京都府井手町を舞台に、ロードバイクに魅せられたふたりの主人公が人々とのふれあいを通し成長していく姿を描いた青春映画『神さまの轍-Checkpoint of the life-』が全国公開中だ。プロのロードレーサーの道を選び、挫折に苦しむ佐々岡勇利を演じたのは、国民的人気ドラマ「水戸黄門」の格さん役でおなじみのイケメン俳優の荒井敦史(あらい・あつし)。そして、ロードレーサーの夢をあきらめ、迷いを感じながら就職活動を行う小川洋介に、朝のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」で全国区の顔となった演技派俳優の岡山天音(おかやま・あまね)が扮している。勇利と洋介は中学時代からの幼なじみという設定だけあって、取材現場でも息が合ったところを見せくれた荒井敦史と岡山天音に、本作の魅力を伺った。

まるで映画!? 勘違いから始まった、印象的な出会い

  

Q:おふたりは初共演ですが、まるで幼なじみのような雰囲気を醸し出しています。スタッフの方が合宿のような撮影だったとおっしゃっていたのですが、その過程で心の距離が縮まったのでしょうか?

荒井敦史(以下、荒井):それもありますが、僕がズカズカと入り込んでいるせいかもしれません(笑)。

岡山天音(以下、岡山):荒井くんの協調性は半端ないです。

荒井:協調性でしか、生きていないです(笑)。まず、岡山くんとの出会いが普通と違っていて。僕が一緒にご飯へ行ったことがあると勘違いしたことから始まっているんです。

岡山:おそらく、いろんな場で荒井くんを見かけたことはあったと思うんです。でも話したことはなかったですよね?

荒井:僕は話したことがあると思っていたから、“前にご飯へ行ったよね?”と話しかけて。岡山くんはそのコメントを寛大な心で受け止めようとしてくれたんだけど、受けきれずに“初めまして、ですよね?”と(笑)。そういう会話から始まるという面白い出会いでした。

岡山:最初は、僕が忘れているのかな? と思ったんですよ。

荒井:自分を疑ったんでしょ?

岡山:それで、考えたんですが、いや、会っていない、忘れるわけない! という結論に達して(笑)。

荒井:ある意味、良いスタートだったと思います。

岡山:確かに。

危険を顧みずに挑んだ、吹き替えなしのロードバイク・シーン

Q:荒井さんと岡山さんは、ロードバイクに乗るシーンを吹き替えなしで行ったそうですね。

荒井:ロードバイクに乗る練習は数えるほどしか行っていないので、正直言って細かいところは出来ていないんですよ。それでも僕ら自身が吹き替えなしで行ったことは、絵として生きていると思っています。吹き替えで撮影を行っていたら、絵に説得力が無くなっていたかもしれません。

Q:映画の見せ場のひとつでもある疾走感あふれるロードバイク・レースのシーンは、ものすごい迫力でした。実際にスピードは出ていたのでしょうか?

岡山:出すようにしていました。

荒井:極力。

岡山:下り坂のシーンでは、80km/hぐらい出ていました。

Q:車のようなスピードですね。

荒井:ラストシーンでふたりが一緒に走るシーンは、トラックの荷台にカメラを載せて撮影しているんです。トラックが風よけになって、僕らは風の抵抗を受けずに行けるので、60km/hぐらいは出ていました。あの息遣いは、本当の叫びなんです。追いて行かれる! って(笑)。全力でペダルを漕いでいますから。

Q:おふたりともよくご無事で! 

岡山:撮影中にケガはしなかったのですが、股間が痛かったです。ロードバイクのサドルは堅いんですよ。 

荒井:痛いよね。体に良くないらしいと、撮影の中盤に聞かされたんですよ。僕らは結構、乗っているけど、大丈夫かなって。プロの方はすごいなと思います。何の話をしているんだか(笑)。

岡山:どの角度から褒めているんだって(笑)。

Q:そんな身体的苦労もあった映画ですが、どのようなところに注目して欲しいですか?

荒井:この映画は、人生とロードバイクのレースを重ねて描いています。誰もが挫折を経験するし、上り調子から落ちることだってある。普遍的な要素を盛り込んでいる映画なので、観ていると洋介や勇利に共感したり、こういう人いたなって、懐かしさを感じたりすると思います。僕らのロードバイクの技術はまだまだですが、頑張っています。本物のロードバイク乗りの方もたくさん出演されているので、ロードバイクが好きな方はそこに注目していただきたいですね。

岡山:この映画は自分自身や隣にいる友達に通じる身近なお話なので、もしかすると地味に見えてしまうかもしれません。でも、身近だからこそ、すぐに味方になってくれる映画なんです。僕はこの映画を何度も観る中で、勇利にも共感する部分があるということに気付きました。いろんな要素がある、力強い映画なので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいですね。

(C)2018 映画「神さまの轍」製作委員会

映画『神さまの轍-Checkpoint of the life-』
全国公開中
公式サイト:http://kamisamanowadachi.com/
配給/エレファントハウス
(C)2018 映画「神さまの轍」製作委員会

撮影/株式会社クリエイティブスタジオ ゲツクロ 橋ケ谷典生 取材・文/田嶋真理