個性派女優としてテレビドラマにひっぱりだこの江口のりこ。先日放送終了したドラマ「海月姫」(フジテレビ系)でインド人役に初挑戦し、話題を呼んだ。今作で江口は関西弁を話すインド人を原作コミックさながらに演じているが、その演技力もさることながら、本物のインド人と見違えるほどのメイクも大きなポイントだ。メイク担当のスタッフは原作の絵柄や映画作品を参考に、江口がインド人らしく見えるように様々な工夫を凝らしたという。今回は、そんな江口のように、外国人役を演じるためにさまざまな努力をした俳優について紹介しよう。

阿部寛は裸でスクワット、竹中直人はデザイン画作成で役作り

現代の日本にタイムスリップした古代ローマ人が、日本の風呂文化に衝撃を受ける姿をコミカルに描いた人気コミックの映画化『テルマエ・ロマエ』(2012年)で主演を演じた阿部寛は、メイクではなく肉体美によって古代ローマ人を表現した。

同作を手掛けた武内英樹監督が、デジタルハリウッド大学の公開講座で語ったところによると、阿部は撮影現場でもパンツ一枚で消火器を抱えてのスクワットや、風呂内でマネージャーを肩車してのスクワットに励んでいたという。

監督が「まだ体が細い」と本音を言うと、ホテルにこもって数時間にわたって筋トレを行い、翌日には理想通りの肉体美に仕上げたそう。ローマでロケを行った際には、現地のエキストラも阿部のローマ人ぶりに思わず舌を巻いたのだとか。

俳優の竹中直人も、外国人役で個性的な演技をみせてくれたひとり。「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)でドイツ人指揮者・シュトレーゼマン役を演じたが、最初にプロデューサーと面談した際にはドイツ人を演じるのは無理があると思い、断ったのだとか。しかし帰り際、「特殊メイクで鼻を付けたらコントになっちゃう」と何気なく呟くと、その翌日には事務所に連絡があって「それでお願いします!」と正式にオファーされたのだそう。

竹中はあえて原作を読まず、自ら描いたデザイン画を特殊メイクのスタッフに見せて「こんな顔でやりましょう」と提案。その結果、コミックとは違った個性のキャラクターが生まれたとインタビューで語っている。

岩下志麻はセリフに苦労してノイローゼに

女優に目を向けると、石原さとみは『シン・ゴジラ』(2016年)で日系アメリカ人役を熱演。ネイティブの英語を織り交ぜたセリフに手を焼いたようで、「ちょっとでも怯んだら弱くなりそうで、何度も何度も負けるなって自分を奮い立たせて、鼓舞していた撮影でした」と完成報告会見で振り返っている。

また、ベテラン女優の岩下志麻は、2014年のドラマ「アウトバーン マル暴の女刑事・八神瑛子」(フジテレビ系)で中国人に扮してキャリア初の外国人役を熱演。「50年以上女優をやってきて、国籍が違う役は初めて。中国語が本当に難しくて、廊下からお風呂からどこでも練習してノイローゼになった」と完成披露試写会で苦労を明かしている。

外国人役を演じることで生まれる違和感から、役作りにはさまざまな工夫が求められる。しかし、そこはプロの俳優たち。今回紹介した俳優たちは、ひたむきな努力とスタッフとの信頼関係によって、見事に役を演じきっている。これからも俳優たちの個性あふれる「外国人役」から目が離せない。

(文/小澤裕)