リメイク・リブート作品が多数公開されているハリウッド映画。韓国映画がリメイクされまくるという事態もひと昔前の話ですが、日本映画はどうでしょうか? アニメや漫画が実写化というニュースはよく聞きますが、実はそれ以外にも映画自体のリメイク・リブートも例は少なくなく、文化の違いからさまざまな変貌を遂げているんです!

アメリカは“家族愛”がお好き?…『ザ・リング』

日本発ハリウッド作品の代表的なジャンルがホラーです。2000年代、ハリウッドでは『呪怨』(2000年)や『仄暗い水の底から』(2002年)などの作品が立て続けにリメイクされ、Jホラーブームが巻き起こりました。

中でも代表格は『ザ・リング』(2002年)です。中田秀夫監督がメガホンを取り、日本で一世を風靡したこの『リング』(1998年)ですが、海を渡ってリメイクされると、約1億2900万ドルという興行成績をたたき出す大ヒットを記録しました。

観た人が7日後に亡くなるという“死のテープ”の設定やストーリーは、基本的にオリジナルに忠実な本作ですが、ハリウッド版では貞子にあたるサマラの幼少期を丹念に描写。両親に受けた酷い仕打ちや愛を欲する彼女の姿を映し出すことで、“家族の輪”というものが浮き彫りにされています。

また戦慄のラストにも、家族観の違いが……! 日本版が持つ得体のしれない恐怖は薄めになっていますが、その分、エンタメ感が強くなっています。

あの侍が、日本刀を持ったベトナム帰還兵に!?…『ブラインド・フューリー』

『七人の侍』(1954年)を西部劇に落とし込んだ『荒野の七人』(1960年)など、ハリウッドで映画化するにあたって、多くの作品がアメリカ文化に当てはめられていますが、作品の世界観を大事にするがゆえに「えっ!? 逆にそこはそのままなの?」という作品もあります。そんな作品が『座頭市』シリーズの17作目となる『座頭市血煙り街道』(1967年)をリメイクした『ブラインド・フューリー』(1989年)です。

リメイク版では舞台が現代になり、キャラクターは“盲目のベトナム帰還兵”という変更がなされているものの、盲目というハンディキャップを背負いながら超人的な剣術を体得しているキャラクター像は全く一緒。仕込み杖を武器に驚異的な居合術を振るうベトナム帰還兵という、かなりパンチの効いた人物になっています。

銃をぶっ放す警官に対し、日本刀で戦うなど、アメリカナイズされたアクションばかりかと思いきや、日本刀を持つ敵とのチャンバラシーンもしっかり挿入されており、一見いびつなものの、原作愛に満ちた愛すべき作品となっています。

これがアメリカの青春か!…『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』

そして、邦画リメイクの最新作が『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』(5月11日公開)です。原作は歌手のYUI主演でヒットし、テレビドラマ化もした『タイヨウのうた』(2006年)。少しでも太陽に当たると命に関わる難病・色素性乾皮症(XP)と診断され、幼い頃から家の外に出ることができなかったヒロインの本気の恋を描いた感動のラブストーリーです。

オリジナルに比べ、基本に忠実ながら、ところどころにアメリカンなテイストを感じさせるハリウッド版。例えば、オリジナルで主人公たちは、スクーターに2人乗りでデートに行きます。その姿は、“ザ・青春”を感じさせるものですが、アメリカ版はバカでかいピックアップトラックでデート。さらにクラブやホームパーティーで盛り上がったりと、イケイケ感も強めです。「それで感情移入できるの?」と思うかもしれませんが、感動は原作通り、もしくはそれ以上となっているのでご心配なく!

ちなみに『タイヨウのうた』は、ベトナムでテレビドラマ化、韓国でミュージカル化と、リメイクされまくりなので、各国版を見比べてみても面白いかもしれません。

オリジナルとハリウッド版の両者の違いを見ていくと、ハリウッド版では文化の違いだけでなく、より万人受けするようなエンタメ色が強くなっていることが分かります。オリジナルの良いところを踏襲しながら、ニーズに合わせて部分的に変えていくこの姿勢こそ、ハリウッドが映画界のトップとして君臨する理由なのかもしれません。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)