4月21日公開の『ロンドン、人生はじめます』で主演を務めるダイアン・キートン。過去には『アニー・ホール』(1977年)でマニッシュな着こなしを披露し話題になったり、アカデミー主演女優賞に4度もノミネートされたり、ウディ・アレンや、アル・パチーノら大物俳優と浮名を流したりと、鮮やかなトピックに彩られる女優人生を歩みながらも、その佇まいはいつだってナチュラルです。

現在72歳になりますが、彼女の美しさは衰えるどころか年々増しているように感じられます。一体その秘訣はどこにあるのでしょう? 今回は、50歳を超えてからのダイアン・キートン出演作と彼女の人生を紐解きながら、素敵な歳の重ね方を探ってみたいと思います。

衰えない感性がもたらすチャーミングな表情が素敵!

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ダイアン・キートンの出演作を観ていると、彼女が演じるキャラクターを好きになってしまうから不思議。くるくると変わる表情に、つい愛着が湧いてしまうのです。

たとえば『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』(2014年)で演じた主婦役では、モーガン・フリーマン扮する夫とテンポの良い掛け合いを繰り広げたり、夫のプライドを守るため強いまなざしで相手に言い返したり、かと思えば人からもらった手紙にあっさりと心動かされて頰が緩んだりと、事が起こるたびに一喜一憂する姿が印象的です。

また同年に公開された『最高の人生のつくり方』では、ラウンジバーで歌うシンガーでありながら、亡き夫のことを思い出しては歌の最中に泣き出してしまう情緒豊かな役を演じました。泣いたり笑ったりと目まぐるしく変わる表情は、まるで少女のようにキュートです。

女優として確固たるキャリアを築いているダイアンですが、40歳を超えた頃から製作にもチャレンジしています。ドラマ「ツイン・ピークス」の数エピソードでメガホンを取り、『電話で抱きしめて』(2000年)では出演と監督を兼任、ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』(2003年)で製作総指揮を務めています。いつまでもみずみずしい感性と旺盛な好奇心が、結果的に役にも活力をもたらしているのでしょう。

恋愛も結婚も形にとらわれないからこそ、役にも説得力が!

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ダイアンは、『アニー・ホール』のウディ・アレン監督、『ゴッドファーザー』シリーズで共演したアル・パチーノ、そのほかジャック・ニコルソンやサム・シェパードなどの大物たちと恋をしてきました。けれど、これまで1度も結婚はしていません。50歳の時に女の子を、その5年後に男の子を養子として迎え、現在はシングルマザー。書籍などにたびたび子どもたちのことを記すなど、愛情たっぷりに育てているようです。そんなダイアンが演じる女性像は、年齢を重ねるほどに多様化していきます。

『恋愛適齢期』(2003年)では、ジャック・ニコルソンを相手に大人の恋を熱演。50代と60代という大人の恋ですが、恋をした時の情熱を若々しく、身体の衰えに悩む姿はコメディタッチに演じました。途中、キアヌ・リーブス演じる若い医師がダイアンに恋をするシーンもありますが、知性とユーモア、色気を備えたダイアンなら落ちてしまうのも納得です。

『クーパー家の晩餐会』(2015年)では一転、結婚40年にして離婚を決意した主婦を演じています。最後に家族の思い出を、とパーティを企画するものの、息子の失業や娘の道ならぬ恋、妹の万引きなど家族の問題が次々に露呈。頭を抱える母親の顔、過去の悲しみをひきずったまま年齢を重ねてしまった女性の寂しさを体現しました。

また、『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』では夫婦2人で暮らす役ですが、子どもを授からなかったことに悩んだ過去を振り返る切ないシーンもあります。こうした描写を見ていると、ダイアン自身の歩みと重ねずにはいられません。

「歳をごまかす努力は疲れるだけ」数々の名言がかっこいい!

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華々しい経歴を辿っていくと、ダイアンは明るくポジティブな女性に見えます。しかし過去には、過食症に苦しんだり、自分の顔にコンプレックスを抱いたりした時期もあったといいます。自伝エッセイ『Let's Just Say It Wasn't Pretty』では「私はジョークを言われてもわからない。(中略)何を言えばいいか迷ってばかりだった」と語っており、内面にも自信がなかったことを明かしています。

そんなダイアンが50歳を超えてから発する言葉はどれも心に染み入るものばかり。『ダイアン・キートン自伝:あの時をもう一度』では「歳をごまかす努力は疲れるだけ。幸福をもたらすことはない」、「人生にはあまりにもたくさんのことがあるけれど、まだ十分じゃない。半分はいっぱいで、半分は空」など、かつて苦しんだからこそ見えてきた“楽しく生きるための心得”が記されています。完璧でなくても丸ごと愛すること、感じたことに素直に生きることが内面の輝きにつながるのでしょう。

『ロンドン、人生はじめます』では、ロンドンの高級マンションで暮らす未亡人・エミリーを演じているダイアン。夫亡き後に発覚した浮気や借金、うわべだけの近所づきあいに心満たされない日々を送っていましたが、そんな時に森の中の小屋で暮らすドナルドと出会い、余計なものを持たない暮らしを送るドナルドに心惹かれていきます。ところが、ある事件がドナルドを襲うのです……。

本作は、ホームレスの男性が周囲に助けられながら一夜にして資産家になった実話を映画化したもので、ダイアンは今回もとことんチャーミングな女性を演じています。「私は私の人生を生きる。あなたは?」という象徴的なセリフもまた、ダイアンに言われると胸に響くものがあります。暮らしのヒントをユーモラスに描いた本作を観ながら、まずは今ある自分を見つめ直してみてはいかがでしょう。

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『ロンドン、人生はじめます』
4月21日(土)、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、
YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
配給:シンカ/STAR CHANNEL MOVIES
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(鈴木春菜@YOSCA)