4月14日から公開される映画『さよなら、僕のマンハッタン』は、大学卒業を機に親元を離れ、ニューヨークのロウワー・イーストサイドで一人暮らしを始めた青年トーマスが主人公。彼はこの地でアパートの隣人で中年男性のW.F.ジェラルド、父親の愛人ジョハンナという、自分の人生に影響を与える2人の人物に出会います。なかでも風変わりなW.F.ジェラルドからのアドバイスは、退屈だったトーマスの人生を予想もしていなかった方向に向かわせるのでした。

本作のように映画には、ときに魅力的な年上キャラクターが登場し、その人生経験を踏まえたアドバイスで悩める若者の背中を押し、人生において大切なことを学ばせる描写が登場します。そこで今回はその中でも、仕事でつまずいたときに背中を押してくれるような、心に響く名言を3つご紹介します。

失敗への不安を吹き飛ばす名言…『マイ・インターン』

『マイ・インターン』(2015年)は、まだ若いながらもEコマースの分野で起業して成功した新進気鋭のベンチャー企業の女社長ジュールズが主人公。一度現役を引退したものの、社会との関わりをもう一度求め、彼女の下でシニアインターンとして働く70歳の老人ベンとの、世代を超えた交流が描かれます。

ベンは作中でさまざまな助言を行い、次第にジュールズはその言葉を頼りにするようになっていきます。そんな、ベンが残した名言の中でも、特に印象的だったのが、ジュールズに教えられながらも開設したFacebookに初投稿した言葉です。

「正しい行いは、迷わずやれ」

ベンは当初、ベンチャー企業特有のフラットで今どきの若者らしい環境に圧倒され、職場では半ば浮いた存在でした。けれど、彼はそんな苦境にもめげず、みんなが嫌がり放置されていた机を率先して片付ける、仕事で結果が出ずに落ち込む女性社員を励ますなどして、次第に周囲の信頼を得ていきます。

この一言は、そんな“自分は何の役に立てるのか”を見極め続けた彼らしい名言であり、常に行動し続けてきたベンだからこその説得力があります。仕事に迷った時は映画のシーンとともにこの言葉を思い出せば、「もしかしたら失敗するかもしれない」という不安から躊躇することが少なくなるかもしれません。

また作中でベンは、古いカバンの良さを若い同僚に語る時に、「クラシックは永久不滅」という言葉をおくりました。それは、世代間ギャップがあるような環境でも、信念があれば他人から認められるという彼の姿を如実に表しているようで、心に響きます。

苦境をチャンスに変えるアドバイス…『マイレージ、マイライフ』

『マイレージ、マイライフ』(2009年)ではリストラ代行会社に勤めるベテランリストラ代行人のライアンと、その後輩で有能な新入社員ナタリーとの交流が描かれます。

ライアンは他人の人生を不幸のどん底に叩き落とす、リストラ宣告のプロです。しかし、その裏側には、リストラ後に“自力でなんとかできる”状況を作ること、立場は違えども同じ人間としてリストラ対象と向き合うことが大切だという信念があります。そんなライアンの言葉の中でも、ナタリーが強く影響を受けたのが、ある子持ちの中年男性リストラ対象者に向けられた言葉でした。

「生涯ひとつの会社に勤め続ける人を見てきた。彼らは時間に縛られ、幸福を知らない。しかし君は、今がチャンスだ。子供のために、生まれ変われる」

リストラ代行人という仕事は、ときに対象者の苛烈な怒りを買います。そのため、受け答えをフローチャートでパターン化するなど、有能ではあるけれども人間味がなく、対象者と向き合おうとしない新人のナタリーは、リストラ対象者を説得することができません。

しかし、ライアンは常に自分を見失わず、どんな苦境にあっても必ずチャンスがあることを、優しい言葉で相手に伝えようとします。それは仕事につまずき、思い通りの結果を出せないナタリーにとっても価値のある言葉でした。苦境の中からチャンスを見つけるポジティブな姿勢をもつことが、問題解決の糸口になる。そのことをこのライアンの言葉は、私たちにも教えてくれているように感じます。

努力が報われないときに自分を見つめ直させてくれる名言…『プラダを着た悪魔』

『プラダを着た悪魔』(2006年)の主人公のアンドレアは、ジャーナリストになる夢を叶えるために、人気ファッション誌の名物編集長のアシスタントの仕事につきます。ジャーナリストを目指すだけあって頭は切れる彼女。しかし、畑違いの業界で懸命に働くも結果を出せず、編集長の右腕・ナイジェルに泣きついてしまいます。このとき、編集長に認めてもらえないと嘆くアンドレアに対して、ナイジェルが告げたのがこの一言です。

「君は努力していない。泣き言を言っているだけだ」

ファッション業界は若者にとっては憧れの場所。働く人たちはストイックに自分を追い込んでいます。しかしアンドレアは、その環境にあって、自分の身なりも体型も別段気にしていません。ナイジェルの言葉は、自分では努力していると思っていても、「努力をしている気になっている」だけだという事実を突きつけるのです。

一見するだけではただ厳しいだけのようにも思えますが、この言葉には自分を見つめ直し、新たにポジティブな気持ちで仕事に向かわせる説得力があります。人生の先達たちは、若者よりも長く生き、いくつもの過酷な現実を乗り越えてきました。そんなナイジェルが告げた言葉だからこそ、人生経験からくる重みがあり、若者の背中を押してくれるのです。

『さよなら、僕のマンハッタン』/4月14日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国順次公開/(c) 2017 AMAZON CONTENT SERVICES LLC/提供:バップ、ロングライド/配給:ロングライド

『さよなら、僕のマンハッタン』は、監督を務めるマーク・ウェブが10年以上の歳月をかけて映画化を果たした青春ドラマです。悩める若き青年トーマスが、人生の先達からどのようなアドバイスを受け、人生を切り開いていくのか? W.F.ジェラルドから彼に贈られた助言を、ぜひこれからの人生にも役立ててください。

(文/Jun Fukunaga@H14)