4月21日に公開される『ロンドン、人生はじめます』は、ロンドンの高級マンションに住む未亡人エミリーが、自然に囲まれた手作りの家に住むひげもじゃの男・ドナルドと恋に落ちる、熟年同士の恋愛を描いた大人のロマンチックコメディ。心が満たされない生活を過ごしてきたエミリーが、ドナルドの自由奔放な姿に惹かれ、自分らしく生きようとする姿がユーモアたっぷりに描かれます。

映画の世界で描かれる熟年カップルの恋愛は、エミリーとドナルドのように、見ていて思わずほっこりしてしまうような、微笑ましいエピソードが溢れています。今回はそんな熟年カップルの、ちょっと笑ってしまうエキセントリックな恋愛模様をご紹介します。

愛し合うにも血圧測定が必要…『恋愛適齢期』

『恋愛適齢期』(2003年)に登場するハリーは、“30歳以下の美女としか付き合わない”というモットーを持ち、女性と真剣に向き合うことができないというキャラクター。そんな彼の心を動かしたのは、恋人の母親・エリカでした。

やがて結ばれる2人。身体を寄せ合うものの、エリカはかつて心臓発作でハリーが倒れたことが心配になり、彼の血圧測定を始めます。その測定結果を見るためにエリカが老眼鏡をかけるため、情熱的なムードに水を刺してしまいます。しかし、そこはご愛嬌。2人は、それでも止まることなく求め合うのです。こうした老人あるある(?)にドタバタしながらも、真剣に互いを求める姿のギャップに、観ていて思わず笑いがこぼれてしまいます。

熟年恋愛あるある、次はベッドに場を移します。ハリーは「1人じゃないと眠れない」とエリカに告げ、彼女のもとを離れようとします。一緒に朝まで寝たいと思うものの、それを素直に言うことができず、ただ寂しさをたたえるような表情をするエリカ。そんな彼女の姿に気持ちを動かされたハリーは、再び寝室に戻り、「一緒に寝よう」と言うのでした。ハリーのどうにも気恥ずかしそうな表情は、まるで思春期の少年のようで、その外見とのギャップに観ていて微笑ましくなります。

エキセントリックで過激なカップルセラピー…『31年目の夫婦げんか』

結婚31年目を迎えたアーノルドとケイの夫婦が、夫婦の絆を取り戻すためにカップルセラピーを受けるという物語が『31年目の夫婦げんか』(2012年)です。

最初こそ「長年の夫婦生活でできた傷痕を取り除くこと」から始めると言われたものの、その後のセラピーはセックスに関することばかり。セックスレス期間にはじまり、体位やプレイ内容、どんな時が一番興奮したのかといったことまで話すハメになります。

やがて、2人は医師から「今晩しばらく抱き合ってください」と指示されます。長らく触れることがなかった妻の身体に触れ、徐々に離れていた気持ちを取り戻していくアーノルド。また、ケイは若い頃にできなかったことに挑戦しようと心に決め、映画館の暗がりの中で彼を求めたり、街の本屋で気恥ずかしそうに夜の教本を買ったりします。切実な問題をテーマにしていますが、物静かな彼女にしては大胆な行動が、コミカルに描かれていて、映画全体に悲壮感は漂っていません。

その後も、2人が夜の営みを無事達成するための様々な障害が描かれます。長く本音を言わず、向き合ってこなかった2人が時に怒りを露わにし、泣きじゃくりながら向き合うことで、離れてしまった距離を縮めていく様子が胸を打ちます。

尻に敷かれすぎた夫の一途な愛の告白…『ウィークエンドはパリで』

『ウィークエンドはパリで』(2013年)は、小心者で妻に依存するニックと、プライドが高くて束縛を嫌うメグの2人が、結婚記念日にパリでデートするという物語。メグは一流ホテルのロイヤルスイートに泊まろうとしたり、高価なシャンパンをあけたりと、自由気ままに週末を楽しみます。その一方で、ニックは彼女の行動にヒヤヒヤしていて、彼女の財布役になっているという、ちょっと情けない面が目立ちます。

やがて、ある秘密を打ち明けたニックが、自分が惨めで情けない男だと正直に認めた上で、メグに対する想いを伝えます。不器用ながらもメグに対する一途な愛情を示すニック。そして、自分が思っていた以上に愛されていることを知り、徐々にそれを噛みしめるように柔らかになっていくメグ。2人が絆を取り戻していく様子に、心がじわりと温かくなっていきます。

『ロンドン、人生はじめます』 /4月21日(土)、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次ロードショー/配給:シンカ/STAR CHANNEL MOVIES/クレジット:(c) 2016 RELIANCE ENTERTAINMENT PRODUCTIONS 6 LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

『ロンドン、人生はじめます』では、『恋愛適齢期』でエリカ役を演じたダイアン・キートンが、ヒロインのエミリーを演じます。本作ではどのような形で、ちょっとコミカルで微笑ましい熟年カップルの恋愛模様を見せてくれるのでしょうか? 若い世代には予想がつかない、エミリーとドナルドの恋愛のかたちに注目したいと思います。

(文/Jun Fukunaga@H14)