4月21日公開の『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、タクシー運転手と外国人記者との交流を描いた、実話ベースの社会派ヒューマンドラマです。ソウルで働くタクシー運転手のマンソプ(ソン・ガンホ)が、高額の代金に目がくらみ、ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて向かったのは戒厳令下の光州。やがて彼は、そこで起きているある重大な事件を知ることになります。

本作のようにタクシードライバーを主人公にした映画からは、数々のヒット作が生まれています。そのヒットの理由は、登場するタクシードライバーたちの、強烈ながらも愛すべきキャラクターがあったからこそではないでしょうか。

今回は、中でも特にヤバイ個性を放つ、映画の中のタクシードライバーたちをご紹介。作品を見れば、きっとその虜になってしまいますよ!

凶悪犯かヒーローか?武闘派ドライバー…『タクシードライバー』

『タクシードライバー』(1976年)の主人公トラヴィス(ロバート・デ・ニーロ)は、深夜の危険な場所でも稼ぎになるからと車を走らせるタクシードライバー。定期的にポルノ映画館に通い、一目惚れした女性を「カップルが観にいく映画」と言ってポルノ映画に誘いフラれるという、ちょっとズレた感覚の持ち主です。

日々の仕事を通じてニューヨークの街に潜む闇を見たトラヴィスは、いつしか「堕落しきった世の中を自分が掃除してやる!」と思うようになります。この時点でかなり危険な香りのするトラヴィスですが、闇ルートから大量に銃を手に入れ、体を鍛え、鏡の中の自分と戦闘の訓練をするなど、物語が進むにつれて不気味さを加速させていくのです。

強盗やマフィアたちを始末し、どんどん調子にのっていく彼は、とんでもない計画を打ち立てるのですが……。このとき、いきなり“モヒカンにサングラス”で現れるトラヴィスの姿は、観ていて本当に「ヤバイ!」のひと言でした。

タクシーといえばこの人、根っからのスピード狂!…『TAXi』

根強い人気を誇る『TAXi』シリーズ(1998年~)は、スポーツカーを改造したタクシーを乗り回す、スピード狂のダニエル(サミー・ナセリ)が主人公。第1作目ではとにかく車をかっ飛ばすダニエルと、ちょっとマヌケなスピード恐怖症の新米刑事エミリアンが、ベンツを乗り回す強盗団「メルセデス」の捕獲作戦に挑みます。

この映画の魅力は、何といってもハチャメチャなダニエルのスピード狂っぷり。「車と運転が一流なら100キロでも安全だ」と言ってのけ、F1顔負けの時速250キロを超えるスピードをだしながら、巧みなハンドルさばきでマルセイユの街中を走り抜けます。

ダニエルはいつでも運転に自信満々で、スピードを求めることに集中するあまり、ときには人の言うことを聞かないことも。そのときのダニエルの様子が天然ボケのように見えることもあり、どちらかというとワイルドな外見の彼が、物語が進むにつれてかわいく見えてくるのが不思議なところです。

フランスでは最新作の『TAXi5』が4月7日に公開されたばかり。今度はどんな暴走っぷりを見せてくれるのか、日本での公開が楽しみですね。

改造タクシーで爆走する女性ドライバー!…『TAXI NY』

舞台をニューヨークへと移した、『TAXi』のハリウッド版リメイクが『TAXI NY』(2004年)です。主人公のタクシードライバーは、気さくで車好きな女性のベル(クイーン・ラティファ)。自らタクシーを改造してしまうほど車を知りつくしており、レース中に車の音を聞いているだけで、誰が優勝したかわかってしまうという驚きの能力の持ち主です。

カーレースで優勝することを夢見るベルは、本家『TAXi』のダニエルに負けないスピード狂で、人や車をギリギリですり抜けながら、ニューヨークの街を走り抜けます。そして、客を送り届けた時には「私ってスゴ腕!」と、なんともキュートなドヤ顔を見せてくれるのです。子供のような無邪気さに、こちらも思わず笑顔になってしまいます。

作中ではベルが相棒の刑事アンディをタクシーに乗せ、美女強盗団とのカーチェイスを繰り広げます。ボタン1つでタクシーが、猛スピードで走るスーパーカーに変身するなど、『TAXi』シリーズの見せ場も受け継いでおり、ファンなら観ていて思わずテンションが上がってしまうことでしょう。

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本当に個性豊かな、映画の中の“ヤバイ”タクシードライバーたち。それに対して、4月21日公開の『タクシー運転手 約束は海を越えて』に登場するマンソプは、ごく普通のタクシードライバー。しかし、彼はある客を乗せたことで“ヤバイ”状況に巻き込まれていきます。

1980年5月に起こった、韓国現代史上最悪の悲劇といわれる「光州事件」を題材にした本作。事件後にいくら探しても見つからなかったというマンソプのモデルとなった人物が、作品の公開によって確認されたことも話題になっています。

韓国の名優ソン・ガンホが演じるタクシードライバーが、使命に目覚め、過酷な状況へ立ち向かっていくクライマックスシーンは、号泣すること間違いなし。ぜひ、ハンカチを持って劇場へ!

(文/サワユカ@H14)