埼玉県で2004年から続いている、デジタルシネマにフォーカスした国際コンペティション映画祭「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」。その2017年のオープニングを飾った映画『ANIMAを撃て!』が3月31日より劇場公開される。映画初出演の服部彩加と小柳友が、W主演を務めている。

 自分と重なる役柄に向き合う作品

バレエ団に所属しつつも自分が本当に表現したい踊りを模索する女性ダンサー。ドラマーの夢を諦めた青年。そんな2人がコンテンポラリーダンスとドラムのセッションを通して、再び前進していく姿を描く。小柳は川口シティホールで音楽部門を担当しながらも、ドラマーへの道に未練のある伊藤というキャラクターを演じている。

劇中でキーになるのは、ダンスとドラムの融合。クラシックバレエと競技ダンスの経験に裏打ちされた服部によるアクティブな舞に対して、小柳はリズミカルなドラムの音色をきかせる。そのテクニックはプロ顔負け。それもそのはず、小柳自身も役どころ同様にミュージシャンを志していた過去があった。バンド在籍時はドラムを担当。役者になることを志してからは、音楽活動から距離をおいていた。

「ドラムを叩いたのは、バンドを辞めてから番組で急遽参加した5年前に1度だけ。ブランクもあったし、この映画のお話をいただいたときに、正直なところドラムを叩いていいのかという葛藤もありました。それはバンド活動をやめて、俳優を目指してきたところがありますから。でもどこかで未練があったのかもしれません。だからこそ色々と頭で考えてしまったのかも」。

 演じることで音楽の楽しさを再認識

その心境はまさに、演じたキャラクターとリンク。そして小柳の迷いと未練を断ち切ったのも、劇中同様にドラムの音色だった。「抵抗があったのが嘘のように、ドラムを叩いた瞬間に心が撃ち抜かれた気がしました。バンドをやめた当時は変に凝り固まった考えに捉えられていて、ドラムもきっぱりとやめました。でも5年ぶりに叩いたときに、その凝り固まった考えが間違っていたことに気づかされた。音楽として、ドラムを叩くということを純粋に楽しめばいいんだと思いました」。ドラムとコンテンポラリーダンスのセッションにも大いに刺激された。空白が嘘のように一心不乱にドラムと向き合った。

「自分の中で無意識のうちに引きずっていたものが、消化されて浄化していくような感覚がありました。役柄の心境が近かったというのもあり、自分の過去としっかりと向き合いながら演じることもできた。これは自分の心を整理させてくれた映画でもあるんです」と出会いに感謝する。

小柳が“演技の面白みを感じるとき”、それは「演じているのは自分なんだけれど、でも自分ではない人を表現する過程の中で、自分自身の気持ちに気づかされるとき」という。それはそっくりそのまま『ANIMAを撃て!』で小柳自身に降りかかったことだ。

撮影が終わった現在も、趣味としてドラムを叩くようになった。「ドラムを叩く人のあるあるの一つで、ふとした時に手や足でリズムをとっているというものがあります。バンドをやっていた時はそれをやっている自分が恥ずかしいと思っていたけれど、今では無意識にリズムを取っている自分がいる」と照れ笑いも「ドラムは気分転換にすごくいい!」と何かを乗り越えた人特有の輝きを瞳に浮かび上がらせていた。

(取材・文 石井隼人)