことは?

高島:お墓は買っています。ちゃんと終活をしているんですよ(笑)。最初は親のために探していたんですが、買った後に自分の気持ちが楽になりました。行くところが決まっていると、安心ですよ。

文音:私の周りでは、終活している人はいないです。

Q:ご両親(文音さんの父親は日本を代表するシンガーソングライター・長渕剛さん、母親は女優の志穂美悦子さん)もまだ終活はされていない?

文音:そうですね。もしかしたら、私の知らないところで終活しているのかもしれませんが。私はどのお墓に入るのか……。

高島:結婚してからでないと。

文音:そうですね。

高島:いま、終活を考えるよりもすべては結婚してから(笑)。

文音:相手を見つけなきゃ(笑)。

Q:文音さんは今年で30歳を迎えますが、ご両親から結婚しなさいと言われることは? ※インタビュー時は29歳

文音:ないです。結婚しろ、なんて言われたことがないです。私が結婚しちゃうのが寂しいのかもしれません(笑)。

Q:さきほど、高島さんから、本作はきちんとしたお別れをするための参考になるのでは、というお話がありました。文音さんはこの映画を通じて、何を伝えたいですか?

文音:女性の納棺師というお仕事があって、ご遺体に死化粧を施し、綺麗にしていく。その過程はあまり映さないものだと思うのですが、この映画は嘘をつかずにありのままを見せています。

Q:顔に大きな傷があるご遺体に死化粧を施し、生前の顔を復元していく様子は、とてもリアルでした。死化粧というよりも特殊メイクに近いような。

文音:そうなんです。私も撮影現場で実際にその過程を知ることが出来ました。お葬式はご遺体と向き合うことで生きている側が救われていくものだと思います。礼子さんがおっしゃっていたように、この映画をお葬式の参考にしていただけたら、嬉しいですね。

(C)2018「おみおくり」製作委員会

映画『おみおくり』
3月24日(土)より、有楽町スバル座ほか全国順次公開
公式サイト:http://www.exf.info/omiokuri/
配給/エクセレントフィルムズ
(C)2018「おみおくり」製作委員会

取材・文/田嶋真理 写真/横村彰