4月28日公開の『ザ・スクエア 思いやりの聖域』は、現代美術館のキュレーター・クリスティアンが主人公。彼は離婚歴があるものの、2人の娘の良き父。電気自動車に乗り、慈善活動を支援するなど、モラルの高い人間です。あるインスタレーションの展示に際し、そのコンセプトと真逆のメッセージをSNSに投稿。わざと炎上させ、情報を拡散させることで展覧会を成功させますが、その反動で世間から激しい怒りを買ってしまいます。

映画の世界では、たびたびSNSが物語の鍵となり、ときに事件に巻き込まれたり、SNS依存症になったりと、その闇の深さが浮かび上がることがあります。今回は、そんなSNSの闇をテーマにした映画の中から、学ぶべき教訓を探っていきたいと思います。

SNSで個人情報が洩れてしまう…『ディス/コネクト』

SNSによるイジメで自殺に追い込まれる少年の家族、加害者家族、アダルトチャットで稼ぐ少年と彼を取材する女性リポーター、チャットで個人情報を盗まれて破産寸前になる夫婦など……ネット上に現実世界では見つけることができなかった自分の居場所を探そうともがく人々が、知らず知らずのうちにSNSにのめり込んでいく姿を描いたのが『ディス/コネクト』(2012年)です。彼らは、ネットコミュニケーションを介し現実世界で起きる“リスク”に気づかないまま、その泥沼にハマってしまいます。

例えば、内気な高校生のベンは、同級生がなりすました女性SNSアカウントで「卑猥な写真を交換しよう」と提案され、自分の秘密をさらけ出してしまいます。また、シンディーは子供を亡くした悲しさから、支援サイトで知り合った男性とのチャットに依存しますが、心の弱みに付け込まれて、口座番号を盗まれてしまうのです。本作では、姿の見えない“オンライン上の人物”にしか人とのつながりを見出すことができなかった、彼らの悲しい現実が描かれています。

いずれのケースもネット上でしか心を許せる存在がいなかったことから、それを逆手にとった人間にSNSを悪用され、個人情報を盗まれてしまいます。どんなにSNSで相手と親しくなっても、個人情報を安易に漏らすのは避けることが大切であることを、本作は教えてくれます。

親がSNSの理解をきちんと深める大切さ…『ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界』

『ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界』(2014年)では、ネット上での承認欲求にとらわれてしまった親と、その子供たちの姿が描かれています。

本作に登場するのはネットで不倫する倦怠期の夫婦、娘をアイドルにしようと彼女のいかがわしい写真をアップする母親、オンラインゲームにのめり込むことで孤独を埋めようとする高校生など。いずれも現実世界に価値を見出せず、ネット上に逃げ場を求めた人々です。

母親にパソコンでの行動を逐一監視されているブランディは、SNSアカウントを使って、同級生のティムと関係を深めていました。しかし、そのことが母にバレてしまい、ブランディはSNSを自由に使えなくなってしまいます。ブランディがSNSを使えないことを知らずに、ティムはメッセージを送ります。しかし、返信が無かったことが彼を追い詰め、やがてティムは最悪な事態に導かれていきます。

ここで注目したいのは、ブランディの母親のSNSに対する考え方です。彼女は娘のいかがわしい写真を公開し、彼女のプライバシーを切り売りする一方で、「子供を危険から守る」という一見耳ざわりのよい考えで、娘からSNSを取り上げました。しかし、偶然とはいえ結果としてティムに不幸が訪れたことで、こうした母親のプライバシーへの考え方に、この映画は疑問を呈しているように思えます。

炎上やフェイクニュースの脅威…『白ゆき姫殺人事件』

『白ゆき姫殺人事件』(2014年)では、殺人事件の容疑者の女性について、不確かな情報がSNSやマスコミに広がっていきます。軽い気持ちで容疑者についての情報をSNSに投稿した赤星は、ネットユーザーに煽られて、その後もヒーロー気分で情報を投稿し続けます。しかし、容疑者の実名をさらしたことで、彼のSNSは炎上。さらに、真犯人が見つかったことで、ネットユーザーの攻撃対象となり、個人情報を暴かれ、私生活にまで影響が及びます。

この作品では顔が見えないことをいいことに、自分たちに気持ちの良い正義を興味本位でひけらかし、他人がどうなろうと気にならないという、一部のネットユーザーに見られる特有の闇を強く感じます。ネットで良く聞く炎上はどうやって起きるのか、その参考になる作品ではないでしょうか。

また、マスコミが関係者の証言の一部だけを切り取って都合の良いように利用しているシーンなど、偏った印象を与える情報がSNSを通じてどんどん拡散されていく部分は、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』に通じるところがありそうです。両作はフェイクニュースのような不確かな情報に振り回されず、それが正確かどうかをしっかりと見極めて、匿名性の高いオンライン上であっても無責任な行動をとらないことの大切さを物語っています。

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』/(c)2017 Plattform Produktion AB / Societe Parisienne de Production / Essential Filmproduktion GmbH / Coproduction Office ApS /ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、立川シネマシティ他 4月28日(土)全国順次公開! /配給:トランスフォーマー

映画に描かれたネットコミュニケーションの闇には、ときに現実世界に活かすべき教訓を学ぶことができます。『ザ・スクエア 思いやりの聖域』では、ネットと現実世界で情報が交錯していく中で、SNSの恐ろしさが描かれています。そこに何を学ぶべきかも意識しながら、映画を観てみてはいかがでしょうか。

(文/Jun Fukunaga@H14)