新年度はエンタメ大作&濃密な傑作で楽しもう! ゲームキャラになっちゃう世界的大ヒット作のほかVRの世界を題材にしたSFアドベンチャー、松坂桃李が男娼を演じた衝撃作、離婚が決まった家庭の息子の失踪劇、同じ鹿の夢を見る男女のラブストーリーをピックアップ。これが4月の5つ星映画5作品だ!

『娼年』

(C) 石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

度肝を抜く!松坂桃李のあっぱれな“体話劇”

松坂桃李が娼夫を演じる。それだけで十分に驚きだが、作品を観れば腰を抜かすほどの衝撃だ。直木賞候補になった石田衣良の同名小説を、舞台版でタッグを組んだ三浦大輔監督と松坂が満を持して映画化に挑んだ。R18+指定なだけに、過激な描写があるのは承知の上だが、松坂が一糸まとわぬ姿で、文字通り“体当たり”演技を見せる。会話劇ならぬ“体話劇”。まさに体と体のコミュニケーションを赤裸々に表現している。しかし、その描写に妙な生々しさはなく、まるでフランス映画のような美しさ。現在進行形の若手人気俳優で、ここまで過激な役に挑む役者がいるだろうか? 近年、役の幅広さに定評がある松坂だか、『彼女がその名を知らない鳥たち』のゲス男など生ぬるい、『パディントン2』のかわいさなど跡形もない。まさに、今まで観たことがない松坂がいる。肉体的&精神的にハードな役どころを、見事に青年の成長物語として描き切っているのは、松坂の役者魂があってこそ。役者としての心意気に、ただただあっぱれ!(編集部・香取亜希)

映画『娼年』は4月6日より公開作品情報はコチ

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『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

パワーアップした『ジュマンジ』に胸アツ!

プレイの内容が現実となってしまう呪いのボードゲームが引き起こすハプニングを描いた映画『ジュマンジ』(1995)が、ビデオゲームになった上にビデオゲームならではの仕掛けで物語が展開。偶然一緒になった高校生4人が、ジュマンジの世界からゲームをクリアして現実の世界に戻ろうとする姿を描く。本来の自分とは違った容姿で戦うことになり、自撮り大好き女子高生は、太った中年おじさん(ジャック・ブラック)に。小指を立て、上目遣いで女子をアピールするジャックの姿は女子高生そのもので、動作全てが笑えて愛おしい。また、ゲームオタク男子は長身マッチョの冒険家(ロック様ことドウェイン・ジョンソン)になるのだが、中身はヘタレのままなので、おどおどしたロック様のかわいさが爆発。守ってあげたくなる気持ちが芽生えてくるほどだ。1つ1つのステージをクリアするごとにキャラクターが自分の壁も乗り越えていく姿には思わず胸が熱くなる。見た目だけじゃない“自分らしさ”の素晴らしさを伝えるメッセージも込められている爽快エンタメムービーだ。(編集部・梅山富美子)

映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は4月6日より公開

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『ラブレス』

(C) 2017 NON-STOP PRODUCTIONS - WHY NOT PRODUCTIONS

少年の失踪を通し、自分のことしか考えない現代に一石を投じる

第90回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた本作は、失踪した少年を巡るロシア発の哀しいサスペンス。一流企業で働く夫と、美容サロンを経営する妻は離婚協議中で、それぞれ新しいパートナーと未来に進もうとしている。「二度と同じ過ちを犯すまい」と。しかし、そんな2人にとって頭痛の種が12歳の息子アレクセイ(マトヴェイ・ノヴィコフ)。親権を押し付け合う両親のケンカに耳をふさぐ姿はあまりに悲痛だ。とりわけマンションの内見にやってきた幸せそうなカップルの相手をする母親のそばで机に向かうアレクセイを見ると、彼はまるでこの世で独りぼっちのよう。そう考えると、彼の失踪は起こるべくして起こった事件とも言える。監督のアンドレイ・ズビャギンツェフは「時代と登場人物の設定を変えて対になるものとして描きたかった」と巨匠イングマール・ベルイマンの『ある結婚の風景』(テレビ放映のオリジナル版は約5時間)を挙げているが、併せて観ると一層「この夫婦が幸せになれないのはなぜなのか?」と重い問いを突き付けられる。(編集部・石井百合子)

映画『ラブレス』は4月7日より公開

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『心と体と』

2017 (C) INFORG - M&M FILM

非現実と現実の絶妙なバランス

昨年のベルリン国際映画祭で金熊賞(最高賞)に輝き、今年のアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされたハンガリー発のヒューマンラブストーリー。自分と全く同じ夢を見る人がいるというファンタジックな設定と、孤独や葛藤を抱える人間のリアルな描写が絶妙なバランスで同居し、今を生きる観客を置いてきぼりにしないことが求心力となっている。夢に出てくる鹿に人間を投影する発想は素晴らしく、紡がれる幻想的な風景もこの上なく美しい。大人のようで子供なヒロインがユニークで、苦手なことを一つ一つ克服しようと努力する姿には思わず笑みもこぼれる。ベルリン国際映画祭で審査員長を務めた『ロボコップ』『トータル・リコール』などのポール・ヴァーホーヴェン監督が「審査員みんながこの映画に恋をした」と評した通りの出来栄えで、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『サウルの息子』など、近年世界的な成功を収めているハンガリー映画への敬愛を感じずにはいられない。(編集部・小松芙未)

映画『心と体と』は4月14日より公開

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『レディ・プレイヤー1』

(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED

全世界のオタクが夢見た光景!スピルバーグ監督、ありがとう

スティーヴン・スピルバーグが人気小説「ゲームウォーズ」を映画化。西暦2045年のアメリカで、誰でも何にでもなれるバーチャル世界「オアシス」の開発者が残した遺産争奪戦にオタクの高校生ウェイドらが身を投じていくさまを描く。原作は1980年代のポップカルチャーネタが満載であり、知的財産権の関係で映画化は不可能ともささやかれてきた。しかし、そんな不可能を可能に変えられたのも、巨匠スピルバーグが監督だったからだろう。予告編だけですでに、『アイアン・ジャイアント』のアイアン・ジャイアント、『AKIRA』の金田のバイク、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン、「ストリートファイター」の春麗、「機動戦士ガンダム」のRX-78ガンダムとありえない競演が披露されているが、これはほんの一端にすぎない。身を乗り出して映画を鑑賞したのはいつぶりだっただろうか。本編では予告編のさらに上を行く、全世界のオタクが夢に描いたとんでもない光景が待ち受けている。日本が誇るキャラクターたちと森崎ウィン演じたトシロウの勇姿には、日本人としてただただ感激。バーチャル世界と現実世界のどちらかを礼賛するわけではなく、表裏一体なのだと教えてくれるメッセージ性にもしみじみさせられる。何度でも観たくなる、最高のオタク映画。(編集部・石神恵美子)

映画『レディ・プレイヤー1』は4月20日より公開

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シネマトゥデイ編集部